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いつのまにか身についていた質問力

私の父はどちらかというと物静かなタイプである。

必要のある会話はするが、会話をするために自ら話題をふることはあまりなかった。

テレビも静かに見ているし、ラジオも静かに聞いている。

たまに応援している野球チームが良い展開になった時「おお」と小さな反応を示すくらいだ。

だから、私は父にたくさん質問をした。

父がよく見ていた相撲や野球の試合、ミステリードラマについて、
その時放送されていたニュースについて、
勉強について、
父のその日の出来事について。

父の興味があるだろう話題を、ことあるごとに質問していたように思う。

もちろん元々の知りたがりの性格もあるが、
その時ばかりは質問の答えが知りたいという気持ちよりも、
ただただ父と会話をしたかったのだ。

私にとって質問することは、他人とのコミュニケーションの手段でもあった。

質問することが癖のようになってしまって、映画やドラマの最中や、何かの試合を見ている時にだまって鑑賞することができず、静かにしていられなくなってしまったという難点はある。

でも会話をするための質問を考えてきたことは、今でも人と接する時に役に立っている。

相手の話している話題や、興味がありそうな事をどんどん質問していくと、その答えと共にプラスアルファの話をしてくれることも多い。

また会話が終わった後もその質問の内容を考えてくれていて、後日に答えを追加で教えてくれる時もある。

そんな風に質問を通して、他人との距離が縮まっていくことがあった。

いつか読んだ本にも、
仲良くなりたいなと思っている人がいるときには、自分の話をして自分を知ってもらうよりも、まずは相手に質問をしてみるのがいいと書いてあったので、距離を縮めたい相手がいる人はぜひ試して欲しい。


私が自然とそれができていたのは、父とのコミュニケーションのおかげだと思っている。

#創作大賞2023 #エッセイ部門


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