男子高校生と人前で着替えが平気な女子高校生の話

★以前書いた小説で、こちらは一話目の一部分です。※少し編集しています。






放課後━━
 教室練の端の空教室で友人の奈々を待っているが、どうやらホームルームが延びているようでなかなか来ない。
  俺は仕方ないから、壁際まで移動をし外を眺めながらヘッドホンで音楽を聴くことにした。
  暫く経って、後ろの教室の扉が開いたような音がした。奈々だと思って後ろを振り向くとそこには、

  おおっっ!!?

  知らない女子が制服を脱いで着替えをしていた。
  上着のセーラー服は既に床に落ちている。白いフリルの付いたブラジャーの姿が目に飛び込んできた。まだ俺に気付いていないのか、スカートに手をかけ、するりと、床に下ろしている所だった。お揃いの白いショーツも半分見えてしまっている──
  気配を感じとったのか、こっちを見て「あっ! 」と声を発した彼女と目が合った。
  そして何故なのか、見られて恥ずかしいといった素振りもせず、なんと、ほぼ下着だけの姿でこちらに近寄ってくる。

  俺はたじろいでいながらも、彼女のその柔らかそうな白い肌と綺麗なくびれの身体に目が釘付けになる。女性の下着姿なんて、初めて見るからドキドキしている。

こんなに、綺麗なものを毎日身に付けているのか!女子は!
 

  俺の数歩前で止まり、彼女は落ち着いている口調で言葉をやっと発する。
  「あ!演劇部の舞台で見たことある!死神役の! 岸辺君だっけ? はじめまして、片山かすみです。」
  小さな顔で目がはっきりしており、可愛らしい顔立ちをしている。ふわりとウェーブのかかったショートカットが似合っている。雰囲気がとても良い。結構タイプの子だ・・


  差し出して来た右手に答えようとしたが、下着姿の光景が刺激的で顔が熱くなって目をそらす。

  「あっ、えっと・・ ごめんね、こんな格好で・・びっくりさせちゃった? 放課後すぐに舞台の通し稽古があるから、出る前に先に着替えちゃおうと思って。」

  着替えをしていた位置に戻り、衣装である浴衣に手を通している。
  「劇団に居ると、男女交えて皆で着替えるのが当たり前だから、抵抗なくなっちゃってて・・」

  「あ! 片山かすみさんって、明日香の幼なじみだよね? 演劇部の脚本も書いてくれた・・」
「はい、脚本、書いています。結構、あの劇色んな所で好評だったんだよ。岸辺君が主人公を演じてくれたおかげかな〜。」

  浴衣の帯締めに集中している為か、そこで会話が一時途絶える。


  「岸辺君、もしもあなたに会ったら言おうと思ってたんだけどね。」
  着替え終えたようで、また、俺の側へ駆け寄ってくる。
  ピンク色で大きな花柄の浴衣が彼女の可愛らしさを引き立たせているなと俺はまた見とれていると・・・
  大きな瞳が俺を見つめている──

  「わたしが、あなたのヒロイン役をやりたい」


  はっきりと彼女はそう言った。




 

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