【ねぇそれって本当に大丈夫?】よくある人事の問題(その1:求人ー仕事の情報)
仕事柄、人事もとい労働法にめっぽうアンテナが強くなってしまった、元製造業の現場卒のエンジニア、柚人です。
さて、今日は人事面であるあるな問題点を話します。
といっても、求職者から見た人事面の問題、特に求人の記載の問題点に着眼を置いて話をしたいと思います。
人事・採用担当の人にとっても、求職者にとっても、経営者にとっても差参考になる話も「あるかも」しれません。
本題に入る前に、これを書いてる今日、こんな記事がありました。
書いている所が書いている所なので、内容が定かかどうかはおいておいて、コロナ騒動で世界的に不景気が加速しています。
日本でも、アパレルで言えばセシルマクビーが全店店舗閉鎖、百貨店も緊急事態宣言を受けて全店休業や部分閉鎖など、旅行業界に至っては前年度比1%(100分の1)といった酷い状況。
飲食店も倒産・閉店など対処せざるを得ない状況は変わっていません。
帝国データバンクがコロナウィルス関連倒産の件数をまとめてました。
そんな中でリモートワークの加速や、倒産による転職を余儀なくされる人もいるかと思います。
今まで1つの会社に勤めていた人によっては、他社や世の中の求人情報に触れるなんてこともそんなになかったでしょう。
海外、特に欧米諸国では「自分の幸せ」を大事にするため、「家族の時間が取れない」「自分のやりたいことはこれで、その為にこれをやってるんだ」という確固たる生活を軸に仕事を選んで働く精神が主流の為、雇用の流動性も非常に高い(その代わり、人種や学といった格差も激しい)のですが、日本はそんなこともありません。学歴社会、年功序列、エンジニア35歳定年説など様々な「古き文化」が残っていて、少なくともその古き文化の中叩かれて育ってきた人たちが今の定年前、上位の役職層です。
そういった人たちはあまり外の情報に触れることなく、社内が社会、とでもいうような言動をする、という話は後を絶ちません。
また、事なかれ主義、といっても過言ではない変化のない状況を良しとします。
そんな風土があれば当然でしょう、長い企業ほど「人事」や「採用」の役割は物凄く曖昧で、酷い人が多いのも事実です。
悪い例を挙げると、採用担当者(面接官)による就活生へのセクハラや残業代未払いなどですね。
悪い例を挙げ出すとアレなので、そろそろ本題に入りたいと思います。
求人票では何が書かれているか
まず、求人票で書かれている内容をざっと項目挙げていきます。
【仕事の情報】
1.仕事の内容/職種
2.配属予定/ポジション
3.必須要件、歓迎要件
【労働条件】
4.勤務地
5.転勤
6.雇用形態/試用期間
7.給与
8.就業時間
9.休日・休暇
10.通勤手当
11.社会保険
【制度】
12.福利厚生
13.社内制度
【選考内容】
14.採用人数
15.選考過程
【企業情報】
16.設立年月日,沿革,会社名,資本金,平均年齢,従業員数など
17.売上推移
18.所在地
19.事業内容
20.株式公開
21.企業URL
22.社風
結構なボリュームですよね、これを数十社見ては選んで応募していくことになります。大変。
さて、それじゃ上から順にみていきましょうか。
このページでは仕事の情報に限って話をします。
仕事の情報
仕事の情報を主に纏めているセクションです。
それぞれ順にありがちな書き方を書いていきます。
1.業務内容
箇条書きで書かれていることが多いですが、業務内容に関係ない「こういう事業をしている。仕事内容は~」といった書き出しがされているのをよく見かけます。
どういった事業をしているか、は企業情報でも述べるし、求職者はHPを見たりして勉強していく人が多いと思います、特に新卒やそれなりに本気で転職活動している人であればなおさら。なのでここでだらだらと書く必要はないんです。
求人において、特に中途採用を求める場合は、ターゲットが明確なので、求人の内容に具体的な業務を書かれている方が分かりやすいです。
なお、業務内容に関しては採用時のみ有用な情報であり、雇用契約後は明確な縛りがないことがほとんどですが、こと「専門型裁量労働制」「企画型裁量労働制」に関しては、業務の内容が法で定められたものと概ね一致していることが大前提なので、裁量労働制の求人の場合は、ここを照らし合わせるようにしてください。
ここが間違ってるケース、たまに見ます。
加えてよくありがちなのが「幅広くお任せします」「いずれは○○もやって頂く予定です」「1,xxxx/2,xxxxx/3,xxxxx/4,xxxxxx~~13,xxxxxx」と書かれている例ですが、確かに入社当初は社内のやり方などのギャップの穴埋めなどで部分的な業務から始めることになるかもしれません。
ですが、こう書かれているケースであっても実際入ると、社内の空気は「あの人相当出来るらしいぞ」「あの人○○さんの代わりで入ったらしいぞ」「あの人ここの全体を統括する人らしい」だったり妙な噂が出回っていたり、即戦力として周りからは見られていた、なんてこともありがちです。
正直それならそうと書いてください、人事と現場の齟齬は人間関係の不和を生むので、まずはコミュニケーション改善が必要になって本業が疎かになります。
あと任せる業務幅が広すぎるのに年収が低いケース。どうやってその幅その内容で実務が回ると思ってる?算出根拠を出しなさい。
2.配属先情報
ここは書くことが限られているので、あまりおかしな情報はありません。
ただ、求人でここが「空欄」な場合があったりします。いや、自分どこに配属されるん・・・?
あと過去にあった面白事例として「○○部 部長1名、マネージャ2名、リーダ4名、担当1名、派遣1名」
ん?リーダー多くない?自分の配属予定もリーダーって聞いてるけど、担当1名派遣1名を取り合うプレイングマネージャなの?という、なんか普通に考えて会社組織は△な日本企業において、不思議な構図を見かけることがあります。正直いって、異例すぎるので判断に困ります。
3.必須要件、歓迎要件
ここは個人的に一番疑問な記述をよく見ます。3例ほど書きますね。
1.【必須要件】
・C#開発経験3年以上
・AWSを用いたWebサービスの開発経験
2.【必須要件】
・コミュニケーション力のある方
・社会人経験
3.【必須要件】
・法人営業経験
・ベンチャー企業就業経験
・・・・はい、1から行きましょうか。C#というのは知らない人の為に説明するとプログラミング言語です。
ただ、「開発経験○年」という書き方はエンジニア界隈ではとても不明確な基準です。
月1回、調査や運用ベースで1行2行で済む処理を書いたりしても3年やればC#に関わった「業務経験」は3年と言えます。
夏休み1ヶ月で10000行処理書いてサービスインまでした学生が居たとしても「業務未経験」で、3年通して50行100行程度しか書いてないエンジニアでも「業務経験3年」なんです。これはよくあるSES営業でも使われる言いぐさですけど、言葉遊びなので、書くなら「C#を用いた開発経験(課題を出すのでサンプルコードを書いてきてくださいorクラス構成や使用するライブラリを書いてきてください)」の方がよほどエンジニア採用は向いています。
次にAWSを用いたWebサービスの開発経験、という記述ですが、AWS(AmazonWebServices)は様々な機能があります。なのでAWSを用いた・・・と書かれても企業側がどういうことをしたいのか、でマッチしないことも多々あります。
あとなんでAWSに拘ってるの?
次に「コミュニケーション力のある方」「社会人経験」。
これ見ると絶句します。余程ひどい人に当たったの・・・?
専門職、しかも中途採用だよね・・・?となるやつ。
はっきりいって基準が主観的で定性定量で見れないものはノイズです。というかそんな求人書いてて恥ずかしくないの・・・。(ちょっとひどい言い草ですが、そんな自分に我こそは物申す!って人いたらぜひちょっとコーヒー飲みながら話しましょうか、色々聞いてみたい)
最後は法人営業経験やベンチャー企業就業経験。
法人営業、といっても幅が広いんですよね。「DM送りつける」「展示会で営業活動行う」といった昔ながらの商社さながらアナログ営業も法人営業ですし、「カスタマーサクセス」「コンサルティングによる自社製品販売」も法人営業です。
ベンチャー企業就業経験も同じですよね。ベンチャー企業やスタートアップは多数出ていて、日本でも多くのサービスが生まれてます。大体が小さい会社ですが、中にはメガベンチャーと言われるようなものもあって、定義が混同しているケースもあります。
このようなケースだと上記のような書き方ではなくて「BtoBで新規開拓~契約完了まで達成したことのある方」「新しい事業の為に10年内に発足した企業での○○の業務経験がある方」といった記載の方が断然分かりやすいです。
まとめ
正直求人票の入りの入り、仕事に関連する情報でここまで長くなるとは思いませんでした。
ちなみに現在ちょうど3700文字ぐらいです。
自分が主に見ている求人が社内SEなので専門的ではあるんですが、専門性が高くなればなるほど「正しい情報を読み手に伝える」ための求人票が「専門性のかけらもないセンスのないもの」だったり「凝り固まったエゴしかないもの」だったりするといつまで経っても求人はこないでしょうし、特に専門性が高いので相場より低いと猶更集まりません。
実際、その仕事がどのぐらい大変か、社内を知ることが人事や採用担当には求められると思います。もちろん会社の成長に合わせた人員計画や労務管理なども大事ですけれど。
求職者の方にとってはあまり参考にならない記事だったかもしれませんが、今後書く予定の労働条件や待遇のところになってくるとかなり参考になる記事が書けると思います。
是非ともまた読みに来てください。
おしまい