初めて1つのチームを追った4年間
先週FC東京U23のJ3辞退が発表されました。私はJ3に参入した初年度2016年から取材を続け、2018年・2019年はインタビュアーとして関わらせて頂きました。Jリーグ再開も発表され、ラストイヤーがどんなシーズンになるのか期待が膨らむ中での発表、、仕方ないと理解はしてもやっぱり寂しい気持ちは隠せません。このnoteを書きながらもまだ気持ちが整理できていないので何も考えずバーっと思い出などを書きたいと思います。
そもそも私がなぜ取材するようになったのか。最初の理由は毎週Jリーグの取材へ行き、サッカーの番組していましたがJ3の情報がなかなか入ってこないと思ったことがスタートでした。番組やSNS、普段からサッカーの情報で囲まれている環境にいてもJ3の情報が少ない…「それならしっかり自分の目でみて情報を得たい!」そう思った時に1番近く行きやすいのがFC東京U23のホームゲームが行われる西が丘でした。FC東京U23のホームゲーム全て取材行けばJ3の全チームを自分の目で見れる。キッカケはそんな理由からでした。
年間約50試合の取材を続けていますが、私は子供の頃からどこかのサポーターになったことがなかったので一つのチームを1年通して続けて追うということも初めてです。取材を続ける中でJ3の魅力・楽しみ方を見つけながらU23という制度の難しさと面白さを近くで見て行くと今までの取材とは違う不思議な感覚がありました。「育成」と言葉にすれば一言ですがもっと繊細でそれぞれの想いがそれぞれの形になってギュッと詰まっているチーム。個々のレベルが高いからといっても結果に直結せず苦しい時期もある分、何かを掴んだ瞬間の伸び率の凄まじさは毎回驚かされますし、U23で頑張っている選手がトップチームのメンバー入りをした時のなんとも言えない嬉しさ、、ちょっとした親心のような喜びを感じることもありました。(これは年齢が離れてるからかもしれませんが笑)
2016年の1番印象的だったのは、当時まだ高校生だった岡崎慎選手(現在は清水エスパルス期限付移籍中)の発見です。私自身がDFだったこともあり自然と守備の選手を追う傾向があるのですが岡崎選手のプレーを見た時に「めっちゃ良い選手見つけた!!」という嬉しさ。派手な選手ではないのですが見れば見るほどグッと掴まれる、完全に私の好きなプレースタイルです。そこから「岡崎選手推し」を公言してきましたが今は清水でも「マコ 沼」なんて言葉が生まれるほど愛される選手になってますね。私はこの2016年に既に沼に足を踏み入れていたのかもしれません(笑)トップチームでのベンチ入りを重ね2019年久しぶりにJ3のピッチに立った時に「ユースの選手はしっかり頑張っている。トップチームの自分たちがもっと自覚を持ってやらないといけない。」と話す岡崎選手の大人びた表情、そして東京五輪代表候補として日の丸を背負う姿が見れたのも嬉しい出来事でした。
印象深いといえば平岡翼選手(現・栃木SC)ですね。最初から圧倒的なスピードを武器に会場を沸かせる選手でしたが、スペースがあり、さらにパサーがいて"活かされる選手"というイメージでした。しかし2018年の時は"周りを活かし、自分で勝負できる選手"に進化。プレーではボールを持ったら何かしてくれるとワクワクさせてくれ、アップ時でもピッチに入る時出る時必ず一礼する真面目なところも応援したくなる選手でした。初めてヒーローインタビューした夢の島では「今日少し長かったね」と言われる程テンションが上がってしまいました。栃木に移籍してからも取材に行った時に出場できなかった時は「せっかく来て頂いたのに出れなくてすみません」と挨拶してくれる本当に真面目で誠実な選手です。これからの活躍を期待しています。
そして2019年を象徴するのは得点王にもなった原大智選手。シーズン序盤はゴールを決めるとインタビューでも笑顔を見せていましたが、シーズン後半ではゴールを決めても自分のプレーに納得できないと悔しさで顔を歪めていました。それは目の前の結果ではなく「トップチームでの活躍」をしっかり見据えているからこそ。ゴールという結果と共にプレー、顔つきはどんどん力強くなっていきました。個人的には2019年5月5日の原選手のハタチのバースデーゴールとそのヒーローインタビューは忘れられません。サポーターの皆さんに向かって「FC東京のエースになる」と宣言したと時の表情、会場からの拍手、、あの瞬間はきっとこの先も忘れることはないと思います。そしてエースとしてトップチームで活躍する原選手にいつかあの頃を振り返って話を聞いてみたいですね。
トップチームの選手の中で奮闘するユースの選手達も見所でした。初めてのプロの舞台、中には一瞬動き出しが遅れボールをとりに行くとファールになってしまうこともありましたが、それでも次の試合では全く遅れることなく対応し、堂々としたプレーに何度も驚かされました。午前中にユースの試合へ行き、午後はそのままU23のピッチに立つこともありスケジュールとしてはとても過酷だったと思います。チームの半分以上がユースの選手という日もありました。昨年でいうとバングーナガンデ佳史扶選手と木村誠二選手の成長はもちろん印象的でしたが、ボランチで存在感を見せた常盤亨太選手の急成長は今シーズンの楽しみでもありました。ピッチに立った選手全員がトップ昇格出来るわけではないので寂しさを感じることもありますが大学サッカーを見に行った時に活躍する姿がみれるのも嬉しかったりします。
そしてU23を語る中で欠かせないのがOAの選手の存在です。このピッチに立つことは正直しんどかったと思います。それでもいつでもチームを前へ引っ張っていく姿はとても惹きつけられました。中でも覚えているのは高橋秀人選手(現・サガン鳥栖)に取材した時の冷静な分析且つ愛のある若い選手への期待や想い。ピッチの上で誰よりも走り誰よりも声を出してチームを鼓舞していた水沼宏太選手(現・横浜Fマリノス)の姿。U23のピッチに戻ってくることは本意ではないし、悔しいはずなのに絶対に下を向くことなく貪欲にゴールを狙い続ける矢島輝一選手。プレーでいつもチームに勢いをつけてくれたユインス選手はヒーローインタビューも日本語で一生懸命答えてくれたりもしました。
高校生だった平川怜選手を初めて見たときの衝撃の上手さ、波多野豪選手の円陣後に全方向のサポーターに一礼してからバーに捕まり集中する姿、ナッタウット選手がJ初ゴール決めた時は周りの選手が自分のこと以上に喜んでいたり、、記憶に残るシーンを書き出すと終わりがないくらい出てきてしまいますね。この位で止めておきます。
世界で注目される久保建英選手のデビュー、石川直宏選手の引退ラストマッチ、2018年まだ大学在学中だった渡辺剛選手は夢の島での初々しいインタビューの数ヶ月後にはトップチームで不動のCBとして活躍し日の丸を背負いプレー。数々のドラマを見させてくれた本当に夢のあるチームでした。
あくまでも「トップチーム」を意識したチームであること、、それを常に頭の中にいれ最大限のリスペクトをもちインタビューをしてきたつもりですが私の力不足もあり魅力、選手の想いを100%伝えきれなかったかもしれません。最初は自分の下手くそなインタビューに悔しくて泣きながら帰った日もあります。もっとこう聞けばよかった…と反省の連続でしたが、それでも沢山のサポーターの方に「長谷川がインタビュアーで良かった」と言ってもらえたこと、それが一番の心の支えでした。沢山の思い出と共にとにかく今伝えたいことは
素晴らしいチームが追えて幸せでした!
FC東京U23に関わる全ての方に感謝でいっぱいです。4年間ありがとうございました。
私は西が丘の景色が大好きです。
もちろん引き続きJリーグを追い続けます。これからもよろしくお願いします。
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