最近のお気に入り:2020年の聴き逃し
これから定期的にこんな感じで最近聴いてる音楽を記録していきたいと思います。
今回は2020年リリースの中で、年間ベストから漏れた聴き逃しアルバムやあまり聴き込んでなかったアルバムを挙げます。
昨年末、ビッグウェーブに乗っかり2020年のマイフェイバリットアルバムを記したんですが、その後、まぁ当然のように色々な人のベストを見てはアレも聴いてないコレも聴いてないと色々と手を出しました。結果、そりゃ「めっちゃ良いじゃん///」というアルバムがいくつも出てくるわけで。2021年も1カ月が経とうというのにいつまでも2020年の気分が抜けないが・・・・、まあしょうがない。ディグに終わりはないのです。
そんな、最近気に入っている2020年リリースアルバムたちはこちら。
Byron the Aquarius / Ambrosia (2020)
以前にはTheo Parrishのレーベル「Sound Signature」からEPをリリースし、今作はJeff Millsのレーベル「Axis」からのリリース。デトロイトテクノ、シカゴハウス界隈では有名人っぽい新進気鋭のキーボーディストの最新作は、ハウスをベースに、ジャズやフュージョンの要素をふんだんに取り入れた最高の一枚。これはノーマークだった・・・。詳細はele-kingレビューを。
Celebrity BBQ Sauce Band / Celebrity BBQ Sauce (2020)
Moodymann主宰Mahogani Musicからのリリース。Underground ResistanceともコラボしていたGerald Mitchellというベテランキーボーディストと、これまたデトロイト・ハウスの伝説的ユニットMEMBERS OF THE HOUSE(正直知らないんですが・・汗)のシンガーのBilly Loveとのユニットで、もうまさにデトロイトっぽいファンク!ソウル!ハウス!なアルバム。ファンキーなベースラインとキックでグルーヴを作り、そこにGerald Mitchellのクールなシンセやジャジーなピアノが彩りを与え、Billy Loveのソウルフルなボーカリゼーションが光る。
Dan Kye / Small Moments (2020)
ニュージーランド出身ロンドン在住のJordan Rakeiのダンスプロジェクト。そもそもJordan Rakeiを知らなかったんだが、FKJ、Tom Misch、Disclosure、Nightmares on Wax、Loyle Carnerと結構なメンツと仕事をしてる新世代のミュージシャンらしく、本名名義ではメロウでジャジーな楽曲+エモーショナルな美声を武器に人気みたいだ。
このDan Kyeは本名名義の音楽とは全く異なり、シンプルにファンキーかつオシャレなディープハウスでかなりアガる。
Ivan Ave / DOUBLE GOODBYES (2020)
ノルウェー首都オスロ在住のラッパー/SSW/ドラマーの4th。Mutual Intentionsというコレクティブに所属しているとのことで、メロウなグルーヴは80年代AORやニューエイジを想起させる。ヒップホップというよりはR&B。上述したDan Kyeとアルバムアートワークの製作者が一緒かな?と思って調べてみたらやっぱりそうで、Nick Dahlenって人のアートワークらしい。
Steve Arrington / Down to the Lowest Terms: The Soul Sessions (2020)
どこの新人かと思ったら、70年代のディスコ/ファンクの大御所、Slaveというバンドのフロントマンの方でした。知らなかったけどレジェンドらしい。これは失礼しました。
本作は前作のDam-funkとのコラボ(こっちも良かった・・)に引き続きStons Throwの面々との作品で、ラグジュアリーでモダンなファンクトラックの上で映える、Steve Arringtonの伸びやかでソウルフルな歌声が最高な一枚。M4とかの粘っこいリズム隊がもう本当に好き。
D Smoke / Black Habits (2020)
声がKendrick Lamarに似てると思うのは自分だけだろうか‥。と思ったらそういう類似性は既にネットでも指摘されてるみたい。Netflixのラッパーオーディションの初代チャンピオンに選ばれたみたいで、満を辞してリリースしたデビューAL。率直な印象として知的。実際にUCLAに進学し、高校教師をしてるっていうんだからガチのインテリだ。リリックを追いたくなるラップだね。トラックもメロウ、ドープで良い。今年のグラミーにもノミネートされているくらい、アメリカではかなりノリに乗ってるラッパーみたいね。
Oddisee / Odd Cure (2020)
ワシントンD.C.生まれのラッパーOddiseeの最新アルバム。コロナ禍で作成されたアルバムらしく、リリックには現状のコロナ禍における混乱や孤独が綴られ、また、挟まられるSkitではコロナ禍で行われたと思われる家族や友人との会話が収められており、まさに2020年のアルバムという内容。トラックはソウルやジャズからの影響を感じるとともに、M2、M3などのベースがグイグイ引っ張る展開はまさに好みの音だった。ラップは結構メロディアスでM5とかAnderson Paak.を思い出したり。
JUNES K / SILENT RUNNING (2020)
熊本出身、福岡発のビートメイカー兼グラフィックデザイナーのデビュー作。自分の中でのJapanese Flying Lotus。いや、本当にFying Lotusの「Los Angeles」を彷彿とさせるエレクトロニカ混じりの多彩なビートが1〜3分くらいの短い尺で矢継ぎ早に繰り出される。まじでカッコイイ・・・。客演も良い感じに馴染んでる。Olive OilとPopy Oil主催のレーベル、OILWORKSからのリリース。
Dua Lipa / Future Nostalgia (2020)
これぞ現代のディスコポップ!
なんだろ、基本こういう音圧バリバリなメインストリームポップって好んで聴かないんだけど、これは相当に良く聴こえた。好き↔︎好きじゃないの差って本当に紙一重。ガシガシ踊れるし、デュア・リパの少しハスキーで力強い歌声も素晴らしい。M4「Physical」とM5「Levitating」とかあまりに強力なので、脳への浸透度合いが半端なく、気づいたら脳内で流れてる、若しくは口ずさんでいることもしばしば。各メディアで高評価なのも頷ける。Remixアルバムも最高でした。
The Avalanches / We Will Always Love You (2020)
The Avalanchesはまあ、書かなくても良いかなーとも思ったんだけど、やっぱり良かったから残しておこう。リリース前は正直心配してたのよ。かなり前から少しずつ曲を公開するスタイルだったわけだけど、その豪華なゲスト陣と徐々に明らかになる楽曲の内容には「正直、微妙・・?」という印象を拭えなかったのです。派手になり過ぎてしまうのではないかと・・・。でもリリースされていざ聴いてみると一安心、派手というよりはむしろこれまでで最も内省的な一枚だ。一方で、The Avalanches印の人懐っこさは健在で、また、ディープに踊れる曲もきちんと配されている。ゲスト含めバラエティに富んだ内容なんだけど、これまで同様シームレスにミックスされたこのアルバムは不思議と統一感があり、単発で先行曲を聴いた時の不安感は完全に払拭された。彼らの音楽は自分にとって掛け替えのないものであるということを再認識しました。
Adrianne Lenker / songs (2020)
説明不要だと思うが、Big Thiefのリードシンガーのソロ作。リリース当時は自分の中でフォークムードが終わっていたからか、そこまで響かなかったんだけど、先日ふとちゃんと向き合って聴いてみたら(改めて言うまでもないんだが)本当に素晴らしい内容で驚いた。なんと繊細なアコースティックギターの音色だろう・・。なんと優しい歌声だろう・・。森の中のざわめきに耳をすませつつ、孤独と向き合いながら一人歌を紡ぐAdrianne Lenkerの姿が目に浮かぶ・・。聴いていると、何か汚してはいけないパーソナルで神聖な領域に踏み込んでしまったかのような、そんな気持ちになった。シンプルに小文字で「songs」というタイトルも、このアルバムに相応しいように思う。2020年のフォークは、Blake Mills、The Microphones、Bob Dylan、Adrianne Lenkerと音響面での飛躍が凄まじく、本当に傑作アルバムが多かったね。
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