由々平秕

ゆゆひら・しいな。フィクションと文芸発信します。二〇二〇年「ブンゲイファイトクラブ2」…

由々平秕

ゆゆひら・しいな。フィクションと文芸発信します。二〇二〇年「ブンゲイファイトクラブ2」第一回&第二回戦に出場しました。御用の方はyuyuhira_sheena圧倒aol.虚無(圧倒を@、虚無をcomに)までどうぞ。

最近の記事

ブンゲイファイトクラブ3・由々平秕による一回戦ジャッジの補足(リンクまとめ)

ブンゲイファイトクラブ3の本戦ではグループCの評を担当しました。その評の冒頭に記した採点方法にかんする補足と、C以外の3グループについての寸評を公開します。長いのでページをわけました。以下のリンクからそれぞれの記事に飛べます。 なお本戦の評は字数節約のために「である調」を採りましたが、こちらは制限もなく、またもとより頼まれたわけでもなく勝手に書いたものですので強いて「ですます調」にしました。個々の作品に割いた分量もグループCのものより多くなっています。 採点方法の補足 グル

    • ブンゲイファイトクラブ3・由々平秕による採点方法の補足

      評本文では全体の評価基準「印象」「技術」「題材」「思想」の四視点について、それぞれの細かい含意は省略しました。それらについて一応ここで説明をしておきます。 まず「印象」はいわゆる読後感、つまり素朴な読者として覚えた驚きや笑いや切なさや感動や温かさや恐怖や困惑に基づきます。この点数が高いものを由々平は「好き」なのだと考えていただければほぼ間違いありません。 次に「技術」では、文字通り全体の構成力や基本の構文・修辞力を評価します。ギミックを効果的に作動させる組み込みの巧拙など

      • ブンゲイファイトクラブ3・由々平秕によるグループDの評

        鮭さん「イカの壁」 4点(印3+技4+題3+思1/細1) 一文一文の完成度がすさまじいです。最初はちょっとやんちゃな男の子の砕けた口語体という趣きなのですが、そこに絶妙なテンポで「泣きだしてしまって」や「下がってしまうよ」「…だもの」といった謎の端正さを織り交ぜるのも、「つぶらな瞳をしてやがる」のあとに「ポンポの野郎」と主語を置き直してみせるのも、「松の木」を大きさの尺度とするのも「愛さん」の体言止めも、涙が出るくらいセンスが冴えきっている。イカの周囲に「白い棺桶(shiro

        • ブンゲイファイトクラブ3・由々平秕によるグループBの評

          藤田雅矢「金継ぎ」 3点(印2+技4+題3+思1/細0) 天文基地で定期メンテナンスを受ける月。そんな奇想をさりげなくも説得的に提示した冒頭一段落は並々ならぬ筆力の賜物で、特に「遠近法の先」の情報伝達効率はものすごく、まさに円盤の月を検めるように優しく練り上げられた名文だと思います。この情景から私はある種の博物学的メルヘンのようなものを予想したのですが、やがてSF的な背景が明かされ世界観は少しビターなリアリズムへと事後的にシフトチェンジします。その手つきもそつがない。ただし結

        ブンゲイファイトクラブ3・由々平秕による一回戦ジャッジの補足(リンクまとめ)

          ブンゲイファイトクラブ3・由々平秕によるグループAの評

          竹田信弥「幸せな郵便局」 4点(印4+技2+題4+思2/細1)★ 冒頭の一文からして衝撃でした。語彙にも統辞にも何一つ奇を衒った要素はないのに、たぶんこれはかつてこの世界で一度も書かれたことのない文だと確信してしまう。その後も数行ごとに驚きの連続で、特に「仏壇」「祈るしかなかった」「悲しんでいた」「ぬーんって感じ」「経験は重要だった」には度肝を抜かれました。通常、私たちがスケールの大小やタイムスパンの長短、距離感の遠近などによって適宜フォルダ分けをしている諸種の出来事や物事や

          ブンゲイファイトクラブ3・由々平秕によるグループAの評

          造ビャン工場

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          読書子に寄す(BFC2幻の決勝用作品)

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