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艶笑、ムフフ…の巻〜*落書きnote

 こんにちは。お立ち寄りいただきありがとうございます。
 シモネタが大きらいという不真面目なヒトに、きょうの高度で哲学的な民話「貴人」というハナシはなじまないかもしれない。
 だから再度、念には念を入れ、念のために謹んで申し上げるが、シモネタが大きらいというヒトはスルーして下さい、絶対読まないでいただきたい。
 万一、何かの拍子とかひょんな誤りで読んでしまい、それがやみつきになりヒトが変わったようにシモネタ・ファンになっても、おいらは損害賠償、慰謝料、その他一切の補償には応じないのでアシカラズ。

 秋田県能代市の老舗が昨年、ユニークな日本酒セットを発売、大きな話題になったことがある。
 三本セットで、その名も「金玉=きんぎょく」「万古=ばんこ」「珍宝=ちんぽう」という。手慣れた読み方をしないでいただきたい、絶対に。
 日本各地に残る昔話と艶笑譚。地理的には東北地方に「優れた作品」が多い。
 以下は多少、秋田弁の素養がいるけんども、おめえなら大丈夫だ、でば―。

 昔々、山深い土地に、猟師の徳三が、まだうら若げえカミさんと自給自足の生活をしていたんし。
 質素ではあっだども、徳三にとっては満ち足りた暮らしだったんし。
 獲物が手にへえっても、西の山に沈む夕日を見ても、カミさんを抱くときも、まだちっちゃい子をあやすときも、ことごとく「ああ、オラ、満足だぁ」と感謝の日々だったんし。

 一方のカミさんはと言えば、穏やかな暮らしと、働き者の亭主に不満はねがったども、なんが物足りねものを感じずにはいられねぇみでだった。
 したなある日の昼過ぎ、徳三の家さに、きゃしゃな若げえオドゴが運びごまれたんし。
 聞ぐど東京がら来た偉い役人だどいう。
 ダム建設の視察に来たのだども、途中で足をくじいで動げねぐなったどしゃ。おつきの地元の役人が言うには、町がら迎えのものを連れで来るがら、明日まで預がってほしいどいう。

 こたなどごさダム造ろうなんて野郎だ、ざまみろどいう気持ちで徳三はいたなだども、カミさんのほうは「窮鳥懐に入れば猟師も殺さずというでねえか」と亭主をいさめ、男を家さ上げ奥の間に休ませだんし。
 地元の木っ端役人は「みやこの貴人だがら決しで粗相のねえように」などと勝手なごどぬがしで山を下りでいった。

 夕めしも終わり、若げえオドゴはするごどもねぐ床についでだごろ、風呂がらあがったカミさんが亭主に言ったんし。
 「貴人をもでなすに、娘をもっでするのがいにしえよりのならわし、だどもうぢはせがれだけ、この際しょうがねがらオラが相手してくるべ」
 亭主は驚いた。
 「なにもそんたなごどまでするごどねえべ」
 必死になって止めただども、カミさんは「やっぱし、いにしえからのならわしは守らねば」と、そそくさ枕さ抱えで奥の部屋さ行ってしまったんし。

 釈然としねえ徳三は、一升酒あおって不貞寝だんし。
 不意に入ってきたカミさんを、若げえオドゴがいぶかしげに見でるど、カミさんは枕を横に並べて「退屈でねえがとなぐさめにきたんし」と、湯上りにほてった体をすべりこませてできたんし。
 オドゴは意外なことの成りゆきに、全身がかたまって、部分品もかたくなって動げねぐなってしまったんし。

 オドゴの緊張を感じ取ったカミさんは「オメさんは動がねたってええ、じっとしてればええ、オラさに任がせでおげ」と浴衣を慣れだ手つきで脱がせ、自分の浴衣の帯をほどき前をはだけて、オドゴにおおいかぶさったんし。
 オドゴに馬乗りになったカミさんは、緊張したオドゴのなかでも最も緊張した部分を中にすっぽりおさめ、大ぎぐ腰を動がしながら「どうだんし、あんべぇ、ええんしが」どいう。

 オドゴは満面に喜悦の表情を浮かべながらも「いいです。とってもいいです。ベリーグッド」と几帳面な返事をするんし。
 まもねぐ「あ、そろそろです」と、これまだ几帳面に予告してがら発車、いや発射したんし。
 見かけは華奢なオドゴのくせして、その夜は同じごどが三度、四度と繰り返されだんし。
 明けて昼前には迎えの一行がやってきて、貴人さんは帰っていったんし。その顔はとでも名残惜しそうにしてたど。

 数日後、ふもとの町でこのことを聞いた権三どいう男が、いづもの質屋にかけ込み一張羅の背広を引き上げるど一目散に山にへえったんし。
 たそがれ時に徳三の家さたどり着いた権三は、「わだすは東京がら来た偉い役人ですが、そごで足さくじいたので一晩やっかいになりたい」といっだ。
 徳三はそのうさん臭さを見抜いたども、カミさんは「そんだば大変だんしな。どんぞどんぞ」と、またもやさっさと家さ上げでしまったんし。
 んで風呂がらあがったら「やっぱしオラが相手しねどいげねえべ」と、枕片手に奥の間さ行ってしまったんしべ。

 どうにもこうにも納得いがねかったのは徳三だんしべ。
 あのオドゴが東京もんだとはとでも思えね、あの貧相な面で自分のごどを偉い役人とは、片腹痛いんしべと思いながら、この間みでえに酒飲みながら不貞寝しでるど、オドゴのフィーフィーいう奇声が聞ごえでくる。
 あんましやかましいもんで、いやみのひとつもいってやろうがど奥のほうさ近寄るど、カミさんが「どうだんし、あんべええが」どいい、オドゴが「ああ、ええ、最高だぁ」と息を合わせるだんし。

 それを聞いて頭に血がのぼった徳三は、棚の鉄砲さづかんでふすまを開け放ち「テメエはどごのもんだ」と怒鳴りあげだ。
 びっぐりした権三は、腹上のカミさんを突き飛ばし、裏庭へ素っ裸で転げ落ちていったんし。逃げ込む権三の背中めがけて、徳三の鉄砲が火を吹いたんし。
 イトナミが途中で終わって「あんべええ」とはいかず取り残されたカミさんは、その光景を見やりながらいっだ。
 「ああ、貴人(キジ)も鳴かずば撃たれまいに」
 うんだうんだ。
 これは「東北地方の昔話と艶笑譚」からリライトしました。
 さて、あすは晴れるのか?曇るのか?

   *フォト ▽田舎の防災ヘリポート

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*俳句巡礼 暦売る家あり奈良の町はづれ(五十嵐 播水)

 季語は「暦売=こよみうり」で歳末。昭和五十年代初めぐらいまで、書店はもちろん街頭でも暦を立ち売りし歳末らしい風景だった。
 「こよみ」といってもカレンダーではない。干支や大安、友引など六曜などが書いてある。
 今では「暦売」も死語になり、新聞の集金人がサービスにもって来るようになった。高島易断などが発行する暦をみて、なんとなくあわただしい気分になるのだ。
 【五十嵐播水=いがらし・ばんすい】姫路市生まれ、三高、京大、神戸市立中央病院長、「ホトトギス」同人、「九年母=くねんぼ」を山本梅史より継承主宰、1899年(明治32年)~2000年(平成12年)
 【俳句手控え】早いもので、もう歳末だ。コロナはどうなる。暮らしは。景気はどうなる。
 俳句の季語は師走、極月、歳末、年末、年の瀬、年の終り、年つまる、年果つる、行く年、年の内、年惜しむな、数え日などがある。
 上記の句の「暦売」は今では死語だ。新聞の集金人がサービスで持って来るようになった。
 高島易断などが発行するサービスの暦をみて、何となくあわただしい気分になるのだ。

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