Mayu

フィンランド🇫🇮アールト大学の大学院生(Design)。人文学科で美術史・デザイン史を学…

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フィンランド🇫🇮アールト大学の大学院生(Design)。人文学科で美術史・デザイン史を学んだのち、メーカーでのインハウスデザイナー勤務を経て、単身フィンランドへ。デザインとフィンランドの暮らしについて書いています。

マガジン

  • フィンランドとデザイン

    フィンランドデザインについての学びや気づき。フィンランドデザインの歴史から、最新のデザインまで幅広く書いています。

  • フィンランドの暮らしと文化

    フィンランド大学院留学生の暮らし。単身フィンランドに渡航して、色々ありますが、なんとか毎日やっている日々の記録です。フィンランドの暮らし、女性一人でフィンランドに住むこと、大学院生の生活に興味がある方はよければご覧ください。

  • 【デザイン・美術】展示会の記録

    デザイン、美術関連の展示会の記録です。現在はフィンランド在住なので、フィンランド、ヨーロッパの展示会情報が主です。

  • Aalto大学大学院でのデザイン学び直し

    Aalto University/ IDBM (International Design Business Management)でデザインを専攻しています。主に大学での学びや、デザインについての学び直しを記録しています。

最近の記事

夏だけ見られるナショナル・ロマンティシズムの代表作ヴィットレスク【フィンランド建築】

こんにちは、フィンランドにデザイン留学をしています、Mayuです。 ヘルシンキの街を歩いていて面白いなと思うのは、現代的な建物から、モダニズムの時代のすっきりとした建物、古典的なヨーロッパ風の建物など、ごく狭いエリアの中にさまざまな様式の建物が共存していることです。それらの中で、おとぎ話に出てくるような装飾がついた重厚な石造りの建物を目にすることがあります。これらはナショナル・ロマンティシズムと呼ばれ、フィンランドがロシアから独立する1917年の少し前、19世紀から20世紀

    • アールト最後の個人邸宅ヴィラ・シェペット【フィンランド建築】

      ヘルシンキ中央駅から近郊電車を乗り継ぎ1時間半ほどで、タンミサーリという海辺の街に到着します。16世紀の木造建築を多く残した美しい港町を20分ほど歩くと、ヴィラ・シェペットの愛称で呼ばれる、アルヴァ・アールト(1898-1976)設計の個人邸宅、シルツ邸(1969-1970)に到着します。 私邸として長く使用されていた本邸宅が一般公開されるようになったのは数年前。そのため、他の見学可能なアールト建築に比べて知名度はまだそれほど高くないように思います。私が見学した際も、私以外は

      • フィンランドのカフェの話:インフォーマルパブリック

        先日まで、日本から姉がフィンランドに遊びにきてくれていた。姉はフィンランドで何かしたいことがあったわけではないらしく、しかも私は夏の間は週5日で働いていたので案内することもできなかった。姉は観光地もあまり関心がないようだったので楽しめているか心配していたけど、そんな心配をよそに、姉はすごくフィンランドで過ごした1週間がとても楽しかったらしい。本当に街をただブラブラして、目についたお店に入り、疲れたらカフェで休憩して、また歩いて、カフェで休憩して、を繰り返していたらしい。 「フ

        • アールト建築の傑作、マイレア邸への日帰りトリップ

          こんにちは 先日、アルヴァ・アールト設計のマイレア邸のガイドツアーに参加しました。マイレア邸は20世紀住宅の最高傑作の一つとも言われており、現在はガイドツアーによってのみ内部の見学が可能です。 ヘルシンキから片道4-5時間と、決して近い距離ではないのですが、その時間をかけてでも訪れる価値のある場所でした。 ヘルシンキから長距離列車で約4時間、西フィンランドの港町ポリからさらにローカルバスで30分ほど。ノールマルクの森林を抜けると、マイレア邸が姿を現します。 マイレア邸は、

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          ヘルシンキからフェリーで行くエストニア小旅行【エストニア国立博物館】

          こんにちは、フィンランドで大学院生をしているMayuです。 バルト海を挟んでフィンランドの首都ヘルシンキの対岸に位置するエストニア。特に旧市街が残る首都タリンは観光地としても人気で、ヘルシンキからフェリーで2時間という手軽さもあり、日帰りで旅行される方も多くいます。また物価がフィンランドに比べて安いことから、フィンランドの方も週末になるとエストニアに出かけていって、お酒をたくさん買い込んで帰ってくるそう。 今回はタリンには滞在せず、エストニアの南東にある第二の都市、タルト

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          Milano Design Week 2024の記録と雑感

          こんにちは。フィンランドのAalto大学大学院にデザイン留学をしています、Mayuです。 タイトルの通り、ミラノデザインウィークを見に行きました。ちょうど大学でEvaluation Weekと呼ばれるピリオド間の休みと重なっており、丸1週間滞在することができたものの、全く見切れず、改めてその規模の大きさを感じることに。ですが4月のミラノは既に初夏の陽気で、今年はお天気も良く最高でした。 今年で62回目の開催となるミラノサローネ国際家具見本市は、毎年4月にミラノで開催される

          Milano Design Week 2024の記録と雑感

          雪降る日に復活礼拝堂(Erik Bryggman設計)を再訪した

          こんにちは、Mayuです。私は今フィンランドのAalto大学大学院にデザイン留学をしています。私のnoteではデザインとフィンランドでの日々について書いています。 先日、トゥルクにある復活礼拝堂(Ylösnousemuskappeli)を訪ねました。8年前にも訪れたことがあるのですが、その時はろくに調べもせずに一人でふらっと行ったため、ちょうどお葬式が行われている最中でした。 遠目に建物の外観だけ見て、帰ろうと思った時に、スタッフのおじさんが声をかけてくれて、入っていいよ

          雪降る日に復活礼拝堂(Erik Bryggman設計)を再訪した

          フィンランド デザイン・建築博物館のこれまでとこれから

          こんにちは、フィンランドAalto大学大学院にデザイン留学をしています、Mayuです。 以前の展覧会記録で少し触れたのですが、フィンランドのデザイン博物館と建築博物館が統合移転されるそうです。現在は最終決定の合意段階で、これから建築コンペが始まるみたいです。(2023年12月現在) この二つの博物館は、Korkeavuorenkatuという地区にあり、二つの建物は今現在もすぐ近く(徒歩30秒)にあります。これらが一つの建物に統合され、運営母体となる新たな会社も設立されるそう

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          Garden Futures展:大好きなデザイン博物館・建築博物館にあと何回いけるのか

          こんにちは、フィンランドのAalto大学大学院にデザイン留学をしています、Mayuです。 ヘルシンキのデザイン博物館と建築博物館で共同開催中の展示会、Garden Futures: Designing with Nature に行ってきました。 ヴィトラデザインミュージアムがキュレーションした展示会の巡回展になるのですが、デザイン博物館と建築博物館の初の共同開催ということで、けっこう大々的に告知していたので気になっていたんです。 展示の趣旨としては、庭園が人間の活動にどの

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          カイヤ・アーリッカ展:アーリッカの創設者のお話

          こんにちは、フィンランドAalto大学大学院にデザイン留学をしています、Mayuです。 先日、ヘルシンキのタイデハッリで開催されていた、カイヤ・アーリッカの展示を見てきました。 カイヤ・アーリッカ(Kaija Aarikka1929-2014)はフィンランドのデザイナーで、アーリッカ社を設立した起業家でもあります。アーリッカと聞いてピンとこずとも、この羊を見たことがある、という方は多いのではないでしょうか。アーリッカはヘルシンキのエスプラナーディ通りにも店舗があり、フィンラ

          カイヤ・アーリッカ展:アーリッカの創設者のお話

          フィンランドの”今”が見つかるデザインギャラリー、LOKAL

          こんにちは、フィンランドAalto大学大学院にデザイン留学をしています、Mayuです。 ヘルシンキにはiittala、artek、marimekkoをはじめとしたデザインショップや、セカンドハンドのお店があちこちにあり、街中の至る所でこれらの名作デザインやヴィンテージのプロダクトに出会うことができます。 一方で、フィンランドで今活躍している、注目されているデザイナーは?どこで出会えるんだろう?というと、なかなか見つけるのが難しいんです。 名作デザインだけでなく、「フィンラ

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          【行き方解説付き】パイミオのサナトリウムの当時の暮らし。本当に"機能的"であるということ。

          パイミオのサナトリウムはフィンランドの機能主義建築の代表作として、また建築家アイノ、アルヴァ・アールト夫妻の出世作としてよく知られています。パイミオのサナトリウムが名作と言われる所以は、単にフィンランドに機能主義建築をもたらしたということだけでなく、使う人の気持ちや心地良さを機能主義建築の言語に融合させた「人間的な機能主義」を結実させたことにあります。 ユネスコ世界遺産にも登録されている同建築は、現在パイミオ・サナトリウム財団によって管理運営され、見学ツアーが提供されています

          【行き方解説付き】パイミオのサナトリウムの当時の暮らし。本当に"機能的"であるということ。

          Aalto大学でのデザイン修士を目指される方へ。IDBM(Design)の雰囲気や学んでいること。

          こんにちは、Mayuです。私は今、フィンランド Aalto大学の修士課程、IDBM (International Design Business Management)でデザインを学んでいます。 10月も半ばに差し掛かり、海外大学院の出願準備を進められている方は、モチベーションレターやポートフォリオ作成に本腰を入れられる頃ではないでしょうか。モチベーションレター作成にあたっては、「自分が何を学びたくて、大学では何が学べて、だから私はあなたの大学に行く必要があるんです」という

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          フィンランドの食文化について思うこと、ゼロウェイストレストランNollaと学食

          先日、ヘルシンキのゼロウェイストレストラン Nolla(ノッラ)を訪れました。最初はゼロウェイストを実践しているレストランだとは知らなくて、何度か前を通りかかった時に素敵な店内だな、と思って、ずっと気になっていたんです。 一言で言うと、食事は本当に楽しくて最高におすすめのレストランです。期待していた通り、インテリアがまず素敵ですごく居心地が良かった。Nollaは食事だけでなく、ペーパーナプキンやスタッフの方が着用するエプロンなど、細部までゼロウェイストにこだわっているそうで

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          フィンランド最大の家具見本市、Habitare 2023

          Habitare(ハビターレ)はフィンランドで開催される、国内最大規模のインテリア・家具の見本市です。フィンランドのブランドが主ですが、他国のブランドも出展しています。2023年度のテーマはTogether。9/13-9/17まで開催され、41,560人が訪れたそうです。同時期に開催されているヘルシンキデザインウィーク(2023年度の記事はこちら)が「市民を巻き込んでデザインを考える場」であるのに対して、ハビターレの方がショーケース的要素が強いです。ただ、会場で直接購入できる

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          ヘルシンキデザインウィーク2023

          初めてのヘルシンキデザインウィーク訪問でした。メイン会場での展示に加えて、街中の店舗や施設でも130近くの関連イベントが行われています。 2023年度の全体テーマは Once upon a time(昔々) 2025年のヘルシンキデザインウィーク20周年に向けて、過去から持続可能な未来へのストーリーを語る、というテーマ設定でした。 ヘルシンキデザインウィークは思ったよりこじんまり、していたんですが、市民との距離感をすごく大事にしているというか、日々の生活におけるデザインの

          ヘルシンキデザインウィーク2023