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【七十二候】季節と言葉たち〜(頃水始涸(みずはじめてかるる)
七十二候:第四候 「頃水始涸(みずはじめてかるる)」
(10/3~10/7頃)
「頃水始涸(みずはじめてかるる)」
田んぼの水を抜き、稲穂の刈り入れを始める頃。
テーマ「頃水始涸(みずはじめてかるる)」について
稲刈り、ですか。
様々な神社でお米を神様に奉納する儀式が始まるころですね。
伊勢神宮の神嘗祭(10/15-18)が有名かと。
私の父親の実家は米農家でした。
父の祖父、つまり私の曽祖父は石川県の今年大地震があったあたりが出身の大工さんでした。
地域のみんなで北海道に渡ってきて、森だった場所を自分たちの手で開墾して田畑や町を作ったのです。
ニセコからちょっと海側の場所にある小さな町に広がる水田。
父の実家や、父の兄弟が暮らすあたりは、見渡す限り田んぼです。
隣の家が遠い遠い(笑)
もともと森だった場所を曽祖父や祖父たちが水田に変えていったと思うと、心から尊敬の念を抱いていました。
母が父と結婚してまもなくの頃、5月と9月に田植えと稲刈りに駆り出されたそうです。
母は、「腰が痛いわ。めちゃくちゃ大変だわ。いつまでも終わらないわ、なのに役立たずと言われた」と、しきりに文句を言っていましたが。
母と、父の実家の人たちのキャラを知る私たちは、母がどんな作業をしていたのか、また、祖母たちが母にどんな言い方をしたのかがありありと目に浮かぶなぁと苦笑いをしていました。
先日久しぶりに(母の葬儀などで)叔母たちに会いまして。
叔母たちが若い頃に田植えをしていた話になり、その様子を聞きました。
私は本人たちから昔話を聞くのが大好きなのです😊
まだ幼い頃から田んぼに駆り出され、学校も休んで朝からずっと田植えをするわけです。
田植えをする日はほぼ決まっており、それを逃すとうまく育たない。
それを人の手でしていたのですからそれは大変ですよね。
そこで親戚どころか、近所の人たちも加わり一斉に田植えをして、自分の家だけではなく、近所の田んぼの田植えも一気にやってしまった。
文字通り朝早くから日が暮れるまでしてきたそうです。
「うちの母が全然役に立たなかったみたいなことを聞いていたけれど」
と叔母たちに言うと、笑いながら、「そうだったかなぁ。まあ慣れてないんだからすぐに上手くできなくても仕方ないわなぁ」などと朗らかに笑っていました。
叔母たちのどんなことも決して悪く言わないところが好き😆
ずっと1日中腰をかがめ、ひたすら泥につかりながら田植えをしていく。
足元もとられてしまい、ただ動くだけでも大変。
しかも朝から晩までずっと腰をかがめてなくてはいけず、泣きたくなるほど辛かったそうです。
そんな時に叔母たちの母、つまり私の祖母が、いつも
「とっても上手だなぁ」
「本当に偉いなぁ」
と褒めてくれたそうです。
実際は叔母たちはまだ子どもだから、まっすぐ植えられていなくて、所々曲がっているのに、
「なんもなんも、上手だぁ」
といつもとっても褒めてくれたそうです。
おばあちゃん(涙)
祖母はとても優しい人で、そして泣き虫で。
いつも大丈夫だと朗らかに笑い、優しく褒めてくれていた記憶しかないそうです。
私が2歳の時に亡くなってしまったのですが、ほとんど記憶もないのに、祖母がとっても大好きなのは、彼女が親戚一同にとても愛されていたからかもしれません。
全然稲刈りの話ではなく、祖母の話になってしまいました。(笑)
ちなみに写真は、春に父の実家に行ったときのすぐそばに見えていた羊蹄山です。
七十二候の説明
「二十四節気」は、立春や夏至などを含む、半月(15日)毎の季節の変化を示すもの。
古代中国で暦として発達してきました。
これをさらに約5日おきに分けて、気象の動きや動植物の変化を知らせるのが七十二候(しちじゅうにこう)です。
こちらも古代中国で作られましたが、二十四節気が古代のものがそのまま使われているのに対し、七十二候は日本での気候風土に合うように改定されました。