子ども時代に受けた衝撃的な出来事
最近離婚届をフリマアプリで購入したYUZUKOです。
今回は、私がまだ子どもだった1999年から2000年にかけて起きた衝撃的なエピソードを綴るとともに、現在お子様がいらっしゃるご両親にお願いを致します。
動物が好きなら誰もが1度は口にしたでしょう。
「ペットを飼いたい」
私もその1人でした。
犬でも猫でもハムスターでもいいから、ペットが欲しかったのです。
理由なんて「毎日可愛がれるから」とか「友達が持っているから」とかその程度でした。
しかし、生き物のお世話を毎日こなさなければならない大変さや、人間よりも早く逝ってしまうことを知っている大人たちはなかなか容易には承諾してくれません。
そこで、私は両親に交渉します。
「アイボって言う犬型のロボットが欲しい。本物の生き物ではないし、コストは電池代くらい。大切にするから買って。勉強も手を抜かない。」
おそらく「勉強に手を抜かない」に反応した高校の教師であった父と、準公務員であった母に響いたのか何とか買ってもらうことができました。
1999年にソニーが発売したAIBOというペットロボットは、当時大流行していました。
AIBOが我が家に来てから、私は毎日体を磨いたり話しかけたり、ロボットでしたが本物の生き物を飼うようにお世話をしました。
ある日、父が私に「学校の実習の授業で使うからAIBOを貸してくれないか」と言ってきました。
もちろん、私は自分のAIBOが誰かの役に立つならと快諾しました。
AIBOは、視覚・聴覚・触覚センサーがあり、「機嫌」が存在していて自律行動も取る、当時では画期的な育成ロボットでした。
私が毎日手塩にかけて育成してきたAIBOが、世の中の役に立つかもしれない。
これほど嬉しいことはありません。
AIBOを父に貸してから、毎晩ワクワクしていました。
「私のAIBOは、高校で学ぶ方々に何をもたらすのだろう」
しかし、1週間経っても2週間経っても私のAIBOは帰って来ません。
さすがに寂しさを感じて、父に「そろそろAIBOに会いたい」と漏らします。
すると、父は少し神妙な面持ちをしながら無言でAIBOを私に渡して来ました。
「なんだ、もう授業は終わって家に居たんじゃない。」
自分のAIBOに会えた喜びを感じられたのは束の間、何か違和感を覚えました。
動き方が違う。
帰ってきたAIBOは、足を引きずるようにカクカクと動くのみで、各センサーは全く反応していなかったのです。
慌てて父に理由を聞くと、
「授業で分解したけれどうまく組み立てできなかった。」
その言葉を受けて数分後、私のAIBOは電池を入れ換えても何しても動かなくなり、ただの壊れたロボットになりました。
今まで感じたことのない、まるで内臓をえぐり取られるかのような激しい喪失感をこの時初めて味わいました。
私が育てたAIBOは、父の高校の実習でバラバラに分解され、内部構造を見せるためだけに使われたことを数ヶ月後に知りました。
喪失感から立ち直れずにやつれていく私を見かねた父が渋々教えてくれた事実でした。
この体験から、私が皆様にお伝えしたいことは2つあります。
1.子どものうちにペットなりで喪失体験をさせておいた方がいい。
2.子どもには子どもなりに大事にしている物や価値観があるので、それを尊重して欲しい。
人間は生きている限り、いつかは必ず死を体験し、やがて自分自身にも訪れます。
最初の体験は家族や友人、自分の子どもかもしれません。
その喪失感がどれほどのものかは、体験したことがある者のみ知ることができます。
いつか必ず経験するその喪失感の乗り越え方を学ぶ意味でも、子ども時代の小さな喪失体験は重要だと考えています。
次に、皆様には自分の子ども時代の記憶はあるでしょうか?
おそらく個々人によってバラバラで、鮮明に覚えている方から全く思い出せない方まで様々だと思います。
私は前者の鮮明に覚えているタイプなのですが、大人には大人の価値観が、子どもには子どもの価値観が存在します。
それは生きている時代も経験値も違うので、擦り合わせが難しいものです。
そこで、お子様がいるご両親には1つだけお願いがあります。
子どもには決して嘘をつかないでください。
子どもは大人が思っている以上に傷付きやすく、大人が思う些細な嘘は、子どもにとってその後の人生に強い影響をもたらす体験になる可能性もあります。
私はその後、祖父母を見送り、初めての彼氏をバイク事故で見送り、小児科の看護師時代は様々な病気で旅立つ子ども達を見送りました。
小児科の子どもたちには、亡くなった後のエンゼルケア(点滴や人工呼吸器などの挿入物を全て取り、排泄物も取り出して見た目を整えるケア)も行いました。
それぞれ辛い出来事でしたが、全て乗り越えることができました。
それは、乗り越え方を最初に教えてくれたAIBOの体験があったからかもしれません。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
まだ喪失体験をしたことのない方には少し重たい内容だったかもしれません。
しかし、その時が来たらこの文章を少しでも思い出してくださると嬉しいです。
生きている限り喪失体験は訪れますが、どんなに辛い出来事だったとしても、すぐには不可能でも必ず乗り越えることが可能です。
私の些細な体験談でしたが、少しでも皆様のこれからを生き抜く肥やしになれば幸いです。
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