【高校数学Ⅲ】指数と底が変数なら対数微分法!

1 よくある間違い

 高校で数学を学習すると、ほとんどの人が微分積分というものを学習します。その中でも最も基本的な微分は、$${y=x^n  (nは定数)}$$の微分です。この式を$${x}$$で微分すると、
 $${y'=nx^{n-1}}$$ ・・・①
となります。例えば、$${y=x^2}$$を微分すると、$${y'=2x^{2-1}=2x}$$という感じです。じゃあ$${y=x^x}$$を微分すると、
 $${y'=xx^{x-1}}$$ 
と考えますよね?でもこれは間違いなんです!!

2 そもそも微分とは?を考えると分かる!!

 $${y=f(x)}$$微分は、次のように表されます。
 $${y'=\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}}$$ ・・・②
 $${y=x^n  (nは定数)}$$を微分すると、$${y'=nx^{n-1}}$$になるのは、②を使って
 $${y'=\lim_{h \to 0}\frac{(x+h)^n-x^n}{h}}$$
    $${=\lim_{h \to 0}\frac{x^n+_nC_1x^{n-1}h+_nC_2x^{n-2}h^2+…+h^n-x^n}{h}}$$
    $${=\lim_{h \to 0}\frac{_nC_1x^{n-1}\cancel{h}+_nC_2x^{n-2}h^1+…+h^{n-1}}{\cancel{h}}}$$
    $${=nx^{n-1}$$
だからです。
 じゃあ$${y=x^x}$$の微分は、②の式を使って
 $${y'=\lim_{h \to 0}\frac{(x+h)^{x+h}-x^n}{h}}$$
となります。ここで分子の$${(x+h)^{x+h}}$$なんですが、どう展開していいか困るんです。なぜなら底にも指数にも変数$${x}$$が入っているから!!

3 『底』も『指数』も変数⇒『指数』のみ変数にする式変形を考える

 では見出しの通り、指数のみ変数$${x}$$にする式変形を考えます。
 $${y=x^x=e^{\log{x^x}}=e^{x\log{x}}}$$・・・③と変形すればいいんです。これで『底』は定数で、『指数』は変数にできたので微分します。
 $${y'=e^{x\log{x}}×(x\log{x})'}$$
  $${=e^{\log{x^x}}×(\log{x}+1)}$$
  $${=x^x(\log{x}+1)}$$

4 『底』も『指数』も変数⇒積の形に変形する対数微分法

 $${y=x^x}$$は、両辺とも正の数なので、両辺に自然対数をとると、
 $${\log{y}=\log{x^x}}$$
 $${\log{y}=x\log{x}}$$
 両辺を$${x}$$で微分すると、
 $${\frac{y'}{y}=\log{x}+1}$$
 $${y'=y×\log{x}+1}$$
 $${y'=x^x(\log{x}+1)}$$
 3で示した方法でも可能ですが、対数微分法の方が形式的にできるので、学校ではこちらの方法を教えますね!
 他にも$${y=x^{\frac{1}{x}}}$$、$${y=x^{\sin{x}}}$$に対数微分法は使えます。

5 最後に・・・

 今回は$${y=x^x}$$の微分を考えました。
 じゃあ、$${y=x^{x^x}}$$の微分はどんな結果になるだろう?
 $${y=x^{x^{x^x}}}$$の微分は?
 このように、$${y=x^x}$$の微分ができたから終わりではなく、これをきっかけに「こんな場合は?」と考えていくことが数学の力を高めることにつながります。


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