拝啓、高校2年生の田口雄也君へ。
こんにちは。
僕は高校2年の君から17年後、33歳の田口雄也です。
今日は、君にどうしても伝えたいことがあって、筆を執りました。
君は今、オタク生活を謳歌しているね。
思えば、中学時代にたまたま「でじこの部屋」というアニラジを聴いてしまったばっかりにアニメと声優にハマり、高校に入ってからもアニメ部に入り、毎日Messengerでオタ友とチャットをし、夜な夜なアニメを見て、土日は声優のイベントを見に行って。書いてて思ったけど少々謳歌しすぎじゃないか。
そういえば、声優のラジオにメールを送りまくって採用されては小躍りしているけど、数年後にそれらはニコニコ動画という動画配信サービスにアップされて一生消えないタトゥーとなるので、あまりアレなエピソードは控えたほうがいい。特に「軽くウンコ漏らしたパンツをそのまま洗濯機に入れた」というエピソードは。さすがの岩田光央もドン引いてたから。
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伝えたいことはそんなことではなくて。
最近君がハマってずっとCDを聴いてる桃井はるこさんっているじゃない。そう、君がライブを見るために18歳未満入場禁止のアダルトゲームイベントに潜り込んだり、買いたてホヤホヤの携帯電話の待ち受け画面に設定したりした、桃井はるこ。
君は17年後、その桃井はること共演する。
意味が分からない、って顔をしているね。大丈夫、僕も意味が分かってない。
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流れとしてはこうだ。
君は大学に入学したのち、大学デビューに失敗する。そして軽音楽部に入ってドラムを始める。入って1年くらいで、先輩に告白して振られてちょっと泣く。あとプロレス研究部にも兼部で入って、試合で首を痛めてCTスキャンを受けたりする。あんまりいいことがない。でもここで重要なことは一つ、ドラムを始めるんだ。
そして、学外のオリジナルバンドに加入して、ちょっとだけ売れる。
大阪はもちろん東京や名古屋、福岡、熊本などでライブをする。社会人になってもなおだ。むしろ社会人になってからの方が活動的になる。3日間の連休で新潟⇒福井⇒新潟という、ちょっと頭の悪いスケジュールでライブをしたりする。
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バンドはほどなくして解散するけれど、以降もドラムは続けるし、アニメもずっと好きだ。
もちろん君はこの17年間もずっと桃井はるこが好きだし、ライブを観に東京や名古屋も行くし、自叙伝は何回も読み返して泣くし、サイン会では「応援してますｗｗｗﾃﾞｭﾌｗｗｗ」しか言えないし、自身のバンドの解散ツアーだというのに帰阪日に機材車から一人離脱して桃井はるこのライブを観に行くんだ。どうかしてる。
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そして2017年12月、君は桃井はるこのコピーバンドを組む。
WONDER ASA-Mi＆THE★UP DATESというバンドを。メンバーは、君がうっかり桃井はるこを聴かせたばっかりにハマってしまったボーカルのあさみちゃんと、僕たち2人に巻き込まれたギターのちゃんくくん、ベーシスト今井くん、そしてキーボードのどんさん。そう、全員君の被害者だ。
そして、彼ら彼女らと一緒に、イベントを主催する。『もえぽっぷ！』という、アニソンのコピーをしているバンドやシンガーが出演するイベントだ。数年後に出会う素敵な仲間たちがたくさん出演してくれる。
そこに、君たちは桃井はるこをゲストとして呼ぶ。
どうかしてるほど、君が好きな桃井はるこをゲストに呼んで、イベントをするんだ。
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今回は、2009年ごろにアニソンコピーイベントで対バンすることになる湯毛さん（その時は「マイヤー」という名前だから気を付けて）という人も、今やメジャー歌手としての活動が忙しい中、10年間のよしみということで特別に出演してくれる。有難い限りじゃないか。
何より、手伝ってくれたり助言をしてくれたり、「観に行くよ」「応援してるよ」と言ってくれている友人や仲間がたくさん居る。
ちょっとの勇気と、できる限りの根回し、そして周囲の支えによって、このイベントは実現するんだ。
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そのイベントまであと12日。
準備の毎日は、そわそわして本当に落ち着かない。
ファンとしての気持ちだけじゃない。
出演者の仲間や桃井はるこさんにも楽しんでもらいたいし、
手伝ってくれる仲間にも素敵な景色を見てもらいたいし、
何より観に来てくれる方々の思い出に残るイベントにしたい。
ちょっぴりの不安と、溢れんばかりのワクワクとドキドキ。
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そういえばこの手紙は、一応ネットに公開されてるんだけど、長文すぎるのでたぶん誰も読んでない。読まれてないのはわかっているけど、この気持ちを抑えきれず空中に投げている。もし読んでる人が居たら、好きなおにぎりの具を教えてほしいくらいだ。
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本番までの12日間、最高のイベントにするため、最後まで頑張るよ。
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