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2024年の「パノラマ観光公社」まとめとご挨拶

「パノラマ観光公社」とは虚構の観光を司る謎の組織です。
現実世界では小説や漫画の企画編集をやっているようです。
ゆずはらとしゆきというひとが独りでやっているようです。

基本的に「パノラマ観光公社」の中の人であるゆずはらとしゆきというひとは小説家でライトノベルとかライト文芸とか書いているんですが、前職が漫画編集者と漫画原作者だったからか、自分の小説ではない企画編集の仕事のほうが多くなっていて、さすがに区別しないとまずいぞ、ということで「パノラマ観光公社」という屋号を使っております。

で、2024年は二見書房で〈マドンナベリー文庫〉という官能小説のレーベルを作っていたんですが、二見書房側の担当さんの退職に伴い、休止となりました。
ところが、休止の話とほとんど同時に、別の出版社から「うちでも〈マドンナベリー文庫〉みたいなレーベルをやりませんか?」という話が来ました。

かくして、出版業界によくある「休刊という名の廃刊」なのかと思いきや、一時休刊を経て、2025年から新しいレーベル名で「官能小説の新しい実験室」第二期をスタートすることになりました。
もともと「官能小説の新しい実験室」が企画タイトルで、マドンナメイト文庫のサブレーベルなので〈マドンナベリー文庫〉というレーベル名になっていたんですが、出版社が変わるのでその出版社のレーベル名になる、という次第です。まだ正式名は確定していないんですけど。

「官能小説の新しい実験室」第二期創刊

そして、そのレーベル創刊は2024年夏くらいになります。
半年の休みかと思ったら、いろいろと仕様変更がありましたので、一年の休暇になりました。この記事も4ヶ月ぶりですし。

前回の記事や休刊告知に書いた通り、〈マドンナベリー文庫〉をそのまま継承しているラインナップですが、休刊告知には書いていなかった新規参入の作家さんもおります。

現状は「誰が一番速く書き上がるんだろう」という感じですが、そろそろトップバッターの初稿が届くと思います。
書籍の基本フォーマットは変わると思いますが、一番上に書いてある物語へのコンセプトは変わりません。
「官能小説の新しい実験室」というか〈新しき官能小説と文藝の実験室〉です。

「なんで2025年に官能小説のレーベルを作るのか?」

「なんで2025年に官能小説のレーベルを作るのか?」という根源的な疑問はあると思います。実際、何人かに言われましたし。

詳しくは第二期レーベル創刊発表のときにも書きますが、「既存のレーベルでは書けない話があったから、自分で作るか」というのが動機です。
『葉名と伯父さん』のプロットが思いついたので、18年ぶりにマドンナメイト文庫へ企画を持ち込んだら、「この内容だとマドンナメイト文庫からは出せませんね」と言われまして。

どのくらいカテゴリエラーだったのかは、実際に読んで判断していただければ有り難いですが、『葉名と伯父さん』を書いた動機は「官能小説を『快楽天』や『アンスリウム』あたりの成年向けコミックのように書けないか?」でした。

なので、剣と魔法のファンタジーでもない普通の現代劇なのにダメ、というのがさっぱり分からなかったんですよ。
「ライトノベルやライト文芸っぽいですね」とは言われましたが、だったらそっちで出せるのかというと、これもまたカテゴリエラーになるのですね。

カテゴリエラーのためのレーベル作り

一応、ホームグラウンドだった講談社BOXが消滅して10年経って、LINE文庫『メトロポリス探偵社 空想東京百景〈令〉』と、電撃文庫『桃瀬さん家の百鬼目録』は出ておりますが、だいたい企画プロットを書くたびにカテゴリエラーと言われていましたので。

これが自分だけでしたら、異端者扱いでジャンル内異端審問官たちに罵られてもしょうがないな、と思うんですが、ジャンルの流行というものは流行り廃りがあっても、いつも偏りすぎているようで、似たような立場のひとはけっこういるようなんですね。
「だったら、作品を発表できる場所から作ってみるか」と思ったのです。

官能小説なのは、SFやミステリだと異端審問官たちの発言力が強いから、というのがあります。
ライトノベルも異端審問官が多いですが、投稿サイト主導の時代になったので、ビューワー数やランキングのポピュリズムを追い風にできれば、自由に書くこともできます。
反面、流行を過剰に追うことになりますから、コンセプチュアルなレーベルを作ることは難しいというか、企画編集者としてはやりづらいのです。

その点、官能小説は時間が止まっていましたので。
20年前に体験告白ものとか書いていた頃も、「創刊した80年代の形式がそのまま残っているジャンルだな」と思っていたんですが、20年経って戻ってきたらその形式へのカウンターとして出てきた00年代の「萌え」系が、台頭した20年前のまま残っていて、古い形式がもうひとつ増えていたのには、びっくりしました。

なので、どちらでもない現在進行形の成年向けコミックに近い官能小説レーベルなら、作る意義があるかも、と思ったのです。
「官能小説を『快楽天』や『アンスリウム』あたりの成年向けコミックのように書けないか?」という発想も、そういうことですね。

2025年の展望と抱負

そんなわけで、2025年の〈パノラマ観光公社〉「官能小説の新しい実験室」第二期レーベル創刊がメインの仕事になります。

それとは別に、〈パノラマ観光公社〉はゆずはらとしゆきの企画編集者名義でして、官能小説ではない普通のライトノベルやライト文芸も企画編集しておりますので、そっちでも水面下でいろいろやっております。
形になるかどうかは別として。

そして、進捗状況から考えると、次の記事はたぶん3~4月くらいになると思いますが、2025年もよろしくお願いいたします!


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