シュガーポット ――早春――

夫宅のシュガーポットが空になった。
補充用の砂糖も切れている。
私の自宅から、補充用の砂糖を持って行った。

空っぽのシュガーポットを開ける。
7分目くらいまで砂糖を入れ、フタをする。

透明なピンク色で、キティちゃんがプリントされたシュガーポット。
夫の趣味にしては可愛らしすぎる。
使い込み具合からみても、水道蛇口のシャワーヘッドと同じく、亡き先妻さんが選んだ物かもしれない。

砂糖を入れると、キティちゃんの姿がよりくっきりと見える。
可愛らしいシュガーポットを使えるだけで、心が弾む。

冷蔵庫の中を眺めたあと、砂糖で甘くしたピーチティーを飲みながら、夕食のプランを立てて、夫の帰宅を待った。

***

二部作です。
「晩秋」と対になっています。

シュガーポット ――晩秋――

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