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仕事での評価を高める質問力の鍛えかた
「質問力」は、自己成長やキャリアアップにおいて非常に重要なスキルです。
良い質問は、単に疑問を投げかけるだけではありません。効果的な質問は、相手の考えを引き出し、深い理解を促すものです。
例えば、ソクラテス式対話(産婆術)のように、相手の答えを引き出しながら自分の考えを深める方法があります。これにより、自己反省やメタ認知が促進され、自己成長につながります。
あるいは、質問力はコミュニケーションスキルの一部としても重要です。良い質問をすることで、相手との信頼関係を築き、共感を得ることができます。
1. 質問力とは何か?
しかしそもそも「質問力」とは何を意味するのでしょう。
明治大教授の斉藤孝は、「質問力」を、質問するという積極的な行為によってコミュニケーションを自ら深めていく行為だと説明しており、
質問力を高めることで、
・初対面の人と3分で深い話ができる
・質問力でその人の能力を推し量ることができる
・質問力があれば優れた人から情報が引き出せる
と述べています。
また、慶応大の茂木健一郎は「質問」と「疑問」を区別しており、疑問は単に「なぜ?」と感じることですが、質問はその疑問を具体的に表現し、相手に投げかける行為だと説明しています。疑問を持つことは重要ですが、それを質問に変えることで初めて他者とのコミュニケーションが生まれるということです。
例えば、疑問として「なぜこのプロジェクトは遅れているのか?」と感じた場合、それを「このプロジェクトが遅れている原因は何ですか?」と具体的な質問に変えることで、具体的な情報を引き出すことができます。
これらの見解をまとめると、質問力の高さは、以下のようなメリットがあります。
問題解決能力の向上: 良い質問をすることで、問題の本質を見抜き、効果的な解決策を見つけることができます。
例えば、トヨタの「5回のなぜ」分析法は、問題の根本原因を見つけるために5回連続で「なぜ?」と質問する手法です。この手法は、問題解決のための強力なツールとして広く認知されています。トヨタ生産方式
コミュニケーションの改善: 質問を通じて相手の考えや感情を引き出し、共感を得ることができます。
例えば、カーネギーの「人を動かす」では、相手に興味を持ち、適切な質問をすることで良好な人間関係を築く方法が紹介されています。デール・カーネギーの人を動かす
自己成長: 質問力を高めることで、自分への問いかけ、内省、つまり自己反省やメタ認知が促進され、自己成長につながります。
例えば、自己啓発書「7つの習慣」では、自己反省とメタ認知の重要性が強調されており、質問力がそのプロセスを支える重要なスキルとして紹介されています。7つの習慣
2. 質問力を高めるには
それでは、質問力を高めるため、質問力を構成する要素についてみていきます。
内省
そもそも、質問は相手に発される前に、自分自身の中で疑問として提起されなければなりません。
しかし、疑問を持つのは当たり前ではありません。人間の脳は、最少努力の法則に支配されていますから、目の間のことにいちいち疑問を持ったりしないのです。
何も考えていなければ、目の前にある話は全てスルーされてしまいます。
そこに必要なのが「内省」です。
内省は日本国語大辞典によれば
「自分の思想、言動などを深く顧みること」とあります。
実際、他者と相対した時に
「私は相手から何を感じたか?」
「相手の発言から何を思うか?」
「相手は私に何を求めているか?」
を顧みることから、質問は生まれます。
したがって、自分自身に問いかける習慣を持つことが重要です。自分の考えや感情に気づくことで、他者に対しても効果的な質問ができるようになります。
そのための訓練としてはまず「自問自答」があります。
例えば毎晩寝る前に5分間、自分に問いかける時間を設けることです。
「今日の出来事で一番印象に残ったことは何か?」
「今日の自分の行動で改善すべき点は何か?」
といった質問を自分に投げかけることで、内省の癖が身につきます。
こうした癖付けがなされている人は、具体的かつ本質的な質問をすることが多いです。
例えば、「この問題の本質は何か?」や「どうすればもっと効果的に解決できるか?」といった質問です。これにより、問題の核心に迫ることができます。
具体的な事例として、イーロン・マスクは「ファースト・プリンシプルズ(First Principles)」という思考法を用いています。これは、物事を最も基本的な要素に分解し、そこから再構築する方法です。
例えば、彼が電気自動車のバッテリーコストを削減するために行った質問は、「バッテリーの基本的な材料は何か?」というものでした。この思考法により、彼は従来の常識を打ち破るアイデアを生み出しました。出典: Jamesclear.com
他者による疑問の提起を利用する
イノベーションを生み出すためには、現状を疑い、新しい視点から物事を見ることが重要です。例えば、「なぜこの方法が最善なのか?」や「他にどんな方法があるか?」といった質問をすることで、新しいアイデアが生まれます。
具体的な施策として、ブレインストーミングセッションを定期的に開催することをおすすめします。例えば、月に一度、チーム全員が集まり、特定の課題について自由に質問を投げかける時間を設けることで、新しい視点やアイデアが生まれやすくなります。
この場合「質問をする」だけではなく「質問をしてもらう」ことで、自らの質問する能力を高めることができます。
「質問をしてもらう力」とは、他者が自然と質問を投げかけたくなるような環境を作り出す能力です。この力は、チーム内のコミュニケーションを円滑にし、メンバー間の信頼関係を強化するために不可欠です。
ここでは具体的には、オープンマインドと心理的安全性という二つの要素が重要な役割を果たします。
オープンマインドとは、他者の意見や考えを受け入れる姿勢を持つことです。例えば、会議やディスカッションの場で、全てのメンバーが自由に意見を述べることができる環境を作ることが重要です。これにより、メンバーは自分の意見が尊重されていると感じ、積極的に質問や意見を出すようになります。
心理的安全性とは、メンバーが自分の意見や質問を自由に表現できる環境を指します。具体的な施策としては、リーダーが率先して自分の失敗や疑問を共有することで、他のメンバーも安心して発言できるようになります。Googleの研究によると、心理的安全性が高いチームはパフォーマンスが向上することが確認されています(出典: Google re:Work).
さらに、具体的な事例として、ある企業では「質問タイム」を設けることで、メンバーが自由に質問を投げかける時間を確保しています。この時間を利用して、メンバーは日常の業務で感じた疑問や改善点を共有し、チーム全体で解決策を考えることができます。これにより、チームの問題解決能力が向上し、信頼関係も強化されます。
3. 良い質問と悪い質問の見分け方
質問には良い質問と悪い質問があります。良い質問は相手の考えを引き出し、深い理解を促すものです。一方、悪い質問は相手を困らせたり、答えを限定したりするものです。
良い質問の特徴は以下の通りです。
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