Yuya Sugimoto

Yuya Sugimoto

最近の記事

猫が飼いたい

猫が飼いたい。飼いたくてしょうがない。半年前にペット不可のマンションに越したばかりだというのに。 わたしはこれまでの人生をずっと犬好きとして生きてきた。物心がついたときにはすでに祖母の家の雑種犬と遊んでいたせいか、一番好きな動物は犬だと自然に思うようになっていた。ライオンやゾウはもちろん好きだ。それでも「動物」という文字を見ると反射的に犬の姿を想像してしまうし、触れた時間の長さ(2024年現在35歳)なら人に次いで犬が2位、いや、もしかすると1位の可能性だってありえるのでや

    • 雑記

      鍋底にへばりつくパスタ あとで使おうと思ってそのへんに置いた綿棒は、もう見つからない 道端のゴミ袋が猫に見える ダウンのポケットに去年入れた2千円 それぞれの体操座り

      • 相当心細かったから

        あまりにも風が強いと「ビュービュー」「ゴーゴー」という音しか聞こえなくなって、 その代わり頭の中のひとりごとや心臓の鼓動はいつもよりよく聞こえてくる気がする。 髪の毛はオールバックになるし目にはゴミが入るけど、 体を預けたくなるほど勢いよく吹く風の中をゆっくり進んで行くのは気持ちが良い。 人間でさえ苦労するそんな悪天の日、 小さな虫はどこか遠くまで飛ばされていってしまうのだろうか。 例えば丸まったダンゴムシは風に飛ばされて隣町まで転がっていってしまうのだろうか。 もしそんなこ

        • ゾットする

          大人になれば怖いものがだんだんなくなっていくし、 ある程度のことは我慢できるようになると思っていた。 でもどうやら違った。 僕は飛行機が怖い。 できることなら乗らないで一生を終えたい。 30歳を目前にはじめて国際線に乗ったときは本当に衝撃だった。 機体によるのかもしれないが、 滑走路から飛び立つまでの間にあんな轟音が鳴り響くなんて思いもしなかった。 振動もものすごい。 これは間違いなく異常事態だと周りを見渡しても誰も焦っていない。 みんな飛行機に慣れすぎて感覚が麻痺しているん

          明日はどんな天気になるだろう

          毎日いろいろな種類の考え事に追われて忙しいというのは錯覚で、 僕は一日中天気のことばかり考えているようだ。 起きてまず口にする飲み物、 会社に着て行く服、 移動手段、 持ち物、 昼ごはん、 散歩のルート、 明日の予定(今日は金曜日だ)・・・。 自分の気分で判断してると思っても、 その気分さえ天気に左右されてしまうわけだから基本的にはずっと天気に悩む生活を送っている。 自然を無視してこの世界を生き抜くことは不可能なので当然だが、 日常のありとあらゆることに天気が関与してくる事実

          明日はどんな天気になるだろう

          これは比喩です

          優柔不断だ。 選択ができない。 「これしかない!」 なんて思えたことがないし、 そう覚悟を決める勇気もない。 本は一冊くらい気に入るものがあるだろうと目論んで数冊同時に読み進めるし、 メニューを選ぶときは単品より小鉢でいろいろとチャレンジしたい。 期待を下回ったとか、 好みに合わないだとかいう感情を抱きたくないし、 自分が勝手に決めた基準のせいで自分のテンションを下げたくはない。 だからいつも 「なんでもいい」 と思ってしまう。 きっと間口は広いほうがいいに決まっている。 問

          これは比喩です

          空気が読めない

          前の職場でランチミーティングをしていたときのこと。 あくまでメインは食事ではなくミーティング。 上司の話を聞きながら、 頃合いを見計らって箸を動かすような感じだった。 先輩スタッフが相槌を打ちつつ上手いタイミングで食事を進めるのを横目に、 新人の僕は大きなサーモンの乗ったちらし寿司が食べたい気持ちを抑え、 手近な副菜ばかりつまんでいた。 中央の大皿に入ったちらし寿司を身を乗り出して取るのはさすがに危険だ。 しかし、 先輩スタッフは俊敏にそのちらし寿司を食べているではないか!

          空気が読めない

          どうしたらいいんですか

          メモを取ると良いらしい。 あるときそういった情報が僕の耳に届き、 実践している。 内容は買い物リスト ・ パスワード類 ・ 誰かの誕生日 ・ 日記的なことだったりとその重要度はさまざまだが、 忘れっぽい僕には丁度いいと思って続けている。 コツコツ続けるのは得意なほうで、 気づけば意識的にメモを取り始めてから5年が経っていた。 5年続いたと言えば聞こえは良いかもしれないが、 本当にただ 「書いた (打った)」 だけ。 忘れるといけないことをメモしても、 結局それを見返すことを忘

          どうしたらいいんですか

          亀並みの速度で

          机に向かうのが嫌でしょうがない僕にとって、 植物だったり看板だったり、 歩きながら目に入ったものを指差して 「あれは韓国語でなんて言う?」「あれは?」「じゃああれは?」 と子供のように聞きまくることが唯一、 言語学習の時間になっている。 復習もせず同じようなことを繰り返し聞いても妻は丁寧に教えてくれる。 妻にとって、 今いるここは外国だ。 少なくとも僕と一緒にいるかぎり日本語を使ってもらわなければいけない。 たくましい妻を尊敬しながら、 そんな状況を申し訳なくも思っている。

          亀並みの速度で

          模索している

          自転車は肩身が狭い。 どこを走っていてもあまりにも邪魔者扱いされてしまうから、 自分が悪いことをしてるんじゃないかという気さえ湧いてくる。 それでもたまに、 道を譲ってくれる親切なドライバーに遭遇する。 本当にたまに。 大袈裟でも何でもなく、 僕は心の優しい他人に出会うとその日は一日気分が良いので、 なんとかして感謝の気持ちを伝えたいと思う。 以前は口をパクパク動かして 「エアーありがとうございます」 をやっていたのだが、 マスクをつけはじめてからはそれができない。 首をひょ

          模索している

          衝動買いはよくないという話

          美大を目指してアトリエに通っていたころ、 ガラスが上手く描けない僕に対して講師が、 「映り込みを描き込むか、 ガラス以外の物の質感を強調するといいよ」 と教えてくれた。 10年以上前のそのシーンを思い出したのは、 衝動買いしたポスターを部屋の壁に貼ったせいだ。 僕の家の壁はただの白い壁で、 特別な思い入れがあるわけでもないしインテリアの一部として扱っているわけでもない。 限りなく 「無」 。 だから自分の家の中と言えども、 壁の存在を意識したことはこれまでなかった。 それがポ

          衝動買いはよくないという話

          絶対

          少なくとも一日に一回くらい刺激的なことが起こればいいのにと思う。 しかし現実がそうドラマチックなわけもなく、 淡々と仕事をする日々が続く。 昨日のことを 「さっき」 と平気で口にしてしまうくらいに時間の感覚は鈍くなっている。 データを保存するたびにタイトルの末尾に日付を打ち込んではいても、 今日が何日かをそのとき改めて意識することはほとんどない。 毎日のように数字をタイプしているにもかかわらず、 今月が終わりかけているのに気付かないことのほうが多い。 数日後、 月の数字を打ち