クラウドサービスを使う上で思うところ
どうもこんにちは、柚人です。
すっかり花粉症の時期で目が辛いです。
さて、今日はクラウドサービス、いわゆるSaaSを使う時に、というか現在進行形で苦労してるので、そのあたりを踏まえて与太話的にクラウドサービス利用やクラウドネイティブの世界ってどうなの?という話を書いていきたいと思います。
何番煎じになるか分からない記事だけど、何の本も読まずに実体験だけで語ります。
つらつらと書くので纏まりないかも。
クラウドのシェア
総務省がまとめている世界のパブリッククラウドの市場規模・売上高を評価したものがあります。
寡占化が進んでいる、と言われているように、やはり市場は伸び続けているうえに導入も増えていることが分かります。
本当はここにオンプレやPCといったハードウェア評価との比較があると面白いんですが、クラウド市場が寡占化する=クラウドネイティブで世の中が進むことになるでしょう。
クラウドネイティブで回る世界とは
クラウドサービスの利点は大体以下の3つにまとめられると思います。
インターネット回線があれば場所を問わない
手軽に始められ、利用コストが図りやすい
機能が特化しているので、直感で使いやすい
次にクラウドサービスの欠点も述べましょう
インターネットがないと使えない
手軽に始められる分、サイロ化が起きやすい
製品が多岐にわたり、サポートが大変
アカウント管理、サービス間連携など共通部分の管理が大変
大体こんなところが一般的かな、と。
実際企業で利用するうえでの悩みを後述したいと思います。
インターネットがないと使えない
ここって意外と大事なんですよね。
社内みたいに管理下にあるインフラ環境なら、何かあってもインフラ担当が修正してくれます。
でもリモートワークが進むと、インターネット回線は各従業員が自宅やポケットWiFiなどで契約しなくてはなりません。
また、管理下のネットワークじゃないので何か問題が起きても会社側は何もできません。
電話で「ネットがつながりません」と言われても「自宅ですか?じゃあプロバイダにかけてくださいね?」になるわけです。
従業員のITリテラシーが不十分だと前者の方が誰にとってもハッピーな選択になってしまいますが、それはあくまで内輪の話であることを認識しなければなりません。
このIT化が進む中でITリテラシーが低い従業員が多い、というのは致命的で、それこそ「え?紙でやりとり?FAX?対面営業?」となると、若手は働きたいと思わなくなるし、取引先も「そんなにIT化が進んでない会社だと色々苦労しそうなので・・・」と機会損失にも繋がるリスクをはらんでいます。
また、オンプレサーバーも社内プロキシもあればオフィス内にサーバールームが必要だから広いオフィスが必要で、サーバーも導入・運用費用が掛かって、それのメンテのエンジニアも必要で・・・とコストが掛かるように見えがちですが、いわゆる「他社に問題があっても、自社には影響がない」を貫き通せるというメリットがあります。
いわゆる外界から疎外された物々交換で生活が成り立つ「村」なわけです。
外界と交流がない村がどうなるか・・・高齢化が進み、家も老朽化し、労働力も減退し、そして廃村となるわけです。
でも、クラウド化が進むと「利用サービスが停止すれば業務が停止する」というところは「Microsoft Azureに障害!」「GoogleWorkSpaceに障害!」と発報されるとツイッターのTLが阿鼻叫喚になるのはよく見てきたことかと思います。
正に都心の「電車止まった!」「出勤できない・・・遅刻します」と同じことですね。
手軽さとサイロ化
事業部制をとっている会社あるあるかと思います。
事業部が「あのサービス使いたいです」「これウチに必要なんです!」そういって申請をあげてきます。
手軽だし、部門で決裁さえ済めば導入できる費用に収まります。
サーバー構築費用もいらないし、ソフトウェアメンテのためのエンジニアも要らない、ナンテスバラシインデショウ。
事業部単位なので、多機能なサービスは部門単位で利用環境だけでなく利用機能が異なる、ということが起きます。
それらは独立した1個、なので事業部自体が「小さな会社」が利用する1サービスになるわけですが、大手やM&Aでの事業多角化を進めれば進めるほど、こういった利用ケースは増えていき、いわゆる「サイロ化」が起きます。
サイロ化が起きることのデメリットや解決策は、ここまで読まれた方なら色々な記事で確認されているかと思うので割愛するとして、それらを横断管理するコーポレート側から見ると「あそこってどうやってあのサービス使ってんだろう?」となるわけで、それってつまり利用ツールのナレッジが他に活用できていない姿そのものなわけです。
クラウド導入はそういった手軽さの裏側にサイロ化が起きやすい背景も踏まえ「運用の属人化を防ぐ」「利用におけるベストプラクティスの模索」「知識の共有」をすべてのクラウドサービス利用者が意識して導入できることがベストな姿だと感じます。いやまじで。
ホント「A部門はこうやって活用してるのにB部門は別のツールで手間暇かけて手動でやってますよ、そっくりなこと」って両者を引き合わせたら数段上行ってた、すべてナレッジあった、みたいな姿を過去に見たことありますけど、知った瞬間の熱の冷め方ヤバいですから。
サポートが大変
ハブ製品の存在
クラウドサービスは基本的なアプリケーションの使い方はサービス提供元に聞いて下さい、になります。
コーポレート部門、もとい情シス部門は全社展開のツールだけ面倒を見ればよく・・と思われがちですが、いわゆるサインインできない、連携がうまくいかない、なんて相談は良くあります。
たくさんのクラウドアプリを使うようになるとOktaやAzureなど「IdP(アイデンティティプロバイダー)」など集約管理ツールが活躍してくるわけですが、それらも結局いろんな所と繋ぐハブであり、ハブっていろんなものに対応できなくちゃならないので、その分作りがめちゃくちゃ細かくなり、ケース想定も無限に増えていきます。
そんなツールを普通に使おうと思うだけで、ネットワーク、認証、証明書、デバイス管理、セキュリティ、API、データベースの知識が必要になります。
正しく使おうとすると、よりハイレベルな知識を求められます。
(正しく使うには、作った・設計した本人に聞くのが一番早い)
海外製品のサポート
クラウドは場所を選ばない、と前述した通り、それらは国を超えて販売することも可能です。(もちろん販売するのに法律はいくつかありますが)
ただ、海外製品は公用語が英語ですし、ベンチャーの製品なんかになるとUIも英語オンリーです。
「ローカライズ?知らんよ、Google翻訳でも使ってれば?」になるわけだし、当然まだ駆け出しなので日本法人なんて構えられません。
そういった言語の壁以上にもっと大きな問題があります。
「サポートの意識が全然違う」
もう1回言います。
「サ ポ ー ト の 意 識 が 全 然 違 う」
日本の商習慣であればバイトでも派遣社員でも正社員でも
「申し訳ございません、上のものに確認します」
「少々お待ちください・・・ああ、それはこちらになります」
「すみません、原因を調べたいので何点かご協力いただけますでしょうか」
から始まるかと思います。
前職がインドのSIerだったのでものすごーく理解しましたが、海外のサポートは大体以下の通りです。
「こんにちは、何かありましたか?」
「そうですか、ではリセットして治るか試してください」
「え?それ他に人にも影響があるからできない?ではリセットして治るか試してください」
「リセットして治らなければ、私にできることならなんでもしますよ」
ええ、どんな問合せがきてエスカレしてもこうでしたし、問合せてもこうでした。(そして大体既にやってる)
ちなみに、すべての外国人のサポートがこうか、というとそうではないのでアシカラズ。
日本が大好きで、日本の商習慣を経験していて、自分を高める意識が高い人は、日本人でも驚くぐらいの本当に技術力の高いサポートをしてくれます、そんな人もいます、300人に1人ぐらいは。
これらを踏まえると、日本人には日本の製品がしっくりはまる、というのが納得なんですが、日本発のクラウドサービスはまだまだシェアが小さく、尚且つ機能が物足らないことが多いのかな、と感じますね。
アカウント管理やシステム間連携が大変
これはHRのSaaSプリセールスやってたときに感じました。
IdPを何にするか、どういう情報を持たせるか、は非常に細かく、またどっちから引っ張ってくる、送りつける、というような視座も必要です。
つまり両方のサービスの仕様を理解しておかなくてはならない上に、まだまだここがシームレスに連携はできません。
(OktaのOIN(Okta Integration Network)やSlackのApp連携等はありますが、それらに対して挙動の責任が不明確になりがちです)
簡単なものでいえばGAS(Google Apps Script)を活用したり、API連携を使ったりなどで作っているところは多いと思います。
ただIdPはアイデンティティというだけあって、個を証明するものです。個が属性値としてAとBの役割を持っていた時に、Aでは強い権限があるけれどBでは一般の権限しかない、となったとき、いずれかにするしかできなかったりします。
結局はそのあたりでどう設計するか、という技術理解が重要になってくるので、クラウド管理者の勉強範囲はとてつもなく広いと言えます。
まとめ
クラウド製品でこうするといいよ、こういうことができる!みたいな紹介記事を書かれている方はそれはそれで素晴らしいです。
ただ、日本の労働者がよりクラウドネイティブに近づき、時代の変遷を迎えるには
「技術者・エバンジェリストの育成(なぜ必要か、どうすべきかを提唱)」
「エンドユーザーの自己解決能力の向上」
「社会全体の商習慣の見直し(よりエコで許容度の高い社会意識の変革)」
が必要なのかな、という命題を抱えながら、現職として全社クラウドのサービス運用を担う自分としては、技術知識を高めつつ、社内でより理解しそれぞれの専門性で行動をとり、社内を高められる土台作りに励みたいなと思います。
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