ヒップホップ名盤を聴く②
最近お気に入りのアルバム〜ヒップホップ名盤を聴く〜の第二弾。本当に人生においてここまでヒップホップを中心に聴くことなかったから楽しい。例によって年代順。
ちなみに第一弾は以下です。
Ice Cube / Death Certificate (1991)
どんだけP-FUNK好きなんだよ!っていうくらいFunkadelicとParliamentをサンプリングしまくってる、超絶ファンキーな一枚。1stもなかなかにファンクだったが、これは正直それを上回ると思う。サウンドは腰に、Ice Cubeの強烈な言葉は脳に突き刺さる。いや〜カッコいい。ただ、M18「Black Korea」の差別的なリリックにはNoと言っておこう。
Digable Planets / Reachin' (A New Refutation of Time and Space) (1993)
Shabazz Palacesが過去に組んでいた3MCsのユニット、Digable Planetsの1枚目は、デ・ラ・ソウルを始めとしたネイティブ・タンの影響下にあるが、よりジャジーに、よりクールにした、なかなかにカッコいい一枚だった。上述のIce Cubeとは向かっているベクトルが正反対で、Icu Cubeが全方位攻撃体制をとっているのに対し、こちらは向かってくる者全てをいなしてユラユラしているような感じ。
Gang Starr / Daily Operation (1994)
DJ PremierとGuruによるユニットGang Starrによる三枚目。DJ Premierによるセンスの良い、ジャズ・ソウルのタイトなサンプリングビートにGuruのフロウがただただ気持ちがいい。あとはスクラッチが印象的。こういうスクラッチが効いてる曲は最近めっきり聴かなくなった気がするから、今聴くと少し古いが新鮮だ。ギャング・スターって名前からハードな内容をイメージして食わず嫌いしてたけど、まさに90年代の東海岸の音で良かったです。ATCQ「Low End Theory」あたりと並べて聴きたい一枚。
Method Man / Tical (1994)
ご存知ウータンクランの核弾頭、Method Manのソロデビュー作。ウータンの総帥RZAがトラックを手がけており激ドープ。メスのラップはなかなかドスが効いていて黒い。まさに漢の世界で、もう全部がかっこいいね。M3「Bring the Pain」ではメスが疾走感のあるトラックに「痛みこそがこの世のリアルだ」という意味をこめて「Is it really real?」と問うわけだが、もうマジで痺れる。少し前に不良漫画を読んでいたんだが、そういうジャンルのサントラとして最適だなこれは。
Ghostface Killah / Supreme Clientele (2000)
ご存知ウータンクランのトニースターク、ゴーストフェイスキラーのセカンド。ソウルフルで煌びやかなネタ使いが特徴的で、RZAやRaekwonをはじめ、ウータンメンバーが勢揃い。ゴーストフェイスキラーの声はジャケの見かけ通りなかなかパワフルだね。トラックの素晴らしさといい、なんか王者の風格を感じる。特に好きなのはM3。クラシック中のクラシック。
Talib Kweli / Quality (2002)
Mos Defと組んでBlack Starとして活動してたTalib Kweliのソロデビュー作はクラシックと呼んで差し支えない豊かなアルバム。その理由の一つにはプロデューサー陣の選択があるように思う。M3、M9、M14(全てシングルカットされている)でプロデュースしてるカニエは、もうこの頃からカニエらしいボーカルサンプリングを披露しており、特にM3「Get By」はアタック感の強いビートにNina Simonをサンプリングした、本作で最も重要な一曲だ。また、M12, M13はJ Dillaプロデュース作だが、M12がビートを控えめにしたピアノの旋律で聴かせる曲なら、M13はディラっぽいヨレたビートが存分に楽しめる。M2はMegahertzによる曲でギターがジャンジャン鳴っててかなりロック、M7ではMos Def、M6とM8ではBilalが客演で流石の相性を披露している。そんな多様で緩急自在なアルバムだか全く散漫な印象を受けることはなく、Talib Kweliが絶妙なセンスとバランス感覚でまとめ上げている。ネイティブタン〜ソウルクエリアンズ文脈のアルバムの中でもお気に入りの一枚の一つ。
Lil Wayne / Carter II (2005)
このアルバムの曲の邦題つけたのは誰でしょうか??センスがヤバすぎる・・・。一番のツボはM5「燃えて候ふ(Mo Fire)」。アホだ・・・。名付けた人はちょっと表に出てきてほしい。
で、Lil Wayneの魅力は、一聴してそれと分かる独特な声質とフロウですかね。唯一無二のオリジナルなラップをしていると思う。なんせ他の曲で客演で出てきたらそんなに聴いてない自分でもLil Wayneだって分かるからね。これは強い。アイズレーサンプリングのめちゃくちゃソウルフルなM15「Receipt」、メロウなM10あたりが特に好きかな。
Killer Mike / R.A.P. Music (2012)
Run The Jewelsの片割れ、キラーマイクのキレキレのソロ。アルバムタイトルの「R.A.P. Music」とはRebellious African People Musicの意味らしく、そう、反抗の音楽である。ちなみにプロデュースはEl-Pということで、もうRun The Jewelsじゃん!という感じだが、そもそもこのコラボがきっかけでRTJの結成に繋がったんだから当然である。アグレッシブでエネルギッシュなトラックとラップが最初から最後までノンストップで駆け抜ける様はRTJと全く一緒で、ユーモアの力を借りながらも怒りの感情をぶちまけている。それにしてもM7で黒人少年を射殺した白人警官に対する怒りを表明してるんだが、2020年になってもRTJ4で再度同じ題材のラップをかまさなきゃいけなかったと思うと、アメリカァァァ!!!って思うわ。
A$AP Rocky / LONG.LIVE.A$AP (2013)
A$AP Rockyも今は大スターなわけですが、あまり聴いてなかったんですよね。このアルバムもリリース当時に聴いた時はあまりピンとこなかった一枚。改めて聴いてみると、あれね、フックにパンチ力がある曲が多くて、全てシングル曲ですみたいな強いアルバムだね。Drake、2 Chainz、Kendrick Lamar参加のM7や、Hit Boy作でKendrick、Action Bronson、Danny Brown等が入り乱れるM9あたりがお気に入り。
Freddie Gibbs & Madlib / Piñata (2014)
現在の最強タッグじゃないですかね?「Bandana(2019)」も相当聴いた。Madlibの最高にクールなビートが、アンダーグラウンドヒップホップの雄、Freddie Gibbsのくぐもったラップを5割増しくらいで輝かせている。M4ではDanny Brownの高音奇天烈ラップとGibbsの低音不良高速ラップが対照的でカッコいい。M5では比較的柔らかなビートに合わせてGibbsがビシバシ韻を踏むのがマジでドープだ。M6ではRaekwonとの掛け合いが最高だし、M7では・・M8では・・・てな具合に全曲良いです。
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