組織の変容とじぶんの変容

じぶんは、これまで会社は経営者の物語が反映されると信じていて、それゆえにじぶんの所属する組織に対して受け身なスタンスを持っていた。

トム・ニクソンの『すべては1人から始まる』を読んで、ピーターカーニックの「誰もが自分自身のライフにおけるソースである」という考えに触れて、ワークオブライフとして今じぶんが発揮している会社内のクリエイティブフィールドを俯瞰してみると、じぶんが組織の中で心の成長を促進させていることに気がついた。

そこで、もっと意識的に組織の発達段階を感じ取り、組織変容を起こしてみようと活動を始めてみた。

かかわる組織の現在地

じぶんの関わっている組織は、工場や機械パラダイムと揶揄される、オレンジ組織の段階で、少しグリーン組織の色が入り、組織の階層を超えて拡大ステークホルダーの意見を反映させながら、意思決定を行うようなフェーズにいる。

また、創業者が退任し、合理化効率化に秀でた代表が就任。赤字だった経営をターンアラウンドした。
そのときに、1on1や会議は必要最低限に削ぎ落とされ、効率化は進み生産性は上がったものの、社員同士の繋がりや会社への帰属意識は毀損されていった。

ターンアラウンドが成功したことでオレンジ組織化のお役目が完了し、それを推進していた代表は退任。めんどくさくも関係性を重視するグリーン色の強い代表に移行したのだった。(2024年6月)

組織が直面する課題

2024年6月時点で、抱えていた組織課題をおおまかに整理すると、以下の5つが挙げられる。

  • トップマネジメント層が承認対応、約20名の評価、内部課題や競合の分析、戦略立案、戦術の落とし込み、部を横断した連携など業務が密集し、責任の重さと複雑性の高い業務、そして量により精神的に疲弊してしまう

  • 一方で、一部の階級上位メンバーに役割が密集しているため、キャリアの選択肢を広げるためにはマネジメント層を目指す以外に道はなく、マネジメントに興味のないメンバーが自分の才能を発揮できず、キャリアの選択肢を狭めてしまう

  • トップマネジメント層が常に意思決定する必要があり、数値分析から現場の情報を吸い上げる意思決定プロセスが、市場変動のスピードに追いついておらず、後手を踏んでしまう

  • トップマネジメント層のキャパシティを超えて企画や戦略、施策を考えることができず、トップがボトルネックとなってしまう

  • フルリモート下で最低限のコミュニケーションラインしか持たないため、話したり相談する相手が限られてしまい、関係性によっては相談ができず、問題への対処が遅れてしまう

これまでの取り組み

このnoteを記載しているのが2024年12月なので、6月から半年間の活動を振り返っておきたい。

まず、上記の組織課題を解決するために、

  • トップの意思決定権を分散させること

  • 階級上位への出世コース以外のキャリアの選択肢を増やすこと

  • 対話の質量を増やすこと

この3つに取り組んだ。

まずは、マネジメントへの意思が強い2人をトップマネジメントに押し上げて、事業部長の権力を分散させ、じぶんのリソースも確保。(6月)
また、事業部長しか見ることのできなかった、メンバーの給与や部署横断に必要な他部署のKPIなどの情報を2人へ公開し、情報格差の溝を0にした。(6月)
また、営業組織の戦略を作り、他部署連携していく役割を影で発揮していたメンバーに担ってもらい、将来的に組織の戦略を考えたいメンバーに役割が与えられるよう「戦略推進」というポストを新しく組織図は追加。(10月)

メンバーのインセンティブロジックに他部署が追っているカウンターパートとなるKPIを内包し、メンバーが見る指標が全体と相似形になるように設計を変更した。(10月)
本来であれば、インセンティブロジックを無くしてしまって、プロフィットファーストなどの制度を採用したいのだが、、この制度を扱うには組織の発達が未成熟で混乱を生んでしまうと判断した。(ほんとうはやりたかったんだけど、、これはじぶんのエゴかな😅)

対話の質量については、2024年1月に卒業したeumo Academyの場づくりを参考に、心の成長に組織全体の重心をもっていき、共通言語として、「垂直的成長」「適応課題」などの概念を共有。ここからマネジメント層とタレントマネジメントについて、話をする際には、「技術課題としては、〇〇。適応課題としては✖️✖️。」と双方の課題を取り扱うことができるようになった。また、マネジメント層が、メンバーが悩んでいる環境を作り出しているのは、わたしのどんな適応課題なんだろう?といった視点をもつようになり、組織の精神性の高まりを強く感じた。(6月)

その上で、月に4回の定例会のうち1つをワークショップ形式に変更し、1ヶ月の出来事を振り返り、内省的対話を行う場を作った。
また、相談量を増やす前に、雑談量を増やすべく、月の1つを仕事の話禁止の「おしゃべり場」を設け、趣味や最近ハマっていること、葛藤していることを聞いてもらう部屋などをつくり、対話が生まれる機会を作った。(6月〜10月)

共通言語作る際に作ったスライド

eumo Academyのガイダンス資料参照

能力の課題依存性から、垂直的成長をもたらす課題が『適応課題』であると認識を統一し、概念を固めることでより考えやすくなるように働きかけた。

能力の課題依存性とは?
私たちの能力は、特定の課題に紐づいて発揮されるだけではなく、具体的な課題を通して成長していく

『人が成長するとはどういうことか』より抜粋
『最難関のリーダーシップ』から抜粋

『システム思考』で紹介されているジョン・スターマンの二次元ループ学習と『ザ・メンタルモデル』の内省を参考に、三次元ループ学習のモデルを作成。
月に1回組織全体で取り組み始めた、内省的対話では、主に意識・無意識の前提からきている回避行動を振り返る機会に活用した。

由佐美加子さんの『ザ・メンタルモデルワークブック』は、初見のメンバーでも扱いやすく、内省の習慣づくりには非常に有効だった。(一方で、潜在意識の深い部分に対しては集団で扱う限界も感じた)

月1回実施する内省的対話のループ図


『ザ・メンタルモデルワークブック』のワークシートを使って、20名の相互理解を深めた

取り組みの中で芽生えた葛藤

事業部長になって、じぶんから役割や権限を手放し分散する過程で、途方もない虚無感に襲われた。

権威権力が固定化されることへの違和感や憤りを感じながらも、それを獲得するためにこれまで環境適応してきたので、いざ手放すとなると、これまでのじぶんの努力を否定しているように感じられた。(このジレンマが結構キツかった、、)

「よくがんばったね」と声をかけながら、これまでのじぶんに感謝を伝え、それを味わう過程で、手放せるのは受け取ってくれる相手がいるからだと感じることもでき、受け取ってくれる相手に対しても感謝が芽生えるようになった。

また、7月から始めた雨水と野菜本来の生命力だけで作る循環畑を通じて、「じぶんが介入しなければ、育たない」という無意識の前提を持っていることに気づき、同時に人の手が介入されない方が野菜は根を張り、力強く育つ。そんな姿を見て、組織に対しても同じ原理が働くのでは?と感じられじぶんの考えに対する発酵も進んでいった。

振り返ってみると、社会に適応してきたじぶんをしっかり供養し、自分とそれ以外の全体性を発揮するためにこの半年間があったように思う。

そして、じぶんの発揮しているクリエイティブフィールドを意識したことによって、自己犠牲的利他な状態から自己中心的利他な状態へ転換することができ、そのパワーが行動に繋がったように感じられる。

そして、循環畑を通じて自然に触れたり、身体感覚を通じて潜在意識にアクセスしたり働きかけることができる気づきも得ることができた。

来年は、「ピラミッド組織の中でトップの代表ではなく、中間層の立場からどのくらい組織変容にアプローチできるか?」という問いに対して向き合っていこうと思う。






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