大量の情報を、ひたすら浴び続ける生活習慣リスク?の話
私はこれまでのnoteで、「選挙とアテンションエコノミー」の分析や、「ネット三大悪」の考察などを経て、ネット空間ならではの課題の整理と、向かうべき方向性を検討してきました。
ただ多くの人にとって、「そもそも現状のままで何がダメなのか」というのが、いまいちピンとこないのではないでしょうか。そこで、こうした問題を私たち自身が少しでも「自分ごと化」できそうなデータを集めてみました。
2000年以降、人の集中力の平均持続時間は12秒から8秒に低下した
マイクロソフトが行った調査によると、2000年以降、人の集中力の平均持続時間は12秒から8秒に低下したとのこと。ちなみにその報告書によると、金魚の集中力の持続時間は9秒だそうです。
サイト表示に3秒以上かかると人はイライラしてページを離脱する
ウェブサイトのアクセス解析の専門家によると、インターネットユーザーのほとんどは、オンライン記事を読み続けるか離れるかを15秒で決めるそうです。さらに、ウェブサイトの表示に3秒以上かかるとかなりいらだち、ページを離れてしまうとのことです。
コントは15分も見ていられない?→5分に短縮
シカゴのセカンドシティは、舞台で行うコントを15分から5分に短縮しました。大爆笑のオチに向かってゆっくりと伏線を積み上げていくなどという考えはまったくありません。そんなことをしたら、観客はオチにたどり着く前にスマートフォンをいじり始めてしまう、と演出家や演者は語ります。
1日に150回スマホをチェック。オンオフだけで1日2.5時間を消費
ほとんどの人は、スマホを1日に150回チェックすると言います。さらに、デバイスを立ち上げ、閉じるだけのことに1日2.5時間費やしているとのこと。そしてもっとよくないことに、労働者が元の業務の流れに戻るのには平均で11分かかるそうです。我々にとってスマホは、もはや効率性を高めるツールというよりも、その逆の効果をもたらすものと言えそうです。
SNSを一日3時間以上利用する人はうつ発症リスクが2倍に
米国の10代の1日あたりのSNSの利用時間が2023年夏時点で平均4.8時間にのぼり、1日3時間以上利用する若者はうつなどを発症するリスクが2倍になるそうです。こうした研究結果を受けて、若者のメンタルヘルスの危機は緊急事態であり、SNSはその重要な一因として、SNSにはたばこと同じような「警告ラベル」をつけるべきだと主張する専門家もいます。
スマホ登場以来、10代の自殺・自傷行為・孤独が急増
2009年から2019年の間に、10代のうつ病発症率は倍増。1年間で10代の少女の3人に1人が真剣に自殺を考え、10代のLGBTQの5人に1人が自殺を図ると言います。下のグラフを見れば、まさにスマホ登場以降、急激に増加している状況が一目瞭然です。
【考察】アテンションエコノミーをいかに乗り越えるか
私たちは大量の情報にさらされ、疲れ切っています。そしてリフレッシュしたいとき、無意識にYouTubeや TikTok、Instagramを開き、「レコメンド」されたコンテンツを見て、リフレッシュした「つもり」になります(YouTube で人々が見るものの 70% は、アルゴリズムによって推奨されている)。
しかしこうした習慣には、上記のような様々なリスクが潜んでいるわけです。集中力が持続する時間の減少。注意力が散漫になって、うっかりミスが発生するなど生産性の低下。うつや自殺の増加。さらには陰謀論や社会の分断、排他的な思想を助長する、などなど。こうしたリスクは、「フィルターバブル」や「エコーチェンバー」と呼ばれるネット空間ならではの問題とされています。
これにより、例えば民主主義の根幹でもある「選挙結果」に影響を与え始めている可能性があることは、過去のnoteでも書きました。個々の不満がインターネット・SNSによってさらに増幅され、投票行動にまで影響を与えていくトレンドが、今まさに世界中で見られています。
「アテンションエコノミー」の拡大により、今後ますます個人レベルでのマイナス面が顕著に現れ、さらには社会の「分断」や「対立」に、より一層拍車が掛かる可能性があります。
「自分が見たいものを見られればそれでいい」と考え、ソーシャルメディア漬けな日々を送ることを是とするか、それとも・・・。目の前のスマホとの向き合い方は、私たち一人ひとりに委ねられています。
(*下記の記事や書籍を参考にさせていただきました)
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