ひと部屋無料でお貸しします。2話目 ※最後まで無料でお読み頂けます。

この小説は最後まで無料でお読みいただけます。またこの小説は、同小説『ひと部屋無料でお貸しします。』の1話目の続きとなっております。

n+2日目

小汚い格好をした中年の男性がバタバタと、いきなり部屋に押しかけてきた。男性は急いで部屋のドアに鍵がかかっているのを確認した。その瞬間ドアが外側から思いっきり蹴られ、部屋はグラリと揺れた。部屋の外には怒った様子の男が何人かいて、金を返せやら、もうこれ以上は無理だやら、叫びながら相変わらずドアを蹴ったり叩いたりしている。なるほど、どうやら入ってきた男性は外の男達からお金を借りているようだった。そのうちもう1人男がやってきて、バールをドアの隙間に噛ませ、こじ開けようとした。しかしドアはびくともしなかった。それどころか、先ほど蹴られたときのように揺れることすらしなくなり、部屋全体がまるで鋼鉄の塊のようにガッチリと地面に食い込んでいた。外にいる男たちは二、三十分ドアを開けるために格闘した。しかしやはり一向に開く気配はないため遂に諦めて、部屋の前から去っていった。男性はホッとした様子で、外に出ようとドアノブに手をかけたが、この部屋にはこんなルールがあるから開かない。

男性はただでさえ金に困っていてモノを持っておらず、着ている服もそれが最後の私服であった。男性は困り果てたが、そもそも自分がこんなふうに落ちぶれてしまったのは、手元にあるこの借入の契約書にサインをしてしまったからだと思った。そこで男性は躍起になって契約書を置いておくことにした。すると部屋の鍵がカチャと開く音がした。男性は机に置いてある高そうなネクタイを手に持って外に出た。すると男性は三十メートルほど先に、さっき部屋に押しかけてきた男達がいるのに気づいた。男性と男達は目が合い、男性はもうだめだと思った。しかし男達は目が合っているのにこちらに寄って来ず、私の後ろにある部屋を引き続き見ているようだった。男性はこっそり歩いて、最終的に無事、家に帰ることができた。

n+3日目

この前ネクタイを置いて出ていったサラリーマンが、この部屋に戻ってきた。今回はスーツではなく普段着で訪れた。どうやらこの前置いていったネクタイを取りにきたようだ。確かに張り紙には、置いてあるものを持って帰ってはならないとは書いていなかった。しかし部屋に置いてあるのは何か大事なことが書かれていそうな契約書だけで、自分のネクタイはすでに無くなっていた。サラリーマンは薄々そんな気はしていたが、高級なものだったので少し残念がった。彼はここに来るまでにコンビニで買ったポッキーの極細を机の上に置いた。すると部屋の鍵がカチャと開く音がした。サラリーマンは契約書を警察に届けるために紙を持って外に出た。するとその瞬間、ドアの前に体格のいい男達がこっちに走ってきて、サラリーマンの髪をちぎり取るように掴み、いい加減金を返せと叫んだ。サラリーマンはなんのことか分からず、人違いだと言ったが、男達は契約書を持っているじゃないかと言い返した。いやこれは部屋に置いてあったものだと言おうと契約書を見ると、そこにはしっかりとサラリーマンの名前のサインと印鑑が押してあった。男達の1人が契約書を奪い取り、そのままサラリーマンは男達に連れ去られどこかに消えていった。

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