見出し画像

夏休み

散歩をしていたら、小学生2年生くらいの男女の帰り道に遭遇した。
男の子はスポーツメーカーの黒いリュックとシャツ、女の子はピンクのリュックにリボンの着いたキャップ。動きやすいのにフェミニンでかわいくしていて、お母さんのセンスが想像できる。

同じ方向に向かっていたので、なんとなく後ろを着いて歩いたら、男の子はそれはそれは振る舞いがかっこいいのだった。多くの大人がそのまま渡ってしまう押しボタン式横断歩道はもちろん正しく待ち、渡る際には女の子の手を自然に取ろうとした。

狭い道に大きなトラックが差し掛かったのを見た途端にウィンカーを認識し、「曲がるよ、」と言って女の子の腕を取って絶頂期のキムタクのようにややぶっきらぼうに端に寄せ、トラック側をしっかりと歩いた。少しの緊張と俺が守る!という肩の力が眩しくて目が眩みそう。

お、おばちゃんと付き合ってくれないかな。。

女の子はそうされることに慣れているのか気付いていないのか、自然に話したり笑ったりしている。トラックの排ガスが「臭いね!」と笑い合った。再び目が眩んだ。

あまりに自然だから兄妹なのかな、と思ったが背の高さが全く一緒だし、その後違う方に分かれたようだ。

「俺、○○に電話しよっかな」
「うちに帰らないと電話できないよ」(まだ電話を持っていないらしい)
「そこのこども病院に借りたらいいよ」
賢い。

男の子のスマートさは女性に向けたもの、というよりも男女問わず人に丁寧なのだろう、という感じがした。危険を正しく察知し、社会に適応し、身の回りの物を駆使して仲間も守り、楽しく過ごしている。この先どんなことがあっても、乗り越えていけそうだ。

一方女の子の方は、自覚のあるなしに関わらず、当たり前のように一生男子に優しくしてもらえそう。男女で語ることに厳しい世の中ではありますが。
その後少年は、別の、虫取り網を持った昭和的男子に手を振って、車に会釈しながら道を渡り、帰って行った。

尊いひと時をありがとう。賢き少年少女らに幸あれ、と私もバレぬよう、小さく手を振った。