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最近のお気に入り:2021年リリース④

主に4-5月にリリースされ聴いていた作品のメモ。既に世間は上半期ベストなるものにトレンドが移っていますが、まだそこまで追いついていないのが現状・・。とりあえずコツコツ記録残します。

J.Cole / The Off-Season (2021)

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恥ずかしながらJ.Coleは初めて聴きました。これは王者感強い。Jay-Zのような風格を感じる。というか、そもそもJay-ZのRock Nationと契約した初めてのアーティストだったのね。そりゃJay-Zとの類似性を感じるのも当然だったのかも。このアルバムのリリース後、J.Coleはプロバスケ選手としてデビューするというなんともスーパースターなことをやってのけており、そう言われればアルバムタイトルの「Off-Season」はスポーツ界のオフシーズンから持ってきたんだろうと気づく。

ブーンバップからトラップまでこれまでのヒップホップの良いところを余すところなく取り入れた、まさに現代の王道というような内容にはヒップホップ好きなら抗えない魅力があり、彼が人気なのがとてもよくわかる。トラックもカッコいいが、一貫して説得力のあるJ.Coleのラップが何よりも際立っていてカッコいい。個人的ベストトラックはM11「c l o s e」。


Squid / Bright Green Field (2021)

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近年、勢いのあるUKポストパンクシーンからの決定打でしょう。Black Midi、Fountains D.C.、Shame、Black Country, New Road、・・と本当に良質なバンドがどんどん出てきているが、個人的には一番しっくりきたのがSquidだった。色々なバンドとの類似性を指摘されているとは思うけど、曲によって表情が変わるので一概にこれ!というのは言えない。M5「Paddling」は聴いていてSonic Youth味を感じるけど、他の曲から受ける印象はGang of Four、The Fall、Dismemberment Plan、Talking Heads、はたまた初期Foalsだったりする。これらのバンド要素の一方で、ジャズやアンビエントが元々好きだと言っており、そのあたりの要素も全面に現れている。非常に立体的で刺激的な音楽を奏でる、本当に一筋縄では行かないバンドだと思う。一番「おおっ!」と思ったのがM4「Boy Racers」で、特に後半のドローンな展開がツボ。

Jorge Elbrecht / Presentable Corpse - 002 (2021)

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Twitterで何人かの方がツイートしていて知ったんだけど、まじで何者??まず一聴して浮かんだのはThe Beach BoysやZombiesで、基本はめちゃポップなサイケ・ソフトロック、フォークロックなんだけど、なんだろう・・一筋縄ではいかないドロドロとしたホラー味を感じる・・。これは相当奥深い音楽で、しばらくリピートしたいと思わせる何かを放っている。この人はViolensのメンバーとして活動していて、最近はソロでエクスペリメンタル・メタルとかの楽曲をリリースしていたらしい。このアルバムからはそんな面影1 mmも感じないんだからますます闇深し。まだこの惹きつけられる何かの正体を分かっていないんだけど(単純に聴き込み不足なだけとも言う)、とにかく60sサイケ・ポップ好きは必聴。

Sons of Kemet / Black To The Future (2021)

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現行UKジャズシーンの最重要人物、シャバカ・ハッチングスのプロジェクトの一つ、Sons of Kemetがまた強烈な作品をリリースしてきた。BLMから強くインスパイアされている本作は、前作と比較しても怒りと攻撃的なエネルギーに満ち満ちているのがわかる。アフロ的リズムを土台に繰り広げられる狂騒とパワーからは、否応なしに心の奥深くに眠る闘争本能を呼び覚まされる。進撃の巨人じゃないけど「戦え!戦え!」と言われているみたいな。Speaker MusicやMoor Mother(今作でもFeatureされている)の昨年の作品とも共振するようなアルバム。

Otagiri / The Radiant (2021)

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非常に刺激的な音楽体験。聴いたことがあるようでない、枠にハマらないヒップホップ。Otagiriは沖縄を拠点にしたミュージシャンで、元々は10年ほど前からDJ等で活動していたらしい。ミニマルに削ぎ落とされたサウンドに様々なパーカッションが乱れ飛び、そこにポエトリーリーディングと言ってもいいだろうラップが乗っかってめちゃめちゃスリリング。英語と日本語を自由に行き来する様はKid Fresinoを彷彿とさせ(フレシノの最新作にも参加していた)、また、どこか呪術的で刹那的な雰囲気を醸し出すリリック・ライミングが妙に印象に残る。何よりダンスミュージックとしても高いレベルで機能するビートがヤバすぎて、かなりの衝撃を受けた。いや、すごい。

UNKNOWN ME / Bishintai (2021)

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やけのはら、P-RUFF、H .TAKAHASHIにグラフィックデザイン担当の大澤悠大を加えたアンビエントユニットでLAのNOT NOT FUNよりリリースされた1st LP。やけのはらといえば七尾旅人との「Rollin' Rollin'」やアルバム「This Night Is Still Young」で更新が止まっていたけど、今こんなアンビエントやってるのか!と驚き。日本特有の香りが随所に散りばめられた、洗練された音像でとても素晴らしい。ジム・オルーク、食品まつり等が参加したことに起因するのか、音に多様性がありサウンドスケープ一辺倒にならない感じがするのが良い。だからこそ、より飽きずに聴けるようになっているというかね。あと、タイトルの「美・心・体」ってなんか未来的な響きがあるね。

KMRU / Logue (2021)

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ケニア・ナイロビのKMURはアンビエント・エクスペリメンタルを中心とした電子音楽家で昨年のアンビエントアルバム「Peel(2020)」が世界的にも評価され注目を集めた。自分自身は「Peel」を今年に入ってから聴いたんだけど、確かにその深く静謐なアンビエントはなかなか印象に残るもので、折に触れリピートしている。一方で、最近リリースされたこの「Logue」は2017年〜2019年にBandcampでリリースされた彼の楽曲を集めたアルバムで、「Peel」とは異なり、アンビエントなテクスチャーを背景としたダンスミュージックやニューエイジ的なトラックが中心となっていて、こちらもかなり気に入っている。そもそもアンビエントテクノが大好きというのはあるので、こういうダンスミュージックは問答無用で気に入ってしまうのだが、それを差し引いても本作の上品なビートはたまらないし、ベースとなっている繊細なフィールドレコーディングや謙虚にアクセントをつけられたシーケンスが、より想像力が広げてくれる感じがしてとても良い。M8などのニューエイジを彷彿とさせる柔らかなシンセを用いた曲も素晴らしい。全体的に、聴いているとアフリカの自然の美しさや厳しさ、生命の躍動といったワードが思い浮かぶ。そんなアルバムってなかなか無いよ。

Skee Mask / ITLP09 Skee Mask - Pool (2021)

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長いことを除けば(なんと100分超え!)、貶すところが全く無い、別格のアルバムだと思う。私の一押しドイツのエレクトロニックミュージシャン、Skee Maskの新作はBandcampオンリーのリリースだが、大傑作「Compro(2018)」と比較しても劣らない、いや、曲単位で見たらそれを超えてくるレベルのアンビエント・ブレイクビーツ。何層にも重なって聴こえる美しいサウンドスケープの上を暴力的で多彩なビートが蹂躙していく様はまさに圧巻で一聴しただけで完全に飲み込まれてしまった。本当に惜しいのは「ランニングタイムが長いこと」で、どうしても頭からお尻まで一気に聴きたい根っからのアルバムリスナーとしては、気軽に再生ボタンを押せないのは確か・・・。このクオリティの楽曲で半分のランニングタイムだったらもうしばらくはこれしか聴かないレベルだったように思う。

PDP III / Pilled Up on a Couple of Doves (2021)

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ニューヨークのアンダーグラウンドアンビエントの重要人物Huerco Sが参加していると知って手に取った一枚。PDP Ⅲの中心人物はニューヨークの音響作家であるBritton Powellが中心人物で、彼が作ったトラックに上述のHuerco Sとイギリスの前衛チェリストで去年のBeatrice Dillonのアルバムでも共演しているLucy Railtonが音を重ねて肉付けをしていたようだ。全5曲で39分とアルバム全体のランニングタイムはちょうど良く、かなりバランスのとれた音響アンビエントだと思う。特にM4「Walls of Kyoto」の瞑想のように静かで穏やかな音から次第に都市の底で蠢いているようなインダストリアルノイズに変わっていく様は圧巻で、また、それに続くラストM5「49 Days」は約20分に及ぶ大曲で、ボォーンという鐘を鳴らしたような音の背後で控え目に不安を撒き散らすかようなサウンドが実に絶妙。

Jayda G / DJ-Kicks (2021)

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正直、2019年のアルバム「Significant Changes」はリアルタイムで聴いた時に全然ハマれなかったんだけど、2020年シングル「Both of Us」はヤバかった。完全に2020年のフロアアンセム枠を鷲掴みにしたような曲で最高だった。この曲はグラミー賞にもノミネートされるくらい人気で、また、未だに聴かれ続けているDua Lipa「Future Nostargia」のRemixアルバムにも参加するくらいJayda Gのここ1、2年は絶好調。そんなJayda GのDJ-Kicksとなれば期待せずにはいられなかったし、いざ聴いてみたらやっぱり今の勢いが如実に現れた、秀逸なミックスアルバムだった。

前半はLight Of The World、Atmosphereといったブリット・ファンクや最新UKジャズシーンからKokorokoまで、フロアを徐々に温めるための選曲でかなりジャジーでゆるい展開。夕方の浜辺でビールとともにユラユラしたらさぞ気持ち良いだろう曲が続く。で、少しずつガッツリ踊れるハウスを増やしていき、自身の曲「All I Need」(これまた素晴らしいダンスミュージック!)で一つのピークを迎える。最後はDJ KozeとBenny Singsでゆるく締め。緩急のついたセレクトはお見事で、本当にクラブでダンスミュージックを楽しんでいるかのような心地にさせられる。もうクラブミュージックに対する愛しか感じないです。

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