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裏から読み解く、妄想!プログラム戦略

いよいよ特級、セミファイナルステージが明日、8月18日(金)となり、プログラムが公開されました(ページ中央のPDFをダウンロードしてくださいね)。読み応えのあるプログラムノートから、作曲家や曲の由来、プログラムに秘められたストーリーを読み解くことができます。

下記動画では、聴きどころ解説、そしてコンテスタントたちの最新インタビューも見られますよ。

特級公式レポーターカイネ♪あのんさんの記事も合わせてごらんください。

♪♪♪

さてさて、私はセミファイナリストたちのプログラムを改めて眺めながら、実際のところ、彼らはどんな風に50分のプログラムを組んだのだろう、とその裏側を妄想していました。

♪まずはメインディッシュから・・

まずはメインディッシュを決めるように、今、一番弾きたい1曲を決めると推測されます。きっとこの1曲を選ぶことは、さほど難しくないでしょう。だって弾きたいんだもんね。

もちろん全員がその曲を持っていますが、インタビューで「この曲を弾きたかった!」と明確におっしゃった小野寺 拓真さんにおけるワーグナー=リスト:歌劇「タンホイザー」 序曲 S.442や、シューマンが大好きな三井 柚乃さんにおけるシューマン:幻想曲 ハ長調 Op.17などがそのような位置づけでしょう。

その上で、時間の制約を考慮しながら、手持ちの曲の中を探していくのではないでしょうか。

いくら経験豊富な特級の出場者たちといえども、大切なセミファイナル。過去に、あるいは本番までに何度も演奏機会を持てて、「手になじんでいる」、また思い入れのある曲たちを組み合わせていくに違いありません。ストーリー性を持って組み合わせることで、自分の個性を最大限発揮できる曲たちがあるか、という視点でまずは手持ちの曲を見直していくのだと思います。

♫このプログラムで勝てるかどうか

そうして出来上がった仮のプログラムを見ながら、考えるのはきっと、「このプログラムで勝てるかどうか」。自分の魅力をいろんな角度から見せようとするプログラムにするか、それとも誰にも負けない強みを最大限見せられるプログラムにするか。技術を見せるか叙情を見せるか。はたまた独自の世界観を提示するのか。どういうストーリーで展開していくか。きっとそういった細かな試行錯誤を経て、プログラムは決められていくのでしょう。

「はじめまして、こんにちは」から始まり、徐々に深いところに誘導していく、スマートで信頼できる水先案内人のような、嘉屋 翔太さん鈴木 愛美さん

対比的な絵画を提示するように大曲を二つ並べる、小野田有紗さん神原雅治さん。プログラム全体で、独自の世界観を提示する、山田ありあさん

そうした選択にも、コンテスタントの人間性と音楽性が自然と見えてきます。

♬そして細かな調整を・・

そこからはあれこれと、微細な調整が始まるのではあるまいか、と私は妄想をたくましくするのであります。

極度に緊張する可能性のある本番。万一、前半の早い段階でミスをしてしまったら、その後の集中力を保つことが難しくなりそう。前半に、「何があっても安全な」一曲を置いておく、という戦略を取るピアニストもいるのでは?

そして、本番で初めて触るピアノに身体がなじむまでには少し時間がかかるはず。繊細で複雑な音色づくりが求められる曲を、一曲目として避けるコンテスタントもいるでしょう。

それから、体力と精神力の見込み。50分という時間、つい力んでしまう腕や緊張の途切れ、それらをどうコントロールして最大限のパフォーマンスにつなげるか。これもピアニストとしての能力のひとつです。気持ちと腕の疲れをそっとなだめ、それでいて音楽的にも意義のある、緩衝的な一曲を挟み込む選択もあり得るかも知れません。

🎶邦人課題曲の存在

こうした複雑な要素の上に、セミファイナルでは、プログラム作成時には分からない邦人課題曲がぽん、と入ってきます。(特級公式レポーター 山本知恵さんによる邦人課題曲紹介はこちらから!)

音楽的には、準備したすべての曲を弾き終わった後にアンコールとして邦人課題曲を持ってきたい、と思ったとしても、その時に体力が残っていないかも知れない。暗譜で弾くことを考えているのなら、なおさらです。とすると、一曲めに、という選択をするのか、それとも曲間に入れ込むことができるのか?

邦人課題曲の存在は、コンテスタントにとっては腕の見せどころ、そして私たち聴き手にとっては大変楽しみな要素でもあります。

♩終わりに

プログラム作りを通じ、常に基準となるのは、自分自身に対する自信です。このプログラムを弾き切れるだろうか、そして自身を最大限表現できるだろうか。そうした自問自答を繰り返し、コンテスタントたちは渾身のプログラムを練り上げるのではないでしょうか。

こうして考えてみると、改めて、コンクールにおけるプログラムづくりが、大変に高度で、知的な、面白い作業だと思えるのです。だからこそ、プログラミングの能力も、特級においては演奏家としての資質の評価に含まれているのでしょう。

全ては私の想像にすぎませんが、明日のセミファイナルでは、プログラムに込められた意図に想いをはせながら、耳を傾けたいと思います!

セミファイナルは、第一生命ホール(大江戸線勝どき駅)にて、8月18日(金)10:30開演(10:00開場)です。(オンライン配信は下記URLから)


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(画像提供:ピティナ)