なぜ“問題行動”を起こすの?
こんにちはこんばんわ、OKUです。
今回は、「なぜ、問題行動を起こすのか」についてお話します。
そもそも、知的障害者や自閉症者には問題行動はつきもので、当たり前の事すぎて考えたこともないという方が多いのではないでしょうか?
少しだけ専門的になるんですが、問題行動にはそれなりの理由があるので、そのメカニズムについてできるだけ短く簡単に説明しようと思います。
自傷他害行為など強度行動障害のイメージがすぐに湧くと思うんですが、まず、“問題行動”って何かというと、「強化された不適切な行動」になります。抽象的でピンとこない方もいると思うので説明します。
人(他の動物も同じ)がある行動を起こすのには必ず何かしら理由(目的)があります。その理由を簡単に言うと、要は、「嬉しいこと(メリット)が生じる」という結果が欲しいわけです。
“嬉しいこと”というのは、ご褒美が貰えるとか、褒めてもらえるというだけじゃなくて、嫌なことを避けられる、怖いことから逃げられるという危機回避も含まれます。
そして、ある行動をした直後に嬉しいことを得られた場合、その行動が嬉しいことにつながったと認識して同じ行動を繰り返すようになります。(本質的にすべての人間が本来そうです)
例えば、パッと思いついたものを上げると、
・皿洗いを手伝う→お小遣いがもらえる
・スーパーのポイントカードのポイントを貯める→お菓子と交換できる
・宿題をする→褒めてもらえる
・エアコンをつける→暑さ(寒さ)を解消できる
・耳を塞ぐ→うるさい音が聞こえなくなる
・部屋にこもる→人に会わないから傷つかない
このように、ある行動にはメリットがあり、繰り返されることで行動とメリットの結びつきが強化されるわけです。
で、ここからが重要です。
「問題行動=強化された不適切な行動」と冒頭で言いましたが、では、なぜ適切な行動ではなく、不適切な問題行動を起こすのでしょうか?
それは、不適切な問題行動が、彼らが得たいメリットに結びついているからです。つまり、
・泣き叫ぶ→心配してくれる
・暴れる→居心地が悪い空間から逃れられる
・引きこもる→学校にいかなくていい
・リストカット→精神的な痛みが和らぐ
という風に、問題行動を起こすことで、メリットを得ているわけです。
だから、問題行動を起こす理由は、実は根本的には、適切な行動をとることと何ら変わらないわけです。本来その場面では不適切な行動で得たメリットに味を占めて、繰り返すうちにその行動が強化されてしまったものが問題行動です。
そもそもはインパクトが強い行動を起こすことで注意を引いたり、自分を主張したりするところから始まっていますが、理由や目的はあくまでコミュニケーション手段なんですね。
最後に。
不適切な行動に対して、あなたがメリットを提供していることが、彼らの問題行動を意図せず助長しているかもしれないということを知っておいてもらえたらと思います。
不穏になったらお菓子を与えたりしていませんか?
暴れたら外へ連れ出してあげたりしていませんか?
問題行動を改善するには、適切な行動とメリットを結び付けたり、不適切な行動とメリットを切り離すというアプローチが必要になります。(この辺はABAの領域です)
また改めて記事できたらいいなと思います。
今回は以上です。