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どんな数にも魔法をかけてご覧いれます〜魔方陣を作るまでの道のり①(定和)

1 はじめに

 これまでに4×4や8×8の魔方陣を作りました。

また$${4k}$$次魔方陣は、なぜ市松模様を利用して作れるのか証明をしました。

 ではもっと一般的に、$${n}$$次魔方陣は作れるのか、それは市松模様を利用できるのか考察していきます!
 タイトルには、「どんな数にも」と書いておりますが、「任意の数」で魔方陣を作るのではなく、1〜$${n^2}$$の数を使った$${n}$$次魔方陣を作ることを考えます。

2 n次魔方陣に市松模様は利用できるか?

 $${4k}$$次魔方陣は、市松模様を利用して魔方陣が作れることを示すことができました。
 ではそれ以外の魔方陣は市松模様を利用して作れるのか?
 結論からいうと、できません
 以前私が書いた「証明する」記事を見ていただくとその理由は明白です。
 市松模様を利用して魔方陣を作る場合、中心に関する対称移動をします。つまり中心に関して対称の位置に2つの数がないとできません。下に5次魔方陣を例に挙げていますが、そもそもどこが中心かわかりませんし、中心を3行目にある数字と3列目にある数字を中心としたら、これは緑と黒のどちらを塗ればいいのかわかりません。

4次魔方陣をつくる場合、上のように中心に関して緑と黒のマスが半分にしないといけない
5次魔方陣を作ろうとしても、中心がわからない

3 n次魔方陣の各行、各列、斜めの和はいくつなの?

 数字を入れ替えるための目標は、縦、横、斜めの数の和をそろえることでした。では、$${n}$$次魔方陣の各行、各列、斜めの和はいくつになるように数を移動すればいいか考察します!

 ここで1つ、新しい用語です。
 $${n}$$次魔方陣の各行、各列、斜めの和の値を、$${n}$$次魔方陣の定和といいます。

 ではまず、5次魔方陣の定和を考えてみます。
 5次魔方陣には、1~25が1個ずつマスに書かれています。また、行と列の数は5個ずつです。
 このことから、1~25の数がどこに書かれるか分からなくても、1~25の和を5で割った値が定和になるといえます。
$${1+2+…+25=325}$$だから、それを5で割った65が定和になります。

 これを利用して、$${n}$$次魔方陣の定和を求めます。
 $${n}$$次魔方陣には、$${1~n^2}$$が1つずつ書かれています。その和は、
 $${1+2+3+…+n^2=\frac{1}{2}n^2(n^2+1)}$$
 行と列の数はそれぞれ$${n}$$個あるから、上の値を$${n}$$で割ります。
 $${\frac{1}{2}n^2(n^2+1)÷n=\frac{1}{2}n(n^2+1)}$$
 これが$${n}$$次魔方陣の定和です。

4 おわりに

 今回、$${n}$$次魔方陣の定和を求めることができました。
 これで市松模様は使えませんが、数字を入れ替える「目標」のようなものができたのではないかと思います。
 次回の記事では、$${n=1,2,3}$$の魔方陣を考察して、$${n}$$次魔方陣を作る手順のきっかけを掴めればと思います。
 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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