「物忘れが豊かになる」という発想の転換〜*落書きnote
こんにちは。お立ち寄りいただきありがとうございます。
歳を取ると、世間様は年寄りを産業廃棄物か何かのように扱いやがる、というのはおいらのひがみかも知れないな。
こういうひがみが「近ごろの若いもんなんてさ」という言葉になって出てくるのだろう。ああ不健康だねえ。
目を向けるべきは「老人力」というキーワードだ。
老人力といえば作家赤瀬川原平氏、解剖学者養老孟司氏、分析心理学者河合隼雄氏を思い浮かべる。
文化庁長官もつとめた河合氏は「老人力とは物忘れが豊かになることである」という意味のことを言った。
常識的に、歳を取れば誰しも「物忘れがひどくなった」と言い、老いることをマイナスにとらえがちだが、河合氏は逆に「物忘れが豊かになった」と述べる。
これは、遠い昔、それまでの常識だった地球中心説に対し太陽中心説を唱えた天文学者コペルニクスのように、物事の見方を180度かえてしまうコペルニクス的発想の転換だ。
「物忘れが豊かになる」と、周囲の人が「それはこうだよ」という「思い出し」を促す。つまり物忘れは、老人の中に眠っているエネルギーを引き出すきっかけになるのだ。
なあに物忘れがひどくなっても心配することはない。物忘れが豊かになれば、あなたを取りまいている人々の指摘で、あなたの脳が活性化する。
人々はあなたを支え、あなたも誰かを支えている。
さて、あすは晴れるのか?曇るのか?
*フォト ▽むかし、むかし、遙かな昔(藤原京跡=奈良県)
*俳句巡礼 大阪に曵き来し影も秋めきぬ(加藤 楸邨)
残暑の候というが、日中はまだまだ暑い。しかし朝晩、秋らしくなるのが「秋めきぬ」だ。
「大阪に曳き来し影」は作者の疲れた心だろうか。だが大阪は秋めいていたのである。
【加藤楸邨=かとう・しゅうそん】山梨県生まれ、東京文理科大(現筑波大)卒、大学教授、村上鬼城、水原秋桜子門、「寒雷」主宰、金子兜太、森澄雄らを育てた、1905年(明治38年)~1993年(平成5年)
【俳句手控え】「心眼」という。俳句の基本は写生だが、何となく眺めているだけでは良い句はできない。目で見、匂いを探り、心で五七五をひねり出す。俳句は物事を注意深く見る目を養う。