2021年 個人的振り返りと旧譜50選
※冒頭は完全に個人的な振り返りなので興味ない方は飛ばしてください!
まずは個人的な振り返り
2021年の新譜は本当に良盤が多くて年間ベスト(こちら)を選ぶのにも苦労したが、旧譜漁りは新譜以上に素晴らしい出会いや新たな気づきが多かった。
また、2020年のコロナ禍以降、自宅にいる時間が増えた分、SNS(というかTwitter)を見る時間が激増した。これによりSNSとサブスクリプションサービスをフル活用するようになったことで、自分の中に新たなチャネルがいくつも芽生えた年だった。
あとはnoteを始めて、聴いたアルバムの感想を残していったのは大きかった。なんらかのアウトプットをするために必然と一つ一つのアルバムに真剣に向き合うようになった。
あと、noteを書くのは、私的なディスクガイド本を作ってるような感覚で結構楽しい。誰にも迷惑はかからないしね。
さて、自分にとってこの2021年のブームをまとめるとこんな感じかなと。
①ヒップホップの名盤を聴く
今年の前半はヒップホップばかり聴いていた。改めてヒップホップの「名盤」を意識的に聴くようにしていたら、見えてくるものがあったというか。ヒップホップの「サウンド」それ自体には、かなり感度が高くなった1年だと思う。あとはリリックの中身まで追い求めればかなり理解が進むのだろうけど、時間的にも能力的にも流石にそこまではなかなかできなかったのは反省点・・。
②フィッシュマンズ再ブーム
映画フィッシュマンズはコロナやらなんやらで結局見れなかったけど、「フィッシュマンズ全書」を読んだことを契機にブーム勃発。勢いに任せて以下の記事を書いちゃうほどだった。フィッシュマンズは本当に偉大なバンド。
③オールタイムベスト企画
自分のTwitterのTLでは様々な人の企画で、各種オールタイムベストが昨年あたりから流行っている。そんな中でも個人的にとても勉強になったのは以下の3つだった。
非英語圏オールタイムベスト
これまで非英語圏の音楽をほとんど聴いていなかったので、これを機にいくつか聴くようになった。特にブラジル音楽との出会いは非常に大きく自分の幅が広がるのを感じた。いや、本当に勉強になった。世界は広い。
主催のPeterさんのブログ→こちら
自分の拙いベスト→note
80年代ベスト
昔から苦手意識の強い年代だったので、改めて勉強になったし、色々と聴きかえす良い機会になった。自分の耳も成長したのか、昨年あたりからかなり80年代の音楽に馴染めるようになり、「こんなに良かったけ?」という出会いも多かった。
主催のJMXさんのブログ→こちら
自分の80年代ベスト→ツイート
シューゲイザーベスト
今思うと「Loveless」で満足しそれだけで全てを完結させていたジャンルで、これまでRideやSlowdiveですらきちんと向き合ってこなかったんだが、改めて聴いてみると「結構イケるじゃん」と。これは来年も持ち越して色々と聴きたいと思う。
主催の方のまとめ→ツイート
自分のシューゲイザー(にわか)ベスト→ツイート
④アンビエントへの目覚め
これまでは自分にとって入眠音楽専用みたいなジャンルだったが、突然、耳が開花。時を問わず日中からでもアンビエントの素晴らしきサウンドスケープに身を浸す時間が増えた。一歩間違えれば全部同じように聴こえるこのジャンルも実際には相当に奥が深い・・・。
そして、今年のリスニング履歴・・・
は、こんな感じだったみたい(Apple Music調べ)。2021年12月2日時点。Fishmans>Nas>宇多田ヒカル・・・的な感じでした(Nasが地味に強い!)。こうやってnoteに残しておくと来年再来年に振り返るのに便利ね。
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旧譜50選
一応、ここからが本題で、この1年の自分の日常を彩ってくれた50枚の旧譜アルバムを選んでみた。
完全に今のフィーリングで選盤しているので、もちろんこれだけではないんだけど、それでもこの2021年を自分がどういうものを聴いて過ごしたのかという記録としては大きく外れていないと思う。
新規で出会ったアルバムだけでなく、昔ピンとこなかったけど良さが分かったものや、元々好きだったけどさらに好きになったやつも挙げている。総じて全部オススメできる好盤(有名なやつばかりだけど)。
それではドーン!
Japanese
HONZI / One (1996)
フィッシュマンズからのHONZI。透き通るような歌声と、ジプシーなバイオリンの組み合わせは完全に唯一無二。ZAKプロデュースも大きいんだと思う。
亜蘭知子 / 浮遊空間 (1983)
Midnight Pretenderよく聴いたな。初期ビーイングからのリリース。メロウポップの名盤!
Piper / Sunshine Kiz (1984)
Knakyo-Ongakuコンピで有名なLight In the Attic再発。80sメロウの隠れ名盤で、夏のサウンドトラックにぴったり。(感想記事)
Flipper's Guitar / Three Cheers for Our Side (1989)
今年色々とあった小山田圭吾。自分はやっぱり彼の作る音楽が好きだということは表明しておきたい。このデビュー作は聴いてなかったんだけど、最高にキュートでポップだった。(感想記事)
Fishmans / Orange (1994)
今年のフィッシュマンズ再評価の中で、元々好きだったけどさらにその魅力に気づいたアルバムの筆頭はこれ。フィッシュマンズの歴史の中で考えると少し異質なギターポップアルバム。
KIRINJI / Paper Driver's Music (1998)
昔聴いてピンとこなかったけど、今年聴いたらめっちゃ良かったアーティストの筆頭はキリンジ。晴れた日に車で買い物行く時とかによくかけた。
宇多田ヒカル / Heart Station (2008)
One Last KissからのHeart Station。ええ、エヴァの影響です。でもこのアルバムのミニマルでエレクトロニックな感覚は、2021年と相性良かったように思う。来年は宇多田の新譜が全てを持っていくのだろう・・・。
OMSB / Think Good (2015)
今年のEP2枚も素晴らしかったけど、最近このアルバムこんなに良かったっけ・・?とハマってます。こんなにカッコいいビートとラップは海外でもなかなかレア。
Rock
Margo Guryan / Take a Picture (1968)
アヴァンギャルドな要素とハスキーでポップな歌声が最高。ヴェルヴェッツ系列としても聴ける(1曲目がSunday Morningだし)。RIP。(感想記事)
Fairport Convention / Unhalfbricking (1969)
英国フォークの傑作だった。ディランの当時未発表曲3曲をカバー、そして11分以上にも及ぶトラディショナルソングであるA Sailor's Lifeは素晴らしい。
The Soft Boys / Underwater Moonlight (1980)
R.E.M.やThe Replacementにも影響を与えたジャングルポップの先駆け。なんなら後のパワーポップやポップパンクにも通じるような痛快さがある。
R.E.M. / Lifes Rich Pageant (1986)
初期のパンキッシュさから少しずつ角が取れて良い塩梅に仕上がった一枚だった。良きだった。(感想記事)
Dinosaur Jr. / You're Living All Over Me (1987)
ダイナソーは昔聴いたGreen Mindに乗れなかったんだけど、これはマジでかっこいい・・・!
World
Antônio Carlos Jobim / Wave (1967)
これは名盤と言われるのもわかる。音が良すぎる。陳腐な形容になるが質が高い。これ60年代はすごい・・・。(感想記事)
Marcos Valle / Vontade de Rever Você (1981)
ダンディーなジャケからは想像できないほどのAOR。今のところMarcos Valleは初期のMPBよりこっちの方が好きかも。
Novos Baianos / Acabou Chorare (1972)
これは良かった。当時流行だったサイケ・ロックとMPBの要素のハーモニー。(感想記事)
Juana Molina / Segundo (2000)
Segundo聴いてなかったんですよね。サイケフォークに、エレクトロニカをこの上なく上手に活用した、いわゆるアルゼンチン音響派の代表作。
Soul / R&B
Johnny Bristol / Bristol's Creme (1976)
メロウ・グルーヴが気持ちええです。腰砕けとはこのことよ。
Shuggie Otis / Inspiration Information (1974)
これは割と最近聴いて「やばっ・・!」と声が出ちゃったやつ。出自がブルースギタリストということで、ブルース色強めのソウル・ファンク。なんだけど、時にはエレクトロニカの香りのする曲も。この時代にリズムボックスを活用し、ほとんどの楽器の演奏を自分でやっちゃった早すぎた宅録オタク的傑作である。
Gloria Scott / What Am I Gonna Do (1974)
これもJohnny Bristolと同様にアーバン・メロウ・ソウルの佳作。Benny the Butcherサンプリング経由で出会ったんだっけかな・・?この時代のサンプリングソースとしての優秀さよ。
Diana Ross / Diana (1980)
The Supremesの歌姫がChicの二人をプロデューサーに迎え躍動したディスコ時代の必聴盤。この時代のディスコは定期的に摂取したくなるドラッグのようなもの。
George Benson / Give Me the Night (1980)
ジャズ・フュージョン界での大物と、80年代の最重要人物の一人であるQuincy Jonesがタッグを組んだら無敵になっちゃったやつ。
Reggae / Dub
Max Romeo & The Upsetters / War Ina Babylon (1976)
めちゃくちゃクセになるルーツレゲエの基本となる名盤のひとつ。プロデュースのリー・ペリー御大に注目が集まりがちだけど、Max Romeoの歌唱もなかなかどうして良いじゃないか。
Scientist / Scientific Dub (1981)
ダブに対するチャネルも開きつつあることを感じる今日この頃。ノイズも「浴びる」だが、ダブもブゥーンという低音を「浴びる」聴き方をしたら途端に気持ち良くなった。
Hip Hop
EPMD / Strictly Business (1988)
今年は80年代のヒップホップもいくつか聴いたけど、今のところEPMDかSlick Rickが一番好きですね。
2Pac / Me Against The World (1995)
2Pacって東西抗争の槍玉に挙げられる存在だから、勝手にもっと強面でゴツいラップをかますのかと思ったら、結構ナイーブな感じもあって驚いた。(感想記事)
Jeru the Damaja / The Sun Rises in the East (1994)
Gand Starr軍団の一員として、プリモプロデュースによる決定打。普通にGang Starrの諸作よりも好きだ。(感想記事)
King Geedorah / Take Me to Your Leader (2003)
今年はMF DOOMの訃報から始まったんですよね・・・。これは彼のプロデューサー、トラックメイカーとしての才能を堪能できる一枚。(感想記事)
Nas / Stillmatic (2001)
Nasはどこまでいってもカッコいい。もちろんIllmaticがやばいんだけど、これもいいし、今年のアルバムも良い。
CunninLynguists / A Piece Of Strange (2005)
RYMで高評価なのを機に聴いたら、トラックがカッコよすぎて悶絶したやつ。なんやこのビート!(感想記事)
MIKE / MAY GOD BLESS YOUR HUSTLE (2017)
アブストラクトヒップホップ界隈を意識して色々と聴いたらつながるものがあって面白かった。MIKEは中でもどのアルバムもクオリティ高い。Pitchfork8.0前後量産アーティスト。
Krautrock
CAN / Ege Bamyasi (1972)
CAN / Future Days (1973)
CANは1st以外童貞だったけどついに他も聴いたよ。Tago Magoも良かったけど、アルバムとしては40分くらいの長さが好きなので、この2作に軍配。
Moebius, Plank & Neumeier / Zero Set (1983)
強烈!!なジャーマンテクノ。キレキレすぎてチビりました。(感想記事)
Ambient / New Age
KMRU / Peel (2020)
ケニア出身アーティストによるどこか寂寥感の漂うアンビエント。これは本当に信頼できるでしょう。(感想記事)
INOYAMALAND / DANZINDAN-POJIDON (1983)
日本の80年代ニューエイジの質の高さを証明する一枚だ。ウォーターディレイシステム!(感想記事)
Gigi Masin / Wind (1986)
ベネチアの深淵を覗くようなアンビエント。どこかロマンチックな雰囲気も。(感想記事)
Jefre Cantu-Ledesma / Love Is A Stream (2010)
ぶっ飛びシューゲイザードローン。ラブレスに負けてないぞ。(感想記事)
Tim Hecker / Harmony in Ultraviolet (2006)
Tim Heckerはどのアルバムを聴いても外さないよね。細かいノイズの粒ひとつひとつが気持ちいい。(感想記事)
The Stars of the Lid / And Their Refinement of the Decline (2007)
その純粋無垢なサウンドスケープに涙。これは聴いた瞬間かなり衝撃を受けた。
Pendant / Make Me Know You Sweet (2018)
Huerco S. 変名プロジェクトPendantの傑作。これをダブアンビエントと呼ぶのだ。今年のリリース作は年間ベストの19位に選択させていただきました。
Electronic
Oval / 94diskont (1995)
グリッチの先駆け。これがなかったらFenneszもJan Jelinekの名盤もあっただろうか?と思う。
K-LONE / Cape Cira (2020)
Wisdom Teethリリースはこんな感じのバレアリックなダンスミュージックが多くて良かった。
Metro Area / Metro Area (2002)
LCDサウンドシステムにも絶対影響を与えたであろう、2000年代前半のニューディスコ傑作。(感想記事)
Moritz Von Oswald Trio / Sounding Lines (2015)
トニー・アレンの正確無比で禁欲的なドラムが良い。プロデュースはヴィラロボス。元々のメンツだけでもすごいのに、偉人が集結しすぎだ。
Loidis / A Parade, In the Place I Sit, The Floating World (& All Its Pleasures) (2018)
Huerco S.変名。最近、彼関連の作品にハマりまくってて、これはディープでダビーなハウストラックアルバム。
Shoegazer
Chapterhouse / Whirlpool (1991)
シューゲイザーなめてました。ラブレスだけじゃなかった。特にRIde、Slowdiveと比較してもChapterhouseのシューゲ感はすごく好みな感じ。
Blonde Redhead / 23 (2007)
日本人女性とイタリア人の双子からなるニューヨークのバンドの退廃的なシューゲイザー/ドリームポップ。なぜかアニコレとかディアフーフとかそっち系の音楽をやる集団だと思ってたら全然違った。
Ride / Going Blank Again (1992)
オアシスはやっぱりライドの影響が大きい。Nowhereよりこっちの方が好きだな。良曲揃い。
Jazz
福居良 / Scenery (1976)
スウィングするジャズは聴いていてワクワクすっぞ。
でもあまりジャズは聴けてないから、来年は何かしらジャズのきっかけを作る。(感想記事)
おまけ
BLACKPINK
TWICE
楽曲単位だとこの二組の曲は結構聴いたんじゃないだろうか。あとBTS「Butter」。K-POP悪くない。
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来年の重点領域は以下でいくつもり。ただし、計画とは破られるために存在するので全く当てにならない点はご理解ください。
アンビエント/ニューエイジ
ヒップホップ
シティポップ
ダブ
というわけで、来年もよろしくお願いします。
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