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火の国熊本旅行記④熊本城の復旧を途中経過ごと大事にする人々

熊本旅行最終日。
阿蘇ファームランドを後にして立野駅へ。
南阿蘇鉄道に乗って白川水源まで行きます。

2016年の熊本地震の被害がここでも大きく、南阿蘇鉄道が全線復旧したのは2023年。地震からの回復には時間がかかることがわかります。
どこでも八面六臂で働いているくまモンと並んで、熊本の被害の大きい地域では特に漫画「ONE PIECE」の活躍・協力が見られました。

サニー号が列車になるんだねえ〜〜〜

南阿蘇鉄道では、各駅でONE PIECEのキャラクターの立て看板が設置されていました。1時間に一本くらいしか運行がない電車で途中下車するのは難易度が高いですが、どの駅でも降りてロビンやルフィと写真が撮りたくなる仕掛けです。

観光用トロッコ列車も運行!人気が高く私は予約が取れませんでした。

南阿蘇白川水源駅ではトラファルガー・ローが!!!!
青く揺れる稲穂を背景にかっこいい顔。レアすぎるコラボ。

この景色のことを後にちはやふる基金の代表・ほんぽさんに話したら

「漫画と地方のコラボレーションにアンテナを張っているつもりでいたけれど、知らないことって多い!私が知らないってことは、ONE PIECEがこんなに熊本を応援しようと頑張ってることを知らないファンも多いんじゃないのかな。
情報を届けるって難しいね」

ちはやふる基金代表・本保美由紀

なるほど。本当にそうです。
作者の尾田栄一郎先生が熊本出身とのことで地震の復興にたくさんの協力をしていることをどこかで聞いてうっすら知っていいても、それはもう過去のことでどこかで終わっているかと感じていました。

でもまだまだ地震の爪痕が残るように、それをなんとかしないといけないと諦めずに働きかける人がこんなにもいる。

電車の窓から見る阿蘇の山肌には、崖崩れや地滑りの跡がたくさん残り、新しく建てられたであろう家屋は2016年の地震で倒壊した後の努力の再建であろうことが伝わってきます。

有名な観光地、白川水源へ。

熊本県阿蘇郡南阿蘇村にある一級河川白川の総水源です。白川の上流に流れる水のほとんどは、阿蘇カルデラに降り注いだ雨や湧水。毎分60トンの湧水が勢いよく湧き上がる白川水源は、極上の癒しスポットです。

https://kumamoto.guide/spots/detail/219

晴天でめちゃくちゃ暑い中訪れた湧水は本当にオアシスでした。

水が取れるところ、水遊びができるところ、座って足だけ水につけられるところなど、水のルートが何本にも分かれていて心配りがすごい。

毎分60トン・・・!!!
お風呂(200リットル)は0.2秒で溜まります。

湧水って水が湧き出てるだけじゃん・・・・という勿れ。

「夏、子供、水」この3点セットは、言わば「秋、芋、私」くらいターボのかかるコンボ。
白川水源は持ち帰りのタンクなどにお水を取る場所と、人が立ち入っていい場所がちゃんと分かれていて、夏のこの日は大人も子供も関係なくみんなヒャッハー!!と水遊びをしていました。

思った以上に冷たい!!思った以上に楽しい!!
かなりの時間をこの水辺を堪能することに使って、はしゃぎ回る大人と子供。湧き出てくる美しい水の豊かさに、気持ちまでも大きく膨らんでくるようでした。
「水に流す」ってあるな〜〜なんて思うほど、大切なものが大量に溢れてくる様子に小さな悩みが気にならなくなる自分を感じました。

熊本で今大人気の赤牛。丼の直球の美味しさ。
馬肉は熊本でもどこでも高価だけど、どこでも置いてある!

福岡で生まれ阿蘇山には何度も行ったことがあったけど、熊本城には行ったことがないのです。それがずっと心残りだったので、この機会に訪れることにしました。

南阿蘇鉄道で立野駅まで戻り、JR肥後本線に乗り換え熊本市へ。

熊本市内は思ったよりもずっと都会で、でっかいビルにでっかいくまモンがいることにまた新鮮に驚きました。
何はともあれめちゃくちゃ暑くて、阿蘇山エリアより3〜4度は高い市内の気温に「ここは阿蘇に守られてない」ということを感じました。都会はどこでも暑いんだ・・・。

熊本城の特別見学通路(大人800円・子供300円)は外国からの観光人も多く、ごった返すほどの賑わいでした。
しかし、通路を少し進めば感じられるのは、まだ地震被害が続いていること・・・。

崩れた石垣が直されているところもあれば、まだまだ時間がかかることを前提にコンクリートで固められた石垣も。生々しい。

熊本城は貴重な観光資源です。見られる状態で公開するため、そして公開しながら修繕を続けるために作られたこの「特別見学通路」は、熊本城の修繕を終えたら取り壊される予定のもの。

特別見学通路の実現のためには、特別史跡内として厳しく制限された中で、難しい設計条件と熊本城の景観に配慮する必要がありました。地中及び地表面に多くの遺構が確認されているため、堀削や樹木伐根はできず、杭を打つことも出来ないので、置き基礎による計画を行い、石垣の崩落が想定される範囲には原則基礎は配置せず、安全性を担保しています。また復旧工事が継続的に行われる予定のため、工事車両動線の確保と、安全確保のため工事動線と分離した見学通路を設ける必要がありました。さらに敷地内の多くの樹木を極力伐採しないような配置も検討しました。
こうした特殊な与条件から、針の穴を縫うように全長350mの見学ルートを設定しました。

日本設計HPより

「直されていく今」を訪れる人間に示しつつ、共犯関係を結ぶための「工事の足場」のように作られた見学通路。
それは同時にその頑丈さで熊本城の心意気を示しているかのようでした。

地震以前はこの通路もなかったのです。下の歩道は観光客は歩けません。

このリアルな復旧の今の感じ。
熊本城、今見ていてよかった・・・と心底思ったのですが、何せものすごく暑くて、子供達はみんなグロッキー。
私がこれまで一度も熊本城に来てなかったのだから、子供達ももしかしたらここに来るのは人生で一度かもしれない・・・その機会がこんな暑さにやられて中途半端でいいのか、と思いつつ、『ちょっとだけでも行ったことがある』ということが、後々にまで響く親近感となることを知っています。

もっとゆっくり見たかった・・と思いつつ、タクシーを呼んで熊本空港に向かうことにしました。

熊本市内でもタクシー配車アプリが使えたので無作為に呼んだタクシーだったのですが、運転手さんが私の顔を見てハッとします。

「あれ、もしかして・・・・」
「・・・・・?あれ?!原さんですか?」

最初の日に観光タクシーで5時間案内をしてくれた原さんに、まさかここでまた会うとは。

旅の最初と最後で同じ運転手さんにお世話になれたことに運命を感じ、空港までの車内でまたたくさんお話をさせていただきました。

「熊本城のあの石垣は、修繕が終わるまであと28年かかるんですよ」
「えーーーー!!!28年・・・」
「ただ石垣を積み直せばいいならもっと早いんでしょうけど、過去の写真などで確認しながら、石垣の同じ場所に同じ石を置かないといけないらしくて。砕けちゃったりしたら同じサイズの石を作り直して・・・だから1日に5個くらいしか起き直せないみたいです。石垣がどこの石垣かを判別するためのソフトも作られてるみたいですけど、時間かかりますよね」
「ひゃあ・・・・」
「でも熊本城は私たちの宝物ですからね。あの見学通路がなくなって修繕が終わるまで、その途中も一緒にお客さんに見ていってもらいたいんですよね」

南阿蘇鉄道も熊本城も、ものすごいパワーに満ちていたけど、そこにいる人の必死な毎日が積み重ねた末の「諦めない」という覚悟なんだと思うんです。
行かないとわからない切実さと、同時に魅力がありました。
ONE PIECEファンは舐め回すように行ったらいいし、特に思い入れがなくても絶対楽しい大きな魅力のある県です。

原さんに送ってもらった熊本空港の出発ロビーはたくさんの人で賑わい、最近建て替えられた新しい空港はおしゃれでお土産もどれも素敵でした。
果物もお肉もお菓子もガラス工芸も、自慢の品が多いことがドヤ!!と示されていました。

自分にも友達にもたくさんお土産を買ったけど、子供達が一番食いついたのはガラス細工!!!

許可をもらって写真を撮らせてもらいました。
ものすごい技術!
ガラス工芸家・黒木国昭さん作

「ママ、これお土産に買ってほしい!」

そっと値札を見たら165万円。。。。

まだまだ熊本の地にお金を落とすには実力が足りないぜ・・・とほぞを噛みながら帰りの飛行機に乗りました。

楽しかったよ熊本。大好きだよ阿蘇。
一生に一度かもしれないと言わずまた来たい。
いつか165万円払えるように、また頑張って仕事します。


定額メンバーの皆さんに、最近頑張って書いた色紙を見ていただきたい・・・!
文具メーカーの呉竹さんが新しく発売した6色のグラデーションを展開する筆ペンを使いたくて、この機会にチャレンジしてみました。

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