【ショートショート】哲学
「神は死んだ」
フリードリッヒ・ニーチェが残したこの言葉。彼女が不意に口にしたこの言葉は僕の心の中に生き続ける。
彼女は答えのない問いを良く投げかけてくる人だった。ある時は
「人って死んだらどうなると思う」またある時は
「正義って何なのかな」
と、このように考えていたらきりがない問いが好きだった。
そんな彼女が唯一断言したのがこのニーチェの言葉だった。
彼女は校舎の屋上からこの言葉を僕に放って落ちていった。
神が生きていたらこんな運命は残酷すぎる。
だからこの言葉は僕の中に生き続ける。
今ならわかるような気がする。
死後の世界があって地獄があるなら僕は地獄に行くだろう。
そうでもしないと僕の罪は償えない。
生きたいと願った命を奪った悪なのだから。
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