2020年の旧譜振り返り 後編
はい、前回に引き続き、2020年に聴いた旧譜事情を振り返ります。有名アルバムしか出てこないので、あしからず。
Jul〜Sep
引き続き、クラシックな名盤中心の3ヶ月。
まず、Prefab Sprout「Steve McQueen (1985)」からいっときますか。このアルバムを聴いてから、Prefab Sproutの名前をTwitterで良く見るようになったと感じるのは、自分のアンテナが広がったからでしょうか。儚くて瑞々しい歌の数々は何度聴いても飽きないですね。なぜ知らなかったのか。
Prefab Sprout / Steve McQueen (1985)
My Fav Tracks: "Appetite", "When Love Breaks Down"
Brian Enoってプロデュースワークとアンビエントで超有名ってイメージですが、彼の初期のロック作品って皆さんちゃんと聴いてますでしょうか?愚問でしたね、すみません。自分はアンビエント数作触れて終わってましたが、初期の名盤ソロ作品を聴いてみたらめちゃめちゃ良かったです。「Here Comes The Warm Jet (1974)」、「Talking Tiger Mountain By Strategy (1975)」、「Before and After Science (1977)」は程よい実験性とヘンテコポップが病みつきになります。
Brian Eno / Before and After Science (1977)
My Fav Tracks: "Kurt's Rejoinder", "By This River"
Wireの2nd、3rdも聴いてなかったけど、最&高でした。マジでかっこいい。ザラザラした感触がたまりません。2ndアルバムのラストトラック「Too Late」は聴くたびにエアギターして首振ってました。
Wire / Chairs Missing (1978)
My Fav Tracks: "Too Late", "Sand in My Joints"
Donny Hathawayも「Live (1972)」で終わってたらもったいないアーティストの一人。「Extension of a Man (1973)」はニューソウルの旗手渾身の、そして最後のアルバムです。ソウル、ファンク、ジャズ、フュージョン的な要素も取り込んだシティポップの結晶みたいなアルバムで、ダニーの歌が優しくもソウルフルで心に響きまくります。個人的旧譜No.1にあげたいくらい。
Donny Hathaway / Extension of a Man (1973)
My Fav Tracks:"I Know It's You", "Love,Love,Love"
Simon & Garfunkelは何故か長年食わず嫌いだったんですが、ふとS&G作品全部とPaul Simon一部を本腰入れて聴いてみたところ、あまりの曲のレベルの高さにびっくりしました。もうS&Gしか愛せない!みたいな時期もあったくらい。一番お気に入りは「Bookends (1968)」で、A面がコンセプチュアル、B面がシングル曲でまとめたこのアルバムは、ギターの音色、パーカッション、優しいボーカル・コーラス、哀愁漂うストリングス、全てのバランスが最高です。
Simon & Garfunkel / Bookends (1968)
My Fav Tracks: "America", "A Hazy Shade of Winter", "At The Zoo"
70sファンクもボチボチ掘って聴いてました。一番のお気に入りはThe Beginning of the End「Funky Nassau (1971)」。レアグルーヴ界の誇る超有名盤!らしい。バハマ出身バンドだからか、醸し出されるカリブの香りがオリジナリティ溢れるファンクサウンドを生んでてかなり好みでした。他に良かったファンクアルバムはOhio Player「Skin Tight (1974)」、Average White Band「AWB (1974)」あたり。
The Beginning of the End / Funky Nassau (1971)
My Fav Track: "Funky Nassau Pt.1"
Average White Band / AWB (1974)
My Fav Tracks: "Work to Do", "Keepin' It To Myself"
あと、J Dilla本も読んだので、J Dilla関連作も結構聴いてました。Slum Village「Fantastic vol.2 (2000)」、Jay Dee aka J Dilla「Welcome 2 Detroit (2001)」、J Dilla「Shining (2006)」、The Pharcyde「Labcabincalifornia (1995)」などなど。J Dillaの勉強のために彼の仕事をまとめてみるのもありかなーと思ってたら、以下のnoteが結構まとまってた。そこで紹介されている書籍を読みました。面白かった。それにしても彼の仕事を色々と追ってみると改めて「Donuts(2006)」はある意味で異色、そして別格だなと思いました。
Oct-Dec
比較的モードが変わり、ダブテクノ、ミニマルテクノやヒップホップに傾いた三ヶ月。最後の1カ月は2020年ベストをまとめるのにあまり旧譜は聴かなかったので、実質2カ月の記録です。
まず、ダブテクノ関連。これまでBasic Channelとか単発では少し聴いてはいたけど・・・状態だったので、10枚くらいまとめて聴きました。まず、Monolake「Hongkong Remastered (2008, originalは1997)」ですが、Basic Channel直径の霞がかった音像にストイックなビートが最高のダブテクノでした。アルバム名から想像できるように香港を一つのモチーフにしており、香港でフィールドレコーディングが行われ、虫の音、波の音などの自然の音がかなり印象的に使われています。薄ーくヴェールを纏うようにシンセがかかっており、なかなかアンビエントで気持ちのいい音。聴けば聴くほど没入できます。アメリカでBasic Channelの意思を継いだRod Modelのダブテクノユニット、Deepchord & Echospace 「Liumin (2010)」も最高でした。これはめっちゃディープなダブテクノなんですが、聞き慣れた音がたくさんサンプリングされているので、特に東京民、山手線ユーザーは聴くのです。そして、2020年に新作を3枚も出していたVladislav Delay先生。「Kuopio (2012)」は故郷フィンランドの都市名を冠した音響系ミニマルテクノはダンスとアンビエントがバランス良くブレンドされてて好みでした。他、Basic Channel別名義のMaurizio「M-Series」、レゲエ、ダブなRhythm & Sound関連作や、Vainqueur「Reductions 1995-1997」あたりも良かったです。
Monolake / Hongkong Remastered (2008)
My Fav Tracks: "Cyan", "Macau"
Deepchord & Echospace / Liumin (2010)
My Fav Tracks: "Summer Haze", "BCN Dub"
Vladislav Delay / Kuopio (2012)
My Fav Track: "Avanne"
ヒップホップは定期的に新しいアルバムを聴くようにしているんですが、Outkast「Aquemini (1998)」には参りました。「Stankonia (2000)」も好きだけど、全然こっちの方が好みだ・・。ソウル、ファンクを下敷きにし、南部っぽい泥臭さと宇宙っぽさをごちゃ混ぜにした刺激的なサウンドに完全にやられました。いや、でもこれ聴いてなかったのは勉強不足を痛感。また、昔ピンとこなかったブッダブランド「 病める無限のブッダの世界 (2000)」も聴き返したら超ヤバかったです。なぜ昔聴いた時に分からなかったのかが本当に分からない。自分の耳の節穴さを呪います。JBばりのファンキーなトラックにキレキレのカッコいいラップが乗っかったらそりゃ無敵です。インストの小品も絶品。塩漬けにしててすみませんでした(土下座)。他、90年代のヒップホップ黄金期の諸作中心に聴いてた感じですかね。GZA「Liquid Swords(1995)」、Raekwon「Only Built 4 Cuban Linx(1995)」、Ice Cube「AmeriKKKa's Most Wanted (1990)」、Black Star「Mos Def & Talib Kweli Are Black Star (1998)」などなど、聴いてなかったもので溢れてたので。
Outkast / Aquemini (1998)
My Fav Tracks: "Rosa Parks", "Synthesizer", "SpottieOttieDopaliscious"
おまけで細野先生のソロ作「omni Sight Seeing」「MEDICINE COMPILATION」がレコードの日11/3にリマスターされましたね。後者は聴いていたんですが、前者は聴いておらず、この機会に手を出しました。結果、なんと形容したらいいのか分からない音楽で最高でした。アンビエントがありテクノがありジャズがあるんだけど、日本民謡、アラブ、中南米音楽の影響もあるようで、どれも遊び心に溢れていて且つ掴みどころがない。全方位観光音楽と名付けられたのも理解できる、私たちをどこかへ連れて行ってくれる電子音楽作品でした。
細野晴臣 / omni Sight Seeing:サブスクだと2曲聴けないので注意。
My Fav Tracks: "LAUGH-GAS", "PLEOCENE"
ざっと、以上です。
5年後くらいにこの記事を見返したら(自分にとっては)面白いかもしれない。2021年は本当に本当にヒップホップを勉強するぞ。押忍。
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