20220607_夢の話


遠い昔のどこかの村に、決して暮らしが豊かではないけれども仲の良い兄弟がいました。


ある日、新たな統治者を名乗る人物がやってきました。
その統治者はまるで仏のような、男女わからぬ穏やかな見目に、全身がきらきらと光り輝いておりました。

兄に願いごとを優しく尋ね、
兄は「弟を幸せにしてやりたい」と答えます。

統治者は頷き別れ、やがて村に差し掛かり、弟に出会います。
統治者は弟にも同じように尋ねました。

その村は鯉が特産品で、そこかしこで鯉がよく採れましたが、その頃鯉の価値は低く、鯉以外の魚の価値は高かったので、
弟は「村の鯉が違う魚になりますように」と答えると、
手に持っていた鯉が見たこともない大きな魚へと変わりました。


弟は喜び、早速調理して兄に食べさせたところ、一口目を食べた兄が死んでしまいました。

その村で採れる鯉は、すべて毒魚へと化していたのです。

そのことを知った弟は悲しみからか怒りからかその旨を触れ周り、それからその村ではその魚を食べることはなくなったということです。


その統治者が仏だったのか知るものは誰もおらず、そしてそれきりその統治者は姿を消してしまいました。
20220607_見た夢



という夢を見た。

夢の中で最初、兄の視点だったけれど、
兄が死んだ後の視点は誰だったのかわからないながら俯瞰の視点。


この兄弟は貧しいため2人を賄うだけの稼ぎはなく、
それ故に仏のような統治者は、兄の願いを聞いて弟1人を残したのかもしれない。

目が覚めて最初に感じたのは虚無感というか脱力感というか…物悲しさだった。


神や仏がいるとしたら、
当人の願いを叶えるために当人が思いもよらぬ結果になってしまうこともあるのか?

人ではないために人情はないわけで…。


どこかほんのり「カルマの坂」を思い出す夢だった。

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