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【異文化】毎日、定時に退社できる社会の方が、幸せ度が上あがりますよね。海外にはそういう国が沢山あります。

日本人の感覚からすると、残業のない社会、打刻のない社会は、夢のような社会に思えるけれど、実際、世界にはそういう国が沢山ある。
私が体験したオーストラリア、ニュージーランドが、そういう国であり、
イギリスを中心とした欧米にも、打刻のないサラリーマン会社は沢山あると思う。

オーストラリアは、仕事よりも個人の時間、個人の幸せに重点をおく社会である。残業は超悪者として位置づけられている。
よって、俗にいうwhite colourのサラリーマン会社においては、残業、打刻といったものが全くないのである。

社内で残業時間が増えることは、売り上げが前年度から落ちるのと同様な重要度で、社内のあちらこちらで議論される。
社員は当然のことながら、課長、部長、重役も含め、全員が残業なしの勤務状況を目指す。
いや、正確には残業どころか、金曜日はなんとか午前中で仕事を終わらせれないかと、虎視眈々と狙っている。

繰り返しになるが、それはジュニアな社員だけでない、重役や管理職も全員そうなのである。(=オーストラリアは仕事よりも個人の時間、幸せに重点を置く社会である)

当たり前だが、会社は市場競争の中で戦っており、売り上げや利益を作り出す必要がある。しっかりと利益を出そうとすると、業務量はおのずと自然増殖する。

オーストラリアの場合は、業務量の自然増殖を許さない。
なにせ、役員から一般社員まで、残業を全くしたくないのである。業務量は常に残業なしの仕事時間の中に、無理やりにでも収める。

すると、定例のレポートや業務が多少漏れたりするが、それでも大体の仕事が回っていれば、会社としてそれでよしとするのである。
そして、抜けてもどうにかなる定例レポートは、こういう機会に廃止になる。

残業がない、イコール、仕事のプレッシャーがないかのように聞こえるが、そんなことはない。
会社の中では、時間効率へのセンシティビティが極めて高い。よって、効率よく仕事できない人は、自然と会社から去ることになる。
例えば、大勢が参加する会議で、説明が要領を得ずにいつも長くかかってしまう人には、おのずとスポットが当たるようになり、改善できなければ会社から退場することになる。

また、excelマクロや、Power BI、Tableu, RPAソフト、社内システム等で業務量を減らすことに貢献できる人は、会社の中ではヒーローになる。そして、会社もよい待遇を与える。
これからは、AIを活用して業務を効率化させる人に大きなスポットライトが当たることと思う。

日本の考察を書く。
会社でしっかりと利益を出そうとすると、業務量がおのずと自然増殖すると書いた。そしてオーストラリアの場合は、業務量の自然増殖を許さない、と。
では、日本の場合はどうか。

日本は、超真面目社会なので、業務の自然増殖は往々にして黙認される。増殖した部分は、現場の人間や担当者が頑張って、どうにかするということになる。

本来であれば、増殖した業務をやらされる人が、その上司に、これだと定時に上がれないと相談し、その上司が、マネジメント層に問題をエスカレーションするところであるが、日本の場合はそうはならない。

担当する人が泣く泣く残業時間を使って処理するか、若しくは、その上司が優しい人であれば、一緒に手伝って、残業するかどまりである。
上層部やマネジメントが介入して来ることは、稀である。
それは、日本が超真面目文化ということもあるが、それ以上に、終身雇用の慣習により従業員が簡単に辞めないからである。
このため、しわ寄せが現場社員にいくことが、マネジメントから見過ごされるのである。

オーストラリアの場合、担当する業務が増殖して、上司や会社に相談しても改善がみられない場合、その社員はあっと言う間に転職する。若しくは、気軽にFair work (労働者の権利を守る政府機関)に訴える。
業務が増殖して社員が困っているのに、改善策をださない上司や会社は、非難の的になるのである。

そもそも、日本の場合は、終身雇用前提なので、気軽に労働局などに文句を言いにいったりはできない。労働局に話す時は、それは、人生を賭ける覚悟を決めてという具合である。

私は、オーストラリアで250名ほどの会社の社長をしていたが、毎年1件程度はFair workに相談に行く感じであった。(そう、訴えるというよりは相談にいくという感じでFair workは利用されている)

日本は経済的には世界有数の先進国なのだけれど、労働者の権利に関しては、まだまだその立場が弱いと思う。
多くの日本人が海外先進国の状況を理解して、徐々に改善されることを願います。

そうそう、よく欧米人から日本企業の習慣で文句を言われることは、punctuarity(時間を守ることに)についてである。
会議の始まる時間や、始業時間に遅れるのを日本企業はとてもイヤがる。
日本はとても時間に正確な国なのでそれは分かるし、自分たちも守るようにするのはフェアだ。

しかし、一方で、会議の終了時間や終業時間に関しては、安易に時間が延長される。それはとてもアンフェアだ。
会議に遅れてくることをとがめるのと同じレベルで、会議を時間通りに終わわせるのがフェアだし、終業時間に関してもそうだ。

日本は世界でもトップクラスの時間に正確な国なのだが、欧米人に言わせると実は、お客や企業にとって時間に正確であり、社員や仕事する人には時間にルーズという、ダブルスタンダードの時間に正確な国ということになる。

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