カッコつけようとして、地獄みた話
忘れもしません。
あれは高校生の頃………
友だち数人とチャリで遊びにいってました。
まだこの頃はチェリーボーイです。
他の友だちたちもチェリーボーイです。
言い訳としては、文系ではなく理系に行ったので、男ばかりだったからです。
でもたぶん文系に行っててもチェリーボーイだったと思います。
私たちチェリーボーイズはママチャリで意気揚々と洋服を買いにお店へ向かってました。
チェリーボーイズだけど、かっこはつけたい、そんな気持ちで洋服には人一倍気を使ってました。
今は全く気を使ってません。
服よりも大切なことを知ってしまったから。
チャリを漕いでいると、向こうから可愛い女子高生の集団が来ました。
私たちチェリーボーイズは、面と向かって女の子と話はできないくせに、なぜかこういうときだけはいきってしまいます。
1人はママチャリでウイーリーを始めました。
でも、ちょっとチャリの前輪があがるくらいです。
しかし、これはチェリーな友だちにとって、最大限の女子へのアピール(求愛行動)でした。
私も考えました。
アピールせねば………
何かアクションを起こさないと、何も変わらない。
一生左手が恋人になってしまう……
考え抜きました。
一瞬で女子の心を掴む方法を。
そして思いついたのです。
よし、サドルに立とう。
「俺!!サドルに立つぜ!!!」
「あっはははは!!やれやれぇ!!」
友だちたちの声援もあり、私はサドルに立つべく、臨界体制に入りました。
そして、チラッと女子の方を見てから、
サドルの上にしゃがむ感じでスタンバイ……
そして
「おらぁぁぁぁぁ!!」
サドルの上に立ち上がりました。
と、同時に、
バランスを崩してチャリを跨ぐ感じで落下。
チャリのフレームで勢いよくキンタマを殴打。
「あぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!」
私の叫び声が響き渡ります。
可愛い女子高生の集団が一斉にこっちを見ます。
しかし、痛さのあまり、私は半泣き……
倒れて、キンタマを押さえたまま
「あばばばばばば………」とか言ってしまいました。
可愛い女子高生の集団は
まるでゲロを見るような目付きで私を見ていました。
あのときの冷たい女子の目、忘れもしません。
その後、ウイーリーしてた友だちたちが
「いけるか?大丈夫か?」
「頑張ったな。おつかれ、いけるか?」
「女の子たち、お前のこと見てたよ、よかったな、大丈夫か?」
「俺の後ろ乗るか?いけるか?」
友だちたちは、みんな優しい目をしていました。
高校時代はチェリーボーイだったけど、
優しい漢たちに囲まれていて、心は満たされていました。
ありがとう……
チェリーボーイズ……
あの優しい目を、次は愛する人へ………
終わり