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「わかりません」が答えです。

こんにちはこんばんわ、OKUです。

今回は、「わかりませんが答えです」というお話をしようと思います。

どういうことかというと、「いくら知識を詰め込んでも、専門家に言われたことを実践しても、結局正解なんてわかりません。」というのをお伝えしたいんですね。

発達障害や知的障害の当事者の方やご家族の方から質問をいただくと、この根本的なところを理解していないケースが多く見受けられるので、その辺を少し詳しく説明します。

とても大事なことなので、ぜひ読んでください。


★よくある質問

まずは、最近あったものをいくつか紹介します。

●自閉症の子供が極度の潔癖で、トイレに行くたびに毎回5分以上手を洗っています。何度注意しても治らないのですが、どうしたらいいですか?

●私は明らかに障害者なのに認めてもらえません。どこへ行けば認めてもらえますか?

●息子が就労支援を紹介してもらっても続きません。どうしたらいいですか?

●自治体に相談しても心療内科へ行っても助けてもらえません。どうしたらいいですか?

●他害行為があり初めて薬を処方されたものの、抵抗があります。やっぱり飲ませた方がいいですか?

など、ほかにもいっぱいあるんですが、僕からすると、これらはすべて同じ類の質問になります。

★答えは「わかりません」しかない

こういった質問が来るときに感じるのは、「正解を教えてください」というスタンスです(まあ、困ってるから当然なんですが…)。

なので、答える側としても慎重にアドバイスしないといけないわけですが、僕が返答するときは必ず「もしも僕があなただったらどうするか、という形でお答えしますね。」と冒頭で断りを入れます。というのも、僕には答えがわからないからです。

例えば、さっきの上の質問で、自閉症児に長時間の手洗いをやめさせるにはどうしたらいいか?に対して僕は、「僕だったら、手を洗う場所全てにタイマーを置いて、時間を1分に合わせておきます。洗い始めに押させて、音が鳴ったら手を拭いて止めさせます。」と答えました。もちろん確信をもって答えたわけではありません。

実際、このアドバイス通りにやって、うまくいかなかったとしても不正解とは限らないし、うまくいっても正解とは限りません。なぜなら、そのタイマーだけがうまくいった要因かどうかすらわからないからです。

もしも、本当はタイマーは有効なのに、ボタンの配置や大きさが悪かったり色が気に入らないから、今回使ったタイマーではうまくいかなかった可能性があります。違うものでうまくいく可能性がある。逆に、たまたまボタンの触り心地がよかったから音が鳴ったら反応したとか、音が不快で早く消す方に注意が向いて手洗いから注意が反れてうまくいった、ということもあると思います。

目先で大事なのはもちろん結果なんですが、それよりも、環境や趣向や性格その他いろんな要因が重なって、たまたま今回はうまくいってるだけなんだと理解しておくこと。それと、その人に合ったその人だけの答えしかなくて、全く同じ答えは他に存在しないということ。答えは常にその人自身が持っています。

だから、強いて言えば、「わかりません」が誰にでも当てはまる答えになります。これはどれだけ専門知識を身に着けた人がアドバイスしても、似たような境遇の人に相談しても同じです。

「何が正解かはわからないけど、なんかうまくいったからまあいっか」ぐらいの落としどころに収まるのが、問題解決だと思ってもらいたいですね。あとは、うまくいったことはうまくいっている限り続けてください。

★包括的な問題解決のために

今日の話は障害者に限らず誰にでも当てはまることで、誰しもが自分の問題に対する答えは自分だけが持っています。そして、試行錯誤しながら自分で見つけていく以外に方法はありません。

僕のアドバイスも、専門的なアプローチも、医師の診断すらも、すべてはそれぞれの立場やその人の見地からの意見であり、部分的でしかありません。また、部分的には正解で、部分的には不正解です。それぞれから部分を集めた結果として包括的な問題解決へ至ります。

つまり、いろんな要素からその人の独自流にカスタマイズすることが必要で、それは本人にしかできないのです。

自閉症者も自分でやっています。発語がなくても、その人なりに絶対にやっています。でも思うように自分を操れないから、周りが本人がどういう風にカスタマイズしようとしているのかを所作から見極めて、手伝ってあげないといけない。サインはいっぱい出てるはずなので、一緒に探してあげるのが、僕たち支援者や親にできることです。


誰しもが自分と向き合うしか道はないのです。

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