ひと部屋無料でお貸します。1話目 ※最後まで無料でお読み頂けます。

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n日目

参考書が入った鞄を肩にかけながら、1人の女子高生が部屋に入ってきた。ここは街の外れにある、電話ボックスのような形をした部屋。彼女の重そうな鞄を見るに、どうやら学校のテスト前のようだ。家で勉強するのは誘惑が多くてダメだが、外では何かしら滞在するのにお金がかかる。図書館はみんなが静かにしようと心がけているから、リラックスして勉強ができない。確かにこの部屋はその全てを解決しうる。自分の好きなものは辺りに散らばっていないし、周りに人もいないし、しかも無料だ。女子高生は部屋に入った。
 外から見た以上に、中は広々としていた。勉強するのにちょうどいいくらいの机と椅子。影ができないタイプのデスクライト。おまけに自由に取ることができる飲み物とお菓子が置いてあった。女子高生は椅子に座り、勉強を始めた。
二、三時間して、置いてあるお菓子を食べながら休んでいると、こんな張り紙があるのを見つけた。

女子高生はこのルールを知らなかった。試しに部屋からドアを開けようとしたが鍵がかかっていて、出ることはできなかった。女子高生は何秒か考えて、使っていた黒のサラサ0.38を置いていくことにした。すると鍵がカチャと開く音がした。女子高生はまあまあ勉強したしもういいかと思って、この部屋から出ていった。

n+1日目

あるサラリーマンの男性が急いでこの部屋に入ってきた。電話をしながらペコペコしているので、どうやらすぐに対応しないといけない仕事ができてしまったようだ。サラリーマンは椅子に座ってノートパソコンとメモを開き、机の上に置いてある黒のサラサ0.38を手に取って何か書きながら、電話で引き続き話していた。
二、三十分してサラリーマンは電話を切り、ノートパソコンを閉じて広げたものを鞄にしまっていった。そしてドアノブに手をかけたが、この部屋にはルールがあるから開かなかった。サラリーマンは少し戸惑って周りを見渡し、例の張り紙を見つけた。サラリーマンは仕事のための最低限の荷物しかなく、どれが無くなっても困るものばかりであった。結局、仕方なく今まで首につけていたネクタイをほどき、テーブルの上に置いた。すると鍵がカチャと開く音がした。サラリーマンは急いで部屋から出て、駅へ向かった。

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