競争はしない方が良い
競争戦略という言葉があるが、競争戦略で最も重要なのは競争しないことである。競争という言葉がついているのに、競争しない方がいいというのは不思議な感じもするが、そこが面白いところなのだ。
戦略とは何か、それは戦いを略すことなのだそうだ。戦いを略すというのはつまりはなるべくは戦わない方が良いということだ。
競争とは何か、他社と競い争うことである。
つまりは、競争戦略とは他社と競い争うときの戦略なのだ。この競争戦略においても他社とできるだけ競争しないことが重要である。
競争しない方が良い理由は、パイは限られているからである。
パイとは、お客さんの需要のことである。ある商品について無限にお客様が欲しいわけがない。家なら一家に1つあれば十分だし、車も同じくである。このように、お客様が欲しいと思う量は限られている。その限られている中で、複数の会社が商品を出したら競い合うことになる。
機能が同じ商品で、デザインや品質も大差がない。であれば、残すは価格のみ。ここで値下げ合戦が起こり、みんな儲からなくなる。
では、このような競争に巻き込まれないためにはどうすればよいのか?
その答えは、同じパイを追わないことである。
飲食業で例えると、競合がラーメン屋をやっていた場合、あなたは牛丼屋をやることで競争に巻き込まれない。競合がラーメン屋をやっていて、あなたもラーメン屋をやるとラーメンを食べたいとき、比較されて競争に陥ってしまう。一方、牛丼屋だと、「昨日はラーメン食べたから今日は牛丼にするか」といった具合に、比較検討されることはなくうまく共存できるのだ。
一見、どちらも飲食業なので、競争しているように見えるが、実際は比較検討されていないため競争していない状況にある。
このように、違うパイを追うこと、すなわち違うことをすることで競争に巻き込まれずに生き残ることができる。これが競争戦略の重要なポイントである。
しかしながら、あえて同じパイを追うという戦略もある。それは、パイが魅力的であることから、あえてそのパイを奪いに行く場合である。
その場合に使えるのが、かの有名なポーター教授の三つの戦略「差別化戦略」「コストリーダーシップ戦略」「集中戦略」である。
個人やこれから事業を始める方は、小さく始める方が多いと思うので、そういった方は違うパイを狙う方がよい。