父が言えなかったこと
昔々、母が父にお弁当を作っていた時代。
(私は当時産まれていなかったので聞いたお話)
母はお弁当に必ず梅干しを入れていた。
今のようにふりかけの種類が少ない時代だったから
ではなく、単純に母の好物だからだ。
おにぎりも梅干しとおかか。
お弁当にもご飯に梅干しがのっている。
そんなお弁当を父は残さず全部食べていたらしい。
がいつからか、ぽつんと赤いソレだけ残されるようになった。
結婚して結構な時間が経ってからだという。
そう、父は梅干しが好きではなかったのだ。
基本的に酸っぱいものが好きじゃないようで、バナナ以外の果物は母がなんとか工夫して食べさせているが、自発的に食べる姿は見たことがない。
そんな私からすれば梅干しを食べていた父が想像できないが、そういう時代もあったという。
そのお話を聞いて、言えずにいた父を想像して、
正しい感情なのかはわからないが、かわいいなぁと思った。
余談だが、母の日は毎年梅干しを送っている。
そういえばもう少しで母の日ですね。