東大入試に中学で学習した作図で立ち向かう~円周率~
1 はじめに
大学入試問題は良問が多くあります。
私は2003年の東京大学のこの入試問題が好きです。
この問題は伝説の問題として、色々なサイトで取り上げられています。一般的には高校数学で学習した知識で解くことが可能です。このサイトは数式を使った色んなアプローチが書かれていて分かりやすいです。↓↓
私は、中学校で学習した作図でこの入試問題に挑戦してみました。
ただし、ここで書く内容は、厳密にいうと「証明」ではありませんので、ご容赦ください。
最後まで読んでいただけると、うれしいです😆
2 アルキメデスの方法
アルキメデスの方法は、円に内接する正$${n}$$角形と外接する正$${n}$$角形を作図して、$${n}$$の値をどんどん増やして、内接・外接する正多角形の外周で円周を挟み込んで近似していく方法です。
3 円周率を求める方針
次のようにして、円周率を計算しました。
まず、半径5cm(直径10cm)の円をかきます。
この半径の円にしたのは、円周率を求めるときに計測した長さを10で割ればいいので計算がラクだからです。1cmにしてしまうと、小さすぎて計測しにくいです。
次に、円に内接・外接する正方形などをコンパス・定規を使って作図します。
最後に、作図した内接・外接正$${n}$$角形の外周をコンパスで直線に移してその長さを物差しで測ります。コンパスで直線に長さを移すことで、より正確な長さが分かります。
4 内接・外接する正方形でアルキメデス!
今回、作図の手順は、記事が煩雑になりそうなので省きます。もし必要であれば、コメントでお伝えください!
それぞれの外周を計測すると、
内接正方形 28.54cm 外接正方形 41.12cm
でした。ただし、小数第2位は目測です。有効なのは小数第1位までです。
アルキメデスの方法から、
28.54<円周<41.12
円周=直径×πで、円の直径は10cmなので、
28.54<10π<41.12
よって、
2.854<π<4.112
ということがわかります!
東大の問題は、π>3.05を示さないといけないので、まだだめですね。
5 内接・外接する正八角形でアルキメデス!
それぞれの外周を計測すると、
内接正八角形 30.51cm
外接正八角形 33.71cm
でした。ただし、小数第2位は目測です。
アルキメデスの方法から、
30.51<円周<33.71
円周=直径×πで、円の直径は10cmなので、
30.51<10π<33.71
よって、
3.051<π<3.371
東大の問題は、π>3.05を示さないといけないので、これでできました!!
つまり、内接正八角形を作図できれば、この問題は解けたんですね!!
※厳密には、証明ではないので「解けた」ではなく、証明の見通しを立てられたといえます。
6 π=3.14はいつ言えそう?
内接・外接正八角形では、3.051<π<3.371だったので、πの一の位が「3」だとわかりました。でも学校で習うのは、π=3.14なのでかなり粗い近似です。
そこで、内接・外接正十六角形を作図してみました。
アルキメデスの方法から、
31.41<円周<32.60
よって、
3.141<π<3.260
でした。これでも、小数第一位すら決めることができません。
7 作図の限界
正十六角形あたりが、作図で調べる限界かもしれません。
理由は、作図の誤差です。内接・外接正十六角形の外周の理論値は、
内接 31.21cm(誤差0.2cm)
外接 31.83cm(誤差0.8cm)
なのです。この誤差は、正三十二角形、正六十四角形、・・・と増やしていけばいくほど、広がってしまいます。
半径を50cmにするなど、円を大きくすれば、誤差を減らせるかもしれませんが・・・
ちなみに、理論値ですが正六十二角形の作図から、π=3.14といえます。
8 おわりに
今回は、中学校で学習した作図を駆使して東大の問題にチャレンジしました。答えに行き着くポイントは、「内接正八角形」でした。
東大の問題のように、これまで当たり前だと思っていたものの本質を問われる問題は大学入試に見られますね。それは意外と小学生・中学生でも取り組める問題かもしれません。
私も今回作図してみて、改めて$${n}$$を増やすと、円周を絞り込めることがわかりました。
また、外接する図形はどうすればかけるのか、意外と考えさせられました。
円周率を求めるというのは、現代でも行われています。アルキメデスの時代から考えると、約2200年も色々な方法で求められ続けています。何か人を魅了するのでしょうね!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!