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【雑記】算数の実践・実務
はじめに
事業・不動産投資や事業改善の実務において、定量的な分析・議論はセットです。大掴みの議論をする際に、度々議論を止めて、エクセルで計算したりAIに聞くわけにもいかないので(精緻な計算や議論であればそもそもモデルを見ながら議論します)、ざっくりこうなるよねというのを積み重ねます。
また、自身が作成した資料や受領した資料をレビューする際に、大枠外していないかという検証は常に行います。
私自身は「私大/文系」出身という、PEファンドや外資系業界においては算数が最も苦手なバックグラウンドです。なので、難題な唸らせるものというよりは、若手がサバイブする上で必要なエッセンスを五月雨に抽出したという趣旨で作成しております。
もう少しタイトルを煽るとしたら、「おバカに思われないための算数」とか
だと思いますが、簡素な表現をすると算数の実践・実務です。
*勉強してもお金にならないじゃんという不良の方がいらっしゃったと思いますが、少なくとも算数と国語は割と商売に直結すると思います。
その①スピード初級
とりあえず「1万(円)×1万(ケ)=1億(円)」です。
上記から1桁増えたり減ったりしたら、10億(円)なのか、1,000万(円)になります。自分の脳みそを無駄な計算に割く必要がないので、9×9の大人編として覚えておいた方が良いと思います。以上です。
*飲み会で商売の話をしている中で、上記の類を間違えて、穴に入りたくなったことが去年ありました。
その②スピード中級
専有面積200坪、平均賃料 20,000円、表面利回り4.0%の際の専有単価
「専有面積200坪に賃料20,000円をかけて、12をかけて、4%で割って、200坪で割って」は正しいのですが、正しくないです。
「20,000円/坪×12÷4%=6.0M円/坪」と暗算していただきたいです。
全体の計算と、単位あたりの計算を区別して、効率性を重視した方がより早く正確になります。
その③スピード中級+
例えば、居酒屋100店舗のオーナーと言われた際に、その会社のEBITDAをイメージできるか。各業態のKPIを聞いて、どういう収益構造かを想像するかというトレーニングはオススメです。特に事業投資や関連する仕事に従事している場合、営業実務として断片的なヒントから会話をしなくてはいけない場合があるので、その際にアンテナや感度をもっておくことは重要です。
その④複利の計算
金融・投資業務において、複利/CAGRの概念はよく出てきます。
「100円を20%で3年運用した場合、幾らになるか」と聞かれた場合。
少なくとも、幾らにはなりそうか。幾らは下回らないかという感覚は重要です。単利で運用した場合、160円(=100+20×3)になるので、複利で計算する場合それよりも大きくなります。
「当たり前じゃん」という感じですが、複雑な財務モデルを作っている時ほど、上記の類で見下ろしや人為的なミス等に気づいたりします。
余談ですが、私は「ゆとり世代」です(もっとかっこいい世代名称を考えて頂きたいです)。円周率が3になるやもという世代でした。
1辺が1cmの正三角形と半径1cmの円弧が長さが一緒になってしまうので、おかしくない?と当時思っていたのですが(厳密に計算していればいつかは問題は起こるというつっこみはおいておいて)、同じ類に感じます。
その⑤つるかめ算と加重平均
「売上高4億円、粗利率10%の製品に、売上高1億円、粗利率20%の製品を足した場合の粗利率は?」
これを見た瞬間に、「10%の粗利率の商品の割合が80%を占めるから、全体として10%にめっちゃ近くなるよね、11-3%くらいかな」程度には感じることが重要です。この際に、(半分ずつではないから15%より小さいはずなのに)「15%」と言ったり、そういった誤った数値を見逃してしまうと、嫌な烙印を押されやすくなります。
その⑥十分性と必要性
「十分条件と必要条件を踏まえた議論」
議論している中で、十分性と必要性を混同してしまう事案を散見します。
もっと宜しくない場合は、どちらでもなく一定の相関性があるかなというレベルのものを十分/必要条件のように語ってしまうこと。感情的になればなるほどそういう認知になるのも分かりますが、混同して表現すればするほど、「偏った人、思い込みの激しい人」のレッテルを張られやすくなります。
「平均毎日3時間練習すること」は、「プロスポーツ選手になること」の必要条件であるという仮説を持っていたとします。議論している内に、途中からこれを十分条件であるように思ってしまったり表現してしまったりしがちです。この仮説の必要性が正しいかは分かりませんが、少なくとも十分条件ではないと思います(私的には)。
これを間違える方は、集合関係と論理性が結びついてないのかなと思いますので、余計なプライドを捨てて、勉強しなおすことを推奨します。
最後に
部分部分ではそんなことわかっているよと思う方が多いと思いますが、複雑なロジックやモデル作成になればなるほど、基本的な誤りをしやすくなります(してきました)。
お伝えしたかったことは、一つ一つの数値や算式を体感し、できれば心を動かしながら仕事をすること。そうすれば、精度も上がるはずです。