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筆先から生まれる音楽を

あるお茶席で、「書道を習ってみたいんですよね」と呟いたら、「それならいいところがあるわよ」と同席の女性に教えていただいて始めたかな書のお稽古。神楽坂の教室に出向いて何よりも感動したのは、根本知先生がお手本を書いてくださる、その筆先の美しさでした。

たゆたうようにゆったりと、時に素早く、優雅な生き物のように動く筆先から、みるみる線が生まれ、それが文字となり歌となってひとつの紙に収まるまでの数秒のうつくしさ。その一連の動作は、私にとってはこれまでに体験したことのない、音楽でした。

この美しさをみんなに見てもらいたい、そう思って書とピアノのコンサートを開いたのは2020年の1月のこと。寺内園生さん、尾高尚忠さんといった邦人作曲家のピアノ演奏に合わせ、根本先生が歌を書き、その筆先を後ろのスクリーンに大きく映し出しました。

2020年1月書とピアノのコンサート

その後もこうした企画を広げていきたいと考えていましたが、その後待ち構えていたようにコロナがやって来て、オフラインの企画をあきらめてWEB企画「ひとうたの茶席」をはじめ、今に至ります。

この度、ピティナ特級のクラウドファンディングで、ピアニストであり作曲家の片山柊さんに、筆先のための音楽を作曲していただくことになりました。

いずれは「ひとうたの茶席」のイメージ映像と合わせる音楽として使えたら、と思っています。

片山柊さんは、2017年のピティナ特級グランプリ。

私は、2年前にピティナ特級公式レポーターで作曲家としての片山さんにインタビューをさせて頂いた時に初めてお会いました。

繊細で静謐な佇まい、どんな小さな言葉にも丁寧に応えてくれる姿勢、音楽への真摯な熱量。きっとこの方なら、ぴったりな曲を作ってくれるだろう。そう考えてお願いいたしました。

先日の事前打ち合わせでは、片山さんはちょうど最近直島の李禹煥美術館を訪れ、筆のストロークと音楽に近しいものを感じていたところなのだそうです。

これから書や花、撮影の様子もご覧いただきながら、時間をかけて、作品を作っていただきます。
どのような作品となるのか、私もとても楽しみです!