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馬VS尻:6時間マッチのはなし キルギス1

夏休みにキルギス旅行に行ってきました。

ビシュケク→コチュコル→ボコンバエバ→ビシュケクと移動しました。
コチュコルではKo'k Ko'l(緑の湖)という山の向こう側の秘境へ。

キルギスへ来たからには乗馬がしたいと、意気揚々と馬に乗り込んだわけです。


乗馬開始

コチュコルの中心からタクシーで10分ほど。山のふもとのお家で馬を借ります。
男の子が馬に乗って颯爽と駆けてきました。
今回のパーティは私とキルギス協力隊の2人とガイドのお兄さんの4人。
お兄さんの名は、なんとかバイケ。
馬に乗って湖を目指すということで、
「観光客向けのユルタキャンプでキャッキャウフフと乗馬するのとは訳がちがうぜぇ。馬に乗って移動する、これが乗馬の本来の姿ってやつよぉ。。!」
なんて粋がっていたわけです。このときは。

民家で馬を借りる

行軍開始

軽く馬の扱い方を教えてもらい、いざ行軍開始。
が、なかなかうまくいきません。
あっちへ行ってほしいのにこっちへ行ったり、草を食みだしたり。
手綱は馬が痛がるところを引っ張るものらしく、力加減を遠慮してしまいます。
バイケから「もっと強くやるんだ」と言われてしまいました。

ちなみにこのバイケ、パーティーメンバー(26歳女性)に対して100回ぐらい「早く結婚しろ」とけしかけていました。俺と結婚してほしい。

非常にバカンス気分なわたくし。

湖まで

馬操りは慣れてくると面白いものです。
自分で馬を操って進むという快感。草原の旅人、いざゆかん。
草原を渡り、川を越え、山道を進みます。
道中、ハイキング中らしき欧米人と中国人を見かけました。
しかし馬で行く人には出会いません。

道中、私たちの馬乗りがあまりにも遅く、馬同士ひもで繋がれてしまいました。通称poezd(電車)です。

poezd(電車)になる前。

道の下の方に川が流れて涼しくなってきました。
いくつかの峠を越えたころ、向こうに荒々しい崖が見えてきます。
我々を迎えるかのように鷹が旋回し、涼しい風が吹き抜けました(きっと吹いたはず)。
そして目の前には緑の湖が広がったのです。

旅の目的地のKo'k Ko'lとローカルおばあちゃん。

尻が壊れはじめる

ところで、湖までの道のり、実に3時間。
そして馬というのはダイエット器具のもとになるぐらいですから、たいそう揺れます。
そう、尻が壊れ始めます。具体的には2時間経ったあたりから違和感を感じ、湖に着くころには半壊状態でした。
湖のほとりでキャッキャウヒヒと遊ぶ私たち。
しかし頭の片隅には不安がよぎるのでした。
(この尻で帰りの3時間、大丈夫だろうか・・・)

あつまれ家畜天国
あの山を何回か越えればナリン州州都ナリン市
キャッキャウヒヒとしながらもふとした瞬間に尻がよぎる
帰り路を思い途方にくれるワタクシ。

帰り道、それは尻痛との闘い

馬に乗った瞬間から尻が痛い。
座骨が悲鳴を上げている。
ついでに尻の膨らんだところと太ももとの谷折りの部分が擦りむいて痛い。
馬が上下するたびに座骨が割れそうになる。
空手家は部位鍛錬をするというが、我々の尻は彼らの拳にも負けない固さになるかもしれない。

競馬のジョッキーみたいに尻を上げたままキープしたり、子どもの自転車荷台尻置き運転ポーズをしたりするが、回復には至らない。
なんなら3人でしりとりをして気を紛らわせるのが一番の尻対策だった。

しりとりすらできなくなり、無言で耐えること2時間。
ようやくふもとのお家に帰ってきました。
ガイドの奥さんがお茶とパンをふるまってくれます。
僕らが腰かけた椅子には尻にやさしいクッションがありました。

行くしかない。この尻が砕けようとも。
痛くない瞬間がない。
来るときは「わー、村が見えなくなったー!」とか言って喜んでいたのに、
今はこの道のりに絶望している。
ようやく、ようやくこの戦いが終わる。

なんだかんだ言ったけど

尻との闘いは過酷なものでしたが、それも含めて馬旅というのはよいものです。
草原を馬で歩き、鳥のさえずり、牛のモーー、川の音、そしてなによりシルクロードを馬に乗って旅している、そういう旅情があります。
刺すような日差しや雲がかかったときの涼しさ、なにより馬上で感じる草原。
自然の中を生きている気持ちになります。
自然の中を歩んできたのでした。

下山、そして町へ。
コチュコルに温泉があったらウケると思います。温泉隊員の創設が待たれる。
ロシア料理?でしょうか。コチュコルの大きいお店で。
帰りにビールを買って寝ました。

つづく。

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