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着メロと映画好き

映画への興味真っ盛りの中学生の時に引きこもりになった
動画の配信サービスも無いような時代だったので映画館やTSUTAYAに行くことが出来ないと、映画と触れ合う手段はテレビ放映された物を観る、そしてビデオ録画をするくらいだ
でもビデオテープにも限りがあるし、特定の物を狙って観ることは出来なかった
そこで映画を観る代替行為として、おふくろの携帯電話を借りて映画のサウンド・トラックの着メロをよく聴いていた
着メロというのはまだ性能の低かった携帯電話のピポパポ音で何とか本来の音源を再現し、電話がかかってきた際に鳴るように設定出来るサービスだ
後々には着うたという本来の物より質は落ちるけど本来の音源をほぼ再現出来ている物に変わっていった
確か1曲を30円くらいで買えたんだけど、あまりお小遣いを貰えなかったので沢山は買えなかった
着メロを聴けるのは、おふくろが仕事から帰ってきた夕方から翌朝までの使わない期間なので、日中に寝ておいて聴ける瞬間を充分に楽しむことに必死だった
着メロを聴きながらどんな映画だったか思い出したり、観たことのない映画を夢想するのが好きだった
外に出られるようになった時に、聴いていた着メロの映画を観ると、思っていた音楽、内容とは違ってがっかりすることもあった
『ポリス・ストーリー3』の『謎』って曲とか、『ビバリーヒルズ・コップ2』の劇中歌(シェイクダウンじゃないやつ)『プラトーン』の『男が女を愛する時』なんかは着メロの方が格段によかった
毎日泣いていた帰りたくない時代だけど、この着メロを聴きたいと思うことはたまにある

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