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Moondrop Kadenz 所持機

概要

KATOの次世代機としての位置づけとなっていますが、見た目はそのまんまKATOのマットスチール版ですね。
見た目に関してはほぼ変更はありません。中身に関してはダイナミックドライバーの振動版に若干の変更があった感じ。
技術的な話はメーカーのHPに詳しく書いてあります。ワタシはあんまり気にしない…
そんなことよりは付属品が豪華になっていますね。USB-DACが標準で付属しているのはありがたい。
DAPや別売りのUSBドングルに比べれば音のランクは落ちますが、手元にスマホ一つあれば楽しめるのはいいですね。
標準のプラグも3.5㎜から4.4㎜に変更となっていて、バランス接続を前提としたパッケージになっています。
個人輸入で購入しましたが、189USD(約28,000円=1USD/150JPY)と、エントリーからミドルクラスに当たる価格。
この価格なら十分な性能を持っていると、後述の音質等を鑑みても思われました。

音について

KadenzがKATOから進化した大きな点はその音場感です。
KATOの弱点であったやや狭めの音場が、やや広いと感じるくらい改善されています。もちろんバランス接続による恩恵もありますが、それ以上にドライバーのアップデートによるものが大きいのではないかと考えられます。
感覚ですが、より精密な振動版の制御で音の消え入り際までしっかり制御されているように思えます。もちろん、解像度に至ってもわずかですが向上しています。
それとトレードオフになった部分もあるのですが、それは各音域の詳細でお伝えしようと思います。
まず、低音域。
こちらはKATO同様やや強めに出ています。ローエンドから200Hzまでしっかりと主張してきます。
ボワついたり、べったりしたりするような低音ではなく、どちらかといえば音像のはっきりした歯切れのよい低音です。
量感もちょうどいいくらいですね。なかなか良質な低音だと思います。非常に安定感がありますね。
ボーカルなどの低中音域は、低音の下支えのある力強い音。特に声の表現ははっきりした音像で聞き取りやすく、力の入り具合もよくわかります。
続いて中音域。ここがKATOから惜しくも劣化したといわざるを得ない部分です。
管弦楽器の音が抜けきらない。
なんでしょうね。ここだけ妙に抜けが悪い神経質な音になっています。立体感もやや欠けるものがあり、よく出ている割にはのっぺりした音になっています。
KATOほどの鮮やかさがないのです。ちょっと残念。
最後に高音域。
少し大人しい感じを受けました。最近のイヤホンは刺さりを嫌うためか高音域をしっかりと出すチューニングをあまり見ませんね。
7~8kHzあたりに若干のピークっぽいものを感じますが(測定はしてないのであくまでも感覚)、ライドシンバルの迫力やハイハットの繊細な感覚においてはやはり上位機種に一歩譲るかなと。
ロックバンドの楽曲やシンセサイザーを多用するEDM向けには作られてなさそうなチューニングですね。ちょっと優しすぎる。
それでも、全体的な音のバランスはよくまとまっていると思います。
突飛な部分がなく、強いて言えば低音が強いくらいで、概ねフラットに聞こえると言ってもよいかな。30Kくらいのイヤホンでこういうチューニングができる基本性能を持っているのは大したものかと。

総評

なんとて前作のKATOの出来がかなり良かったので、かなり厳しめに見てきましたが、総評としては非常に良いイヤホンですよ。
実は価格もUSDベースで考えるとKATOと同じですから。
中音域の神経質さもイヤピやケーブルのセッティングで変わる可能性を秘めていますし、そのまま聴いてもかなり真剣に聴かないと気が付かないレベルです。
終章(エンドゲーム)と言い放つのもまぁ…わからんでもないです。
国内価格がいくらになるのかは、円相場もまた円安傾向に向いていますし、不透明ですが、30~35Kくらいで収まるなら妥当かなという印象です。
マットスチールになって割と傷も気にしなくてよいので、普段使いには本当にちょうどいいと思います。買って損はないですね。

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