【感想】「本屋さんのダイアナ」を読んで
ダイアナと彩子という、家庭環境の全く異なる二人の少女が互いに興味を抱き始めるところから物語が始まる。キャバクラで働く母親に金髪に染められ奇抜な恰好をしているダイアナと、落ち着いた家庭で育ったお淑やかな彩子。正反対に見える二人だが、本の趣味がぴったり合うという共通点からすんなり仲良くなる。小学生だった少女たちの、中高生、大学生、そして社会人までの成長過程を描く。彼女らの繊細な気持ちの揺れ動き、迷いや葛藤が丁寧に描き出される。
物語が進むにつれて様々な要素が足されてく様子が、2人の成長をよく映している。 同時に、一貫して互いに憧れを抱き続けていたことは少し切なくも感じられた。憧れは、コンプレックスに根を持つことがある。自分にないものを持ってる人への羨望のような気持ちだったりもする。結局は2人とも自分のことを素直に受け入れられないまま過ごしていたのだと感じた。一方で、その中でも相手にマイナスの感情を持つことがなかったところがとても良かった。