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「愛に溢れた二人」のドラマ


こんにちは、柚希泰夢です。平凡な大学生をやっています。


今回はYouTubeドラマ『主人公』の登場人物の中で、濱口大介と池田勇次郎について。腐女子フィルターがかかるので前回( https://note.com/yuzuki_taem/n/n88d42864013e )より更に個人的な解釈が多いです。そして勿論ネタバレを多分に含みます、ご了承下さい(『主人公』の紹介はこちら→ https://note.com/yuzuki_taem/n/na65bfa97bdf2 )


元々の関係性

大介と勇次郎は最初、ゼミが同じである以上の関わりはありません。
大介はこのドラマの主人公である純太と仲良しで、大抵セットで行動しています。勇次郎は岸くん茜ちゃんと親しく、同じゼミの後輩である宇野くんや純太は、大介と勇次郎が二人でいた話を聞くと意外だという反応。

そんな二人は、周りの誰にも言えない秘密を持っている、という共通点があります。そしてその秘密は、勇次郎の半ば強引な行動により共有されることに。後述しますが、この”秘密”の扱い方の違いが、この二人の価値観の違いそのものです。秘密が共有されると、一話の最後でまさかのベッドシーンに突入します。ここ、本当につっこみどころしかなかったです…(笑)


即物的、勇次郎

まず、勇次郎の「男とキスしたいって思ったんでしょ?」のくだり。勇次郎が凄く即物的な言葉選びをしていますよね。即物的過ぎてこの台詞、正直に言うとまだ消化しきれていません。もうこのドラマ十回以上見てるのですが、意図がなかなか見えないんです。一応の解釈として、怖気付いている大介に苛立ち、覚悟を決めさせるためにわざとそういう言葉を選んだのかなあとは思いました、経緯が経緯ですしね。
そして即物的と言えばなのですが、勇次郎のあのベッド…ミステリアスな彼にも分かりやすい部分はあるんですね!(笑)

余談ですが、このシーンは一話のラストにあたります。素人目線ですが初めてそのドラマを観た人が続きを観るかどうか決める、構成的に見ると連続ドラマで結構大切なパートだと思うんです。そこで全六話唯一のベッドシーンをぶっ込んでくるって…制作した方々の勇気が凄いです。

結局、大介が勇次郎の勢いに押されたような形で一話が終わります。所謂事後でも、大介の表情は冴えません。しかし対照的な勇次郎…何ですか、何なんですかあの表情。

序盤、大介に対して勇次郎が何を考えているのか全く伝わってきませんし、それが明かされるのも随分後です。明かされるまで彼はミステリアス通り越してちょっと怖かったのですが、この事後のシーンがあったので嫌いになれませんでした。何なんですかあの愛しいものを見る目は!本当に、消化出来ないことばかりです。

この事後の表情を始めとして、勇次郎の大介へのベクトルは結構分かりやすく描かれています。とりあえずめっちゃ大介のこと見ますよね、本当に何なんですか。瞳の演技と言うと主役の神尾楓珠くんがピックアップされていますが、勇次郎の瞳も私はなかなか好きです。大介相手だと色々ダダ漏れてるよ君。

ただ、ベクトルが分かりやすい割に、公園のシーンで本人が話すまで気持ちの変化が分かりませんでした。大介が好きなのは伝わってくるのですが、決め手、というかきっかけは何だったの?という。「何で好きかまで理由考え出したらしんどくない?」って怒られますかね、野暮ですみません。最初から好きだとは考えにくかったですし、でも事後から完全に表情変わってますし…まあ、「大介と寝て何か良かった」という衝撃の事実が明かされるわけですが。身体の相性…(遠い目)

対して大介は少しずつ惹かれていく感じが伝わってきて良かったです。段々と勇次郎への感情が丸みを帯びていくようで、見ていてとても微笑ましかったですね。


秘密、すなわち自分

大介と勇次郎は、同性が好きという秘密を持っています。そして購買のお姉さん、春菜ちゃんとのシーンで彼らの秘密の向き合い方の違いが分かります。どちらが正しいとか、どちらが良いとか、他人の判断を挟まないで話を聞く春菜ちゃんが凄く素敵でした。仲良くなりたい登場人物ナンバーワンです。

さて、このシーンで二人の違いがはっきりしました。それと同時に、お互いの気持ちがお互いに向き始めた場面でもあると思います。勇次郎は最終話で結局、このシーンで話した自分の価値観を「受け入れてもらうことから逃げていた」と表現します。”情けない”と言っていました。

個人的には情けないとは思いません。周りから受け入れてもらえなくても好きなものを好きだと言える強さ。その強さは受け入れてもらおうと純太と向き合った大介の強さとは別物です、でも強さです。勇次郎が自分の気持ちを偽っていたとも思いません。彼は大介の「覚悟」に触れて、違う価値観を知っただけ。価値観なんて変わります。好きな人の価値観によって自分の価値観が変わる、凄く素敵だなあと思います。

同じように大介も、強引に見えた勇次郎の考えを知り、同性が好きな自分に加え勇次郎の価値観、そして勇次郎自身とも向き合い始めたように思います。


遊び人、大介

突然ですが公園デート、天才ですよね。何回観ても語彙力がむしりとられます。大介が狙っているのか無意識なのか分かりませんが、あの二人の歩幅!ありさちゃんが尾行するのも頷ける可愛さです。

このデートでやっと勇次郎の大介への気持ちがはっきり表されます。強引で少し怖かった彼がどんどん可愛く見えてきて驚きました。いきなり手を繋いだ後のあの甘えた表情ですよ…一体何があったんですか、好きゲージ一気に溜まり過ぎでしょ。何より親子に遭遇して離れた後、笑いあってるのが最高でした。語彙力どころか日本語力奪われそうです。

前述した通り勇次郎は身体の相性がきっかけで大介に惹かれた、と言っていましたが、お花畑腐女子は個人的には認めたくありません。そこで色々考えたのですが、そもそもあの「放っておいてくれ」精神の勇次郎が「バカにされてると思った」という理由があったとはいえ、同じゼミの仲間に手を出すというのはちょっと軽率過ぎると思うんです。あのゼミ純太筆頭に察しの良い人が多いですし、実際ありさちゃんには目撃されますし。ということは、やっぱり元から少しぐらいは気があったんじゃないかなあと…あっていて欲しいなあ、というイチ腐女子の願いです(笑)

実は勇次郎は恋愛になると考えが回らなくなる、とかでも全然良いですけどね、可愛いです。

ところで、”遊び人の大介”ってパワーワード過ぎません?確かに顔は良いですし普段のノリは軽めですが、女遊び激しかっただなんて…沼要素しかありません。公園でありさちゃんの告白を断るシーン、馴れてる感じが垣間見えて非常に良かったです。おまけに女性のことを「女の子」呼び。最高ですね。

恋をする意味

前回のnoteでも書きましたが、勇次郎は周りから一歩引いているイメージがありました。そんな彼が、秘密を受け入れてもらうことを選んだあの日から一年後、とても素直な表情で大介の隣にいます。最終話で岸くんと話す時と公園デート以外、表情の変化が薄かった彼があんな無邪気な笑顔をね…いやあ…どうやって手懐けたのか是非大介にきいてみたいところです。

最後のゼミのシーンでも、二人の明るい未来が感じられました。二人の表情は勿論、二人を見守る純太や岸くんの表情がとても良かったです。これからも愛しあい、愛されていくんだろうなと。

ただこのシーンを含め、同性愛表現として客観的に、記号的に括るならば、このドラマは欠点だらけと言うか、アウティングを連発していますよね。それでも、ずっと幸せでいてね、という優しい気持ちで終われるのは、”自己と向き合う”というこのドラマのテーマ故かなと思います。


二人は同性を好きになった経緯が違います。勇次郎は自分の秘密を抱え込んでいましたが、大介は秘密を受け入れてもらうことを選びます。女性のことを勇次郎は「女」と呼び、大介は「女の子」と呼びます。

でも通ってきた道が違うだけで、本質的には似ている二人です。自分と、そして相手としっかり向き合い、これからは同じ未来を歩む二人です。

同性が好きな自分はおかしいと言い聞かせて、だから理解されないのが当たり前、理解されなくて仕方がない、自分が認めてあげればそれで良いと閉じこもって。でもその殻をかなぐり捨ててまで欲したのが大介の隣でした。

同性が好きな自分に戸惑って、流されてみたは良いものの受け入れられなくて。でも勇次郎の価値観に触れて、自分と向き合い、大事な人から受け入れてもらうことを選びました。そうした自分で立ちたかったのが勇次郎の隣でした。


恋をする意味を身をもって感じられる二人です。どうか、どうか幸せでいて下さい。




最後に。
大介「公園デートってなんか良いよねえ〜」
イチ腐女子「分かる!!!!!!!!!!!!!!」

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