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今週の【情報通信をとりまく】気になるニュースまとめ

5人に1人が「自分が支持していない候補が勝った場合、その選挙結果を認めない」とする恐ろしいアンケート調査とその結果に愕然としました。私自身がメディア業界の人間ということもあり、こうした分断はメディアの弱体化にあるのではないか、とも考えてしまいます。

①日本のネットワークパワーに世界が期待

世界が日本に「期待」しているという話を、最近よく見聞きするようになりました。

-知日派のミレヤ・ソリース米ブルッキングス研究所東アジア政策研究センター長は近著で、日本の「ネットワークパワー」に注目する
-同氏は、日本のレジリエンス(復元力)、社会の安定性、変化への対応力を評価し、国際関係でも柔軟に連携を構築する力があるとみる

②書店砂漠に対抗する動き

ECのレコメンドでは生み出せない価値がリアル書店にはあります。啓文堂書店狛江店のように、一度閉店しても住民の声で再開する例もある。

-再開業には、地元住民による草の根の働きかけがあった。地元住民などが選んだ本を展示するイベントに約7000人が来場するなど「地元の熱意に背中を押された」(運営会社の中田充昭取締役)
-近隣に書店がなく本と出合う機会を失う「読書難民」が増えれば、地域社会の文化的な豊かさは損なわれかねない。国も支援に乗り出すなか、書店自身の覚悟が問われている

③丁寧なロビイングが勝利を呼んだ

効果的なロビイングでAI規制の緩和を勝ち取ったギットハブ。何事も本質を丁寧に説明する対話が重要だと。

-EUのAI規制法は世界初の包括的なAI規制で、ギットハブもロビイングをした。当初の法案では(ソースコードは非公開な)クローズドなAIも、(コードを自由に共有して作る)オープンソースのAIも、同じ規制対象となっていた
-AIで何ができて何ができないのか、政治家や政策担当者に、オープンソースやAI技術の仕組みを説明するところから始めた
-結果的にオープンソースの大部分で規制の適用外となった

④私たちのアテンションは商品ではなく原料?

行動データは「商品」から「原料」へ。絶えず売り物の原料としてのデータを私たちはスマホに提供していると。

-ノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモン氏は「情報が余剰化すると関心が希少化する」と予見しました。それは現実となり、希少となった私たちの関心を奪い合うアテンションエコノミーが巨大市場となった
-私たちのデータが「商品」だと言われることもありますが、ショシャナ・ズボフ名誉教授は、「利用者は原料」だとします。事業者が自社サービスの質向上に活用していたデータを、私たちの行動を予測する製品として、販売するようになったから

⑤メディアを取り巻く環境は厳しさを増す

メディアの広告収入はずっとこんな感じでずっと厳しい。

-2021年以降、多くのメディアはPVの下降傾向に悩まされてきた。コロナ禍での巣ごもり需要により各メディアは最高PVの更新に沸いたが、オリンピックも終わり、人々が待ち望んだ「ニューノーマル」の時代が訪れると、かつての最高水準に達することができなくなってしまった
-巣ごもり需要の低迷に加え、動画サイトやSNSにユーザーを奪われ、ウェブメディアの数そのものが増えるなど、複合的な要因があった
-結局、これまでウェブメディアのネットワーク広告枠に使われていたお金が検索、動画、SNSに流れていると分析できる
-このまま広告単価が回復しないと、会社経営的にもまずいと明かす。コストばかりかけても売上があがらない、もしくは維持のような状況になってきている

⑥仕事優先のパートナーとは別れるべし?

競争力ランキング世界3位のデンマークに学ぶ、生産性を高めるためのマインドセット。

-仕事優先で家庭を顧みなければ離婚を迫られることも度々ある。効率化の原点は生活を重視する姿勢にある
-信頼ベースで若い人にも大きな仕事を任せ、日本のように細かく口出しするマイクロマネジメントは一切しない。そんな時間的余裕もない
-上司が業務の必要性を説明できなければ、部下から拒否されることもあるという。個人をプロとみなすフラットな組織運営が士気と挑戦心を高めるわけだ

⑦危険なアンケートに驚愕

5人に1人が「選挙結果を認めません」→これ。。

-共和支持の19%がトランプ氏敗北時に選挙結果を認めないと答えた。民主党支持者の12%もハリス副大統領が敗北すれば結果を拒否するという
-選挙結果を覆そうとする政治的暴力への懸念も強まっている。共和支持の29%は「真の愛国者は国家を救うため政治的暴力に訴えることもある」と答えた

⑧10年後のニュースに触れる時間はゼロ?

リアルな未来予測。このまま豊かな暮らしが続けられるのか、社会全体に問われています。

-これからの10年ほどで、動画視聴がさらに進むのはほぼ確実です。非常に細分化された内容の自分好みの動画を、小グループで共有することになるでしょう
-社会的に重要なニュースに多数が触れる時間は減少し、理性的な選挙での争点の形成や、政治執行の監視などは機能しにくくなる可能性があります

⑨知ってる?ローンオフェンダー

日本ならではの過激な「ローンオフェンダー」の問題は根深い。

-日本では近年、組織に属さずに過激化した単独犯「ローンオフェンダー」による犯罪が相次いで起きている
-社会から孤立し、他者との接触をほとんど持たない人々が、犯罪に走っている
-日本のローンオフェンダーは、社会から拒絶されて追い詰められた怒りを、他者にぶつけようとすることが多い
-他の国・地域では政治や宗教、哲学的な信条を持っている場合が多い。彼らは、政府や社会に自分の主張を伝える手段として、テロを実行します。しかし日本のローンオフェンダーの多くは、犯罪によって自分を拒絶した社会に復讐できると考え、テロこそが唯一、自分の存在を証明できる方法だと信じている

⑩正しい情報の力とは?

「ディスインフォメーション(偽情報)」ではなく「フェアインフォメーション(正しい情報)」で心に訴える。そんな日本ならではのアプローチで分断は乗り越えられると。

-6月に江蘇省蘇州市で起きた襲撃事件では、胡友平さんという中国人女性が日本人児童をかばって亡くなった。在中国日本大使館は半旗を掲げ、在中邦人らは様々な場で哀悼と感謝の意を示した。その姿勢は中国のSNSで賛同を集めた
-世論への働きかけで必要なのは相手の立場に寄り添い、共感を呼ぶ「ナラティブ(物語)」だ

⑪アメリカ人の平均転職回数は11回

一方、日本で重視される能力は…「社内事情に精通」笑

-なぜ米国人は何度も転職を繰り返すのでしょうか。それは、日本の就職が「就社」に近いのに対し、米国での就職は文字通り「職」に就くことだから

⑫外圧で変わらぬものも変わる

Netflixが日本の古き現場体質を打ち滅ぼす。外圧の力で変えるべきものを変えられるという良い事例です。

-米ネットフリックスが日本の映像制作の現場を変えつつある。国内でつくる実写映画・ドラマの本数が増えるなか、持続可能な撮影スケジュールや仕事仲間に敬意を払うトレーニングなどを取り入れてきた。長時間拘束やハラスメントを許さない環境で働きたいというスタッフや俳優も増え、日本企業も意識の変化を迫られつつある

⑬日本の慣習とは異なるアメリカメディア

アメリカのメディアは政治色を隠さない。これは日本のメディア慣習と異なる部分があります。

-ワシントン・ポストが大統領選で支持表明を見送るのは36年ぶり
-一般に米国の主要メディアは支持候補を鮮明にし、関連報道もそれぞれの党派色を反映するケースが多い

⑭批判を恐れない哲学者

どんな批判も「かかってこい」のスタンスな独哲学者マルクス・ガブリエルさんがかっこいい。

-個々の文脈に応じた様々な見え方があるだけで、全ての見え方を包括するような統一的な文脈(=世界)は存在しない」と主張。ネット社会を中心に台頭したポピュリズムやフェイクニュースなどに警鐘を鳴らした
-現代の資本主義には『倫理』が欠けている。必要なのは利潤を求めながらも人々の欲望を排除し、相互扶助を徹底する考え方だ。そうでなければ自由や民主主義が衰退しかねない」。そんな思いから6月、日本で「倫理資本主義の時代」(ハヤカワ新書)を刊行

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