ゾットする
大人になれば怖いものがだんだんなくなっていくし、 ある程度のことは我慢できるようになると思っていた。 でもどうやら違った。 僕は飛行機が怖い。 できることなら乗らないで一生を終えたい。 30歳を目前にはじめて国際線に乗ったときは本当に衝撃だった。 機体によるのかもしれないが、 滑走路から飛び立つまでの間にあんな轟音が鳴り響くなんて思いもしなかった。 振動もものすごい。 これは間違いなく異常事態だと周りを見渡しても誰も焦っていない。 みんな飛行機に慣れすぎて感覚が麻痺しているんじゃないかと思った。 どう考えても飛行機は怖すぎる。 離陸前に寝てしまいたくても緊張で眠れないし、 読もうと思って準備した本はほとんど頭に入らない。 もちろん映画に集中できるわけもない。 おまけにお腹の弱い僕は機内食を全力で楽しめない。 万が一お腹を壊してトイレにいる間、 強風が吹いて飛行機が揺れたらどうしよう。 そう考えると自然と少食になってしまう。 何回も乗れば慣れるよと妻は言うが、 今のところその気配はない。 大人は大変だ。 飛行機並みの試練がこの先も待っているのかと思うとゾッとする。