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火の国熊本旅行記③「健康」って掲げすぎて不健康になったあと健康になる国へ

熊本では【阿蘇ファームランド】という宿泊施設に泊まりました。写真のパオのようなコテージが何百と並ぶ村のようなエリア。そこに隣接して、さまざまな健康促進施設が広がります。健康促進施設?


いろんな通路にずーっと「健康」を謳う看板が続いていて、ものすごく続いていて、ちょっと尋常じゃないくらい続いていて、どの看板も「健康」を掲げていて、「健康健康健康健康健康健康健康健康健康健康健康」の羅列を見ていると、なんていうか不安に襲われてきます。心が不健康になっていく・・・。
そこで私はまた深い学びを得ました。

意識しないでいるうちが健康で、健康を意識した瞬間不健康になる。

そうか、健康を意識させすぎる仕掛けで不健康な気持ちにさせて、そしてこの施設で健康になって帰ってもらうというプランなんだな?阿蘇ファームランドよ。

その健康促進施設と真っ向からがっぷり四つで頑張った姿をご覧ください。

とりあえず雄大な阿蘇山に見守られ、国内最大級のスライダーに体当たり。

ギャング映画で人が詰められるとこでしか見たことないなーという「麻袋」。
それを渡されビルで言ったら3階分くらいの階段を登って、頂上で麻袋をお尻というか背中の下に敷き、この緑の斜面を滑り降りるわけですが、なにせ雄大すぎてめっちゃこわい。
上も下もなくぐるんぐるん回りながら降りていくと、そこにはまた雄大な阿蘇の空しか見えず、ゆるりと放り出された身体・・・。ハアハア。

なにこれ、ここでしかできないやつや・・・!!!

あまりの開放感。
周囲には同じようにビビり上がった子供(&大人)か、体験して感動した子供(&大人)しかいない。
もうこれ子供も大人も関係ないな、と思うくらい地元の人以外はみんな初心者。
うっかり感動してしまって5回くらい登って滑ってを繰り返しました。楽しかったですが、一番健康促進になったのは滑るために登った階段に違いありません。ハアハア。


そしてまた美しい阿蘇の峰々に応援されながら、60個のアスレチックにチャレンジ・・・!
60って・・・
60って・・・
60って・・・
私ペン以上に重いもの持たない漫画家ですけど・・・・

やるの?
やるのか〜〜〜
やってやるぜーーーー
雲梯できないよ〜〜

できるやつもできないやつも、とりあえずチャレンジして、日頃Apple Pencilしか持たない貧弱な漫画家がものすごく頑張りました。
まさしく健康!!健康じゃないとそもそもやらんわこんなの!!
健康になるっていうか、健康を確認しにいく設備だね?ハアハア。めっちゃ運動しました。

しかし八月の真夏の熊本の暑さは、都会の暑さと少し違ってサラッと流れていく暑さでした。やっぱり緑が多いのが効いています。

子供達は大はしゃぎでしたがアスレチックはそんなに混雑していなくて、「夏休みの時期にボチボチくらいの繁盛だと困るんじゃないかなあ」なんて思ったのですが、「いや、ここは秋の方が人気があります」と教えてもらって深く深く納得しました。
夏にやるのがおかしい。60個のアスレチック。

阿蘇ファームランドには小動物と触れ合えるコーナーもありました。祖父母からもらったお小遣いを餌代に変え、長男R君はニコニコとビーバーに野菜をあげていました。
ビーバー!初めて見ました!ビーバー!可愛い!!

ほかにお金を使いたいあてもないということで、ものすごくどんどこ課金。
カピバラにも餌。ビーバーの方が餌に対するガッツが強くて、目が真剣で、体に抱きつきよじ登ってこようとするくらいでした。
ビーバーのしっぽ初めて触りました。思ったより柔らかくて弾力があって、少し朽ちたゴムのようでした。アスレチック頑張り過ぎてネイルが剥がれました。努力が忍ばれます。

もうお忘れかもしれませんが時は8月上旬の猛暑。カピバラもビーバーも人間も生きてるのがやっとな暑さ。ヘトヘトだし汗だくです。

汗だく・・・そして健康・・・・そう、ここで出番が来るのが温泉!!!
火の国熊本はとことんどこにでも温泉が湧きます。
阿蘇ファームランドの温泉施設がそれはそれは本当に素晴らしかったんです。

温泉の写真などは撮れないのでこちらのサイトを見ていただけたら。
15種類の露天風呂温泉&サウナ!!!
一人しか入れないよね?という五右衛門風呂も三つ。それらが全部阿蘇の雄大な山々と夕暮れの空の下で堪能できるのです。
恐ろしい。もちろん子供たちは全部入ろうとします。ひろ〜〜い露天風呂エリアで目を離すわけにいかず、大人も一緒に付き添います。

お風呂の宮殿。
お風呂のテーマパーク。
60個もアスレチックした後に、15個温泉に入る。
健康の暴力が波のように押し寄せます。
人はどうしてこんなにも無茶を繰り返してしまうのでしょうか。

答えはひとつ・・・よく寝るためです。

時は8月11日。ちょうどペルセウス座流星群が見られるという日。

寝られないわ!!!!

クタクタの体を引きずり、夜の11時に子供たちを連れて外に出てみました。

コテージの外は車道はあるのですが敷地内なので深夜に通る車もなく、それでも同じようにペルセウス座流星群を見ようとする人たちが何人か歩いていました。
阿蘇ファームランドのいいところなんですが、通路がちゃんと街灯で明るくて、ライトが目に入るところにあると星がうまく見えません。
こういう時自家用車があればもう少し山の方に行くのがいいのかもしれないのですが、それができないのでできるだけ街灯がないところを探して、コインランドリー棟の上の見晴し台に登りました。

そこにも先客がいて、みんなペルセウス座流星群を待ってる様子。
最初は星空を立って眺めていたんですが、どうやっても疲れてくるので、いつのまにかみんな座り込み、人によっては寝っ転がって夜空を眺めていました。
知らない人も、知っている家族も、一緒になって無防備に見上げる夜空に大地ごとに溶けていくようです。

長女kちゃんの豚はまくらにされていました。

「撮れやしないだろう・・・」と思いつつ、iPhoneで押すシャッター。こんなにも綺麗な星が頭上にあるのかと、衰えてきた視力以上のレンズを持つカメラを純粋に尊敬したりしました。
ペルセウス座流星群を待ちながら寝転がった1時間で5つくらい流れ星を見ることができて、やっぱり「願い事を呟くには流れ星は早すぎる」という知見を確認しました。

流れ星と願い事を結びつけた人はきっと、「自分が真に願うものはなんだ?」という問いの方こそ意味があり価値があると考えたのだろうと思うのです。

叶うことも叶わないこともどうでもいい。
何を願うのかということを突き詰めて考える時間のほうが、絶対に大切です。

「みんな元気で」

そのくらいの願いしか流れ星を待つ時間に心の中で描けなかったけど、それはつまり健康ってことでした。
さすが健康推しの阿蘇ファームランド。

ひどいことなど起きずに、起きても跳ね除けられるくらい健康で、また知らない人と知っている人と流れ星を見上げられる平和な夜が来ますように。

阿蘇旅行記まだまだ続きます。

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