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生成AIで、想像よりもかなり早く、SEOライターの仕事が先細っている、という話。

ついに影響が顕著に出始めましたね。

かねてから懸念されていた、記事のライティングにおいて、生成AIの影響により多くのライターが仕事を失う事例が報告されてきました。
思ったよりも早かったな、という印象です。

主たる理由は「コスト削減」。

Googleの検索上位にページを表示させるための、コンテンツ制作には、かつて大量のライターが投入されてきました。
しかし単なる「SEO記事」であれば、AIによる執筆でも十分に間に合ってしまう。というより、請け負ったライター側もAIで書いている。

であれば、1記事に数千円、数万円を支払うよりも、自社でインターンでも雇って、AIを用いて書かせればよい。そういう会社が実際に増えています。

同様に、プレスリリースやチラシの制作にもAIが用いられはじめ、今までは外注に出されていた仕事が、内製化されています。

あるいは「AIで書くのだから、単価は今までの1/10でいいよね」と単価は下がるばかり。「現代の内職」と呼ばれていたクラウドソーシングにも、その影響が表れてきています。

解雇されたライターたち

これは、世界的な傾向のようです。例えば、英国BBCがこの事態を報道しています。

作家のベンジャミン・ミラー(仮名)は、2023年初頭に大活躍していた。60人以上のライターと編集者のチームを率いて、不動産から中古車まであらゆるデータのパッケージ化と再販を行うテクノロジー企業の宣伝のためにブログや記事を公開していた。
「本当に魅力的な仕事でした」とミラーは言う。創造性を発揮し、さまざまな分野の専門家と協力するチャンスだった。

しかしある日、ミラーのマネージャーが彼に新しいプロジェクトについて語った。「彼らはAIを使ってコストを削減したいと考えていました」と彼は言う。

1 か月後、同社は自動化システムを導入しました。ミラー氏のマネージャーがオンライン フォームに記事の見出しを入力すると、AI モデルがそのタイトルに基づいてアウトラインを生成し、ミラー氏のコンピューターに通知が届きます。ライターは独自のアイデアを考える代わりに、そのアウトラインに基づいて記事を作成し、記事が公開される前にミラー氏が最終編集を行います。

ミラー氏が適応する時間はわずか数か月で、2 つ目の自動化レイヤーのニュースが届きました。今後は ChatGPT が記事全体を執筆することになり、彼のチームのほとんどは解雇されました。残った数人に残されたのは、ChatGPT の劣悪なテキストを編集して、より人間味のあるものにするという、さらに創造性に欠ける作業でした。

https://www.bbc.com/future/article/20240612-the-people-making-ai-sound-more-human


あるいは、Yahooニュースにおいても以下のような話が報告されています。

この人物はフリーライターとして10年以上の経歴を持ち、トップブランドとの仕事の経験もあったそうです。

昨年には新しいクライアントも獲得し、時給50ドルで仕事がスタートしたものの、彼の書く文章が優れていたことからクライアントが自主的に時給80ドルまでアップしてくれ、いまでは主要な収入源にまで成長していたとのことでした。

しかし、その仕事は『ChatGPT』に取って代わられました。

クライアントは「AIの仕事があなたの仕事ほど良くないことは理解しているが、利益率を無視できない」とメールで連絡してきたとのことです。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/d41ddceb54c7fa67eecc0a196a1d9c49416c97c5


もちろん日本においても、同様の報告があります。
以下の方は文字起こしのライターをやっていましたが、「今月でおしまい」と告げられたと言います。

「ながれのさん、申し訳ないんだけど、この案件は今回でおしまいにしてくれない?
ある日、クライアントから衝撃の一言が。

私の得意技だった文字起こし。音声を何度も聞き返しながら、ポチポチと手打ちしていた作業が、AIによってあっという間に取って代わられてしまったのです。

AIときたら、私たちの何千倍ものスピードで音声を文字に起こし、要約までしてしまうんです。さらに、ちょっとしたプロンプトを入力するだけで、ブログ記事やメルマガまで書き上げてしまう。

「来月からAIにやってもらうから」

その言葉に、私の心は沈みました。
「子どもの塾代もあるのに、どうしよう?」

https://note.com/hotori_nagare/n/n21aa960f7c9d

週刊ダイヤモンドでも「クラウドソーシングのライティングが右肩下がり」だという報道。

 生成AIが最も得意とする文章作成。記事執筆などのライティングの仕事はどうなったのか。
 実は、レビューや口コミ、体験談などのライティングは、クラウドワークスが12年にサービスの提供を開始して以来、需要は堅調かつ安定的に推移してきた。10年代前半、動画が急速に浸透する中にあっても、ライティングの仕事はさほど減ることはなかった。
 ところが、昨年春ごろからにわかに潮目が変わった。(中略)これまでにない減少傾向が明白になったのである。

https://note.com/writer_farmer/n/ne8df5375c93b

実際にこれを調べてみると、確かにクラウドワークスのサイトで、こんなデータがありました。

「生成AIを活用した低単価の簡易文章作成案件数」が231%も増加しているというのです。

ところがこれは、案件が増えて万歳!……ではありません。

これはライターにとってポジティブな現象ではないのです。
増えているのは低単価の、生成AIを使った案件。

契約金額が5000円以下の案件が増えているということなのですから、逆に言えば、生成AIを用いないライティングの単価は減少しているのでしょう。

Perplexityは「単価は下がっているだろう」という予想をしています。

単価の変化:
生成AI関連の仕事を受注するワーカーの契約案件単価は、他の仕事を受注するワーカーの単価と比較して1.8倍と高い傾向にあります4。これは逆に、生成AIを使わないライティングの単価が相対的に低下している可能性を示唆しています。

AIによる効率化の影響:
AIの使用で効率化が図れるようになったため、直近でライティング案件が前年同期比で減収したという報告があります6。これは単価の低下を示唆しています。


私の身の回りで起きたこと

私はライター業を長いことやっていたので、この変化にすぐに気づきました。

まず「メディアの立ち上げをやりたいのだけど、AI使って安くできない?」という問いあわせが増えました。
もちろん「できる」とお答えします。
実際にできるからです。

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インターネット上における 「生成AIの利活用」 「ライティング」 「webマーケティング」のためのノウハウを発信します。 詳細かつテクニカルな話が多いので、一般の方向けではありません。

ビジネスマガジン「Books&Apps」の創設者兼ライターの安達裕哉が、生成AIの利用、webメディア運営、マーケティング、SNS利活用の…

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